あんなところに、あんなものが・・・。
あんなところとは、以前「メルヘンに会う旅」にて訪れた足立区の東エリアにある最北の地「花畑」よりも、更に北に勢力を伸ばす足立区西エリア「舎人(とねり)」であります。
はっきり言ってこのあたりには、巨大オアシス「舎人公園」以外にめぼしいターゲットはありませんが、この「舎人地区」こそが足立区、否、東京23区の最北端なのであります。
つーとこで、東京23区マニアの散歩マンとして訪れないわけには行かず、ずーっと目的地候補として眠らせておいた魅惑の地に、意外な施設がぽつんと存在していることを発見し、ますます興味が湧いてきましたので、その施設を目的地とし、なんと、練馬区東エリアにある散歩マンの自宅から出発し、東京23区から出ない!という散歩マン散歩の禁忌を破り、川口市を抜け「舎人」へ向かいたいと思います。
そう、
ルール(禁忌)は破るためにあるのだ!!
てか、県境を超えないと遠回りになっちゃうんだもーん!!!!
言い訳はさておき、時は2021年3月下旬。
江戸川区の「新川千本桜」で満開を見損ねた前回の無念を晴らすべく、シーズン真っ只中の桜を愛でながら、まずは川口市を目指し進みます。
そして、東京23区をはみ出るという禁忌を破った瞬間、その報いとしてグジたちにある変化が起こってしまうのですが、それは境界線をまたいだときのお楽しみ。
では、行ってきます。
家を出て、見知った地域をぐんぐん進み、満開に向け咲き誇ろうとする桜を片っ端から愛でていきます。
うほ。
どーですか。
どれも校庭の隅っこや病院などの敷地内に植えられたしがない桜ですが、満開とはいかずとも、前回(参照:「千本の桜を愛でる旅②」)とは比べ物にならないボリューム感ですよ。
ああ、美しい。
そして次々に現れる桜を、飢えたハイエナのように愛(め)で倒します。
どんどん愛でる!
ガンガン愛でる!!
まだまだ、愛でる!!
めっ・・・!!!
歩き始めて40分も経った頃、桜しか頭にないことに気づき、我に返る散歩マン。
改めて写真を確認すると近影の桜ばかりで、メリもハリもあったもんじゃぁありません。
これでは旅日記ではなく、桜日記だわ。
頭を冷やすためちょいと休憩。
ふー。
本日は思いつきで家を飛び出しているので、実はかなりの距離設定の割に出発時刻は遅めであります。
よって、道端の桜をすべて愛でていては、目的地に着く頃には真っ暗になってしまう・・・。
心を入れ替え、ここぞという桜以外は撮影しないことを心に近い、再び出発します。
比較的慣れ親しんでいる町並みを、ぐんぐん東へと進み川越街道を通過。
すぐに見えてくる東武東上線も通過。
そして歩くこと20分ほど、板橋区内の大きめの公園に到着。
おお、いい感じに咲いてるぞ。
満開ではないけれど、花見を楽しむだけのボリューム感は十分ざます。
よし、予定取り、ここでランチにするか。
と、この公園が巷の花見ポイントであることは知っていたので、わざわざ予定コースを外してまで来たのですが、さすがに人気スポットでなだけあって、子どもたちがわんさか遊んでいてまあまあ騒々しいぞ・・・。
つーことで、気づくとNHKばかり見てしまうような成熟したおばさんには、到底落ち着ける場所ではないので、静かなランチ場所を求め先へ進みます。
住所は板橋区常盤台になりました。
常盤台といえば、知ってる人は知っている、豪邸街ですよ。
地元民しか知らないだろうけど、豪邸街ですよ。
じゃん。
何を隠そう東武東上線「ときわ台駅」の北側には、美しい豪邸が居並ぶ美観地帯がございます。
わかっちゃいたけど、桜の季節の豪邸街は格別だなぁ。
世田谷区成城の高級住宅地にもたくさんの桜が植わっていますが、こちらは豪邸が所狭しと乱立する成城と違い、閑静な町並みに瀟洒な邸宅がひっそりと並んでおりまして、庭先で単一でほころぶ桜の木とのバランスが絶妙にイカしております。
ああ、美しい。
お金持ちの財力で心を癒やしてもらいながら、さらに東へ進みます。
さて、川口市へ進入するために練馬区からまず向かうのは、北区「赤羽」方面。
そこから荒川を渡す「新荒川大橋」で川口市に突入できます。
つまり、まだまだ先は長いので、コンスタントに進みコンスタントに休むという荒業を繰り出しながら進みます。
つーことで、早速、しがない公園で2度目の休憩をば。
いかにも穏やかそうに見える本日ですが、どっこい、風がまあまあ吹き付けております。
よって、でかグジを立てるのも一苦労なのですわ。
そして、シャッターを押した瞬間に力尽きるグジ。
撮影のために四苦八苦しながら5分ほど休み、このあたりから進路を北寄りに変え進んでいきます。
高島平を貫く首都高と川越街道に挟まれた板橋区内のこの辺りは、ジェットコースター並に高低差が激しく、町並みは標準的でも刺激に飢えることはありません。
首都高まで続く急坂を、テンションを上げながら転げ落ちるようにして進み、再び小さな公園で5分咲きほどの桜の木の下で休憩。
そして、いい画(え)が撮れた直後、再び風に浴びせ倒されるグジ。
公園を出ると、すぐに「中山道」に到達します。
そして、ついに住所は「赤羽」に突入いたしました。
さて、常盤台で空振ったランチ場所候補ですが、すでに目星は付けております。
すでに13時を回っているわりに思ったほど空腹を感じてはいないので、余裕の心境でいよいよ近づいてきた、目的のランチ場所へ向かいます。
行く手には、日本が誇るトップアスリートたちの公式練習場「ナショナルトレーニングセンター」があり、ごみごみした景観は、その方角へ進むにつれ徐々にさっぱりとしてまいります。
桜の向こうに見える、競技場を照らす照明。
まあ、向かっているのはこの「トレーニングセンター」のお隣でありまして、広大な敷地に行く手を阻まれたところで左へ折れると、ついに、本日のランチ場所「赤羽自然観察公園」に到着いたします。
ここは、利用時間が定められている健全な区立公園でして、これまで何度か園内に進入しようとするも時間外で阻まれることのほうが多く、散歩マンにとってはなかなか利用できないめんどくさい公園と言う印象が強いのですが、時間内に来ない散歩マンが悪いだけなので、総合すると自然を尊重した深い森が魅力の管理の行き届いた立派な公園であります。
とまあ、実はここへ入るのは2度目。
本日は余裕の時間内なので、余裕の心境で久々の園内の散策も楽しみながらランチ場所を探します。
さて、園内の桜はというと、こんな感じ。
まあまあ咲いてます。
より素晴らしい桜を眺められるランチ場所を求め、更に園内の奥へと進んで参ります。
が、東京の大きな公園には必ず桜並木があると信じていた散歩マンの期待は見事に裏切られ、期待値ほどの桜は植わっておらず、がっくり・・・。
こんなに美しい広場があるのに、がっくり・・・。
いや、広場にはなくとも公園最大の売りであるこの先にある森には桜がきっとある!
さらなる期待を胸に森へ向かう途中の広場で、枝垂れ(しだれ)桜並木という変化球をくらい、
そうじゃない!と心のなかで叫びながら完全無欠の「ソメイヨシノ並木」を夢見て森へ進んだ結果、やっぱりただの森だったことがわかり、ここで妥協することにしました。
桜どころか時期が時期なので、全体的に薄ら寂しさすら漂っております。
まあいいや。
広場と違って人もあんまりいなさそうだし、手頃なベンチもあるし、桜じゃなくとも森の空気を感じながら静かにランチができれば、それが一番のごちそうなんですよ。
では、いただきます。
ボン!
ババン!!
ドカッ!!!
「おめえ、ばかじゃねーのー?!!」
「ぎゃはははははーーーー!!!」
うるせぇぇぇぇーーーーーーーーーー!!!!!
桜を諦めて静かな森を選んだのに、おにぎりにかぶりついた途端、散歩マンの背後にある切り立つ崖で、4.5人の元気な小学生がボールを蹴り上げながらはしゃぎまくり、騒ぎはともかく、そのボールがもしかしたらこっちへ飛んでくるかもしれない、という恐怖と戦いながら慌てておにぎりを頬張る、というアクシデント勃発。
うぬぬぬ・・・・。
いいえ!
わかっていますとも。
うっかりおにぎりを喉に詰まらせかけたけれどおばちゃんはわかっています。
そう、公園は子供が元気に遊ぶためにあるんです!!
そのためなら、おばちゃんはよろこんでおにぎりを喉につまらせます!!
元気に育てよ、ガキどもよ!!!!
こうして、ランチ終了とともに去って行く、間の悪い小学生たちに思いをはせながら、再び静かになった森を味わうグジ。
今から遊べよ、バカやろうぉぉぉーーー!!!!
悲喜こもごものエネルギーチャージを完了させたあとは、さっさと公園の反対側へ向かい森を抜けてゆきます。
森の中には自然味あふれる池があり、その方角に向かい、散歩マン散歩では結構な確率で見かける一眼レフを構えるオヤジの群れが、ここにも出現いたしました。
一体何を狙ってるのか毎度気になるところですが、今度出会ったら聞いてみようかな、と思う散歩マンなのであります。
たいていカワセミだけどね。
さて、無事にランチを済ませたのはいいんですが、実はまだ目的地までの半分にも到達しておりません。
すでに14時を回っており、流石に日没までに目的地までにたどり着けるか不安になり、うっかり目的地の変更が頭にちらつきかけましたが、燃え上がる散歩魂で不安を抑え込み先へ進むことを決断。
いいぞ、散歩マン!!
誰も褒めてくれないので、自分で褒める。
赤羽といえば板橋区に勝るとも劣らない凸凹ワールドが有名です。
そして、公園を出たところでいきなり現れるこの急階段を、凸凹マニアの散歩マンとしては避けるわけには行きません。
いくぜい!!
ひぃ、ふぅ、みぃ・・・・。
うへぇ~。
そして、中高年にはほどよい有酸素運動の末にいただく赤羽の絶景がこちら。
うひょー!
なんかもう、何でも許せる景色だねー。
もちろん、さっきの小学生たちも許せちゃうねー。
よーーーーくみると、真ん中あたりに産毛のようにスカイツリーが見えております。
赤羽とは、こーゆーお土地なのであります。
絶景の階段を登った先には真新しい団地があり、青い芝生が敷き詰められた世にも明るく清々しい公園が目に入ってきた時、散歩マンは思いました。
こっちでランチにすればよかった・・・。
今の散歩マンには眩しすぎる公園の横に建つマンションは、とってもハイセンス。
下町イメージの強い赤羽ですが、このように駅の西側は一大開発地帯となっており、下町のゴミゴミワールドからハイセンスな街へ生まれ変わるべく、只今絶賛大工事中であります。
よって、この先では巨大な工事現場により白壁で景観を遮られている町並みが続いており、その中を、つまんらんなーと思いながら坂を下り、JRを越え、「北本通り」と「北本通り」が交差する摩訶不思議な岩渕の交差点を通過し、(厳密には環八がこの交差点から北本通りへと名を変えるっぽい)
その交差点で信号待ちの最中、「ありがとう」と言いながら老いた母親を見送るおっさんに出くわし、背中が丸まるほど老いた母が中年息子を助けるため訪れる、というのはどういう経緯(いきさつ)なのか、と、計り知れない人間模様に思いを巡らせながら、「荒川くん」に向けその北本通りを進みます。
つまり、もうすぐ「荒川くん」です。
ハイセンス団地から歩くこと20分ほど。
ついに「荒川くん」を渡す「新荒川大橋」に到着。
この果てしない橋を渡って、いよいよ「川口市」に突入いたします。
「荒川くん」を渡る前に、まずは「新河岸川」を渡ります。
川べりにはこじんまりとした桜並木があり、その桜の樹の下で仲睦まじく記念撮影するカップルを発見したのはいいのですが、ここで、今、流行(はやり)の「違和感クイズ」です。
このカップルの違和感を探せ!
答え。
カップルの記念撮影なのに、2人で桜の木の下に立つのではなく、男性の方を女性が撮影するという、大いなる違和感を放ちまくっております。
その逆ならまだしも、彼女に桜をバックに「ピン写」(一人で写る写真)を撮らせる男ってナルシストにもほどがある。
と、思ってしまうわけですが、推測するに・・・これは多分・・・、
やたら自然の中で記念撮影したがる諸外国のカップルなのでは?
「ニーハオ!」と声をかけるわけにもいかず、変な気分で更に進むと、いよいよ荒川河川敷が見えてまいります。
日和の良い本日は違和感カップル同様、咲き始めた桜を愛でる人手でまあまあ賑わっております。
朗らかな光景。
やっぱりいいわよね「荒川くん」て。
清々しい気分で橋を渡りきり、埼玉県の土手に続く歩道に差し掛かると、法面にベンチの代わりになりそうな根っこがむき出しとなったガードレールを発見。
せっかくなのでしばし腰を下ろし、清らかな「荒川くん」を眺めることに。
ああ・・・、ここにロールケーキとコーヒーがあれば、もっと素敵なのになぁ・・・。
いや、アンパンでもいいなぁ・・・。
うーーん、豪雪堂(練馬にあるコッペパン専門店)の塩ミルクコッペなら、完璧だなぁ・・・・。
と、清らかな荒川くんを前に、頭の中がおやつで一杯になってしまった散歩マンですが、このあとは、いよいよ散歩マン散歩のルールをぶち破り埼玉県(川口市)に突入となります。
そして前述の通り、突入と同時に散歩仲間のグジたちに驚きの変化が起こってしまうのですが、その続きは後半戦、次回の記事にて。