体験談

◇当時30代 女性


ある飲食店でアルバイトしていた時の話です


私は古い雑居ビルの2階にある 飲食店で働いていました


2階のフロアにあったお店はバイト先の飲食店と もうひとつ 向かいの飲食店の 2つだけ


他にも6~7店舗テナントがありましたが どのお店も数年前から閉店していて 私がバイトする ずっと前から 空き店舗

なので どのお店も 不審者等が入らないように ドアに鎖を付けぐるぐる巻にして南京錠が掛けられていました


バイト先のお店と 唯一もうひとつの営業店は 階段の すぐ近くにあるため 通路の電気も その2件の周囲だけは ついていましたが それ以外 通路の奥は電気すらついていない状態でした


当然 お客さんが 真っ暗な通路奥まで行くことは まず無いので それをいいことに 通路奥は うちと向かいの店の荷物(どう見ても粗大ゴミ)置き場となっていました


私は たまに(本当にたまに)バイトが暇な時など こっそり その通路の奥まで行って タバコ休憩をしていました

バイト先では吸えなかったので トイレに行くふりなどして 本当に極たまに・・・


その日も いつものように 一服しようと 暗い通路を小走りしていると いつも閉まっている空き店舗のひとつ

その扉が ほんの少しあいているのに気づきました


10cmくらい開いた扉

私は何故かその扉が気になり足をとめました


・・・新しいお店に なるのかな??


そうも思ったのですが その時の時間は

たしか夜の8時過ぎ


・・・業者とか借り主って こんな時間に来るかな?ちょっと遅くない?


なんかおかしいなと 思いつつも

ゆっくり お店に近づき

10cm程の隙間から そっと 中の様子をのぞいてみると


電気のついていない 薄暗い店内

ぼんやりと カウンターが見えました


以前は BARのような飲み屋さんをやっていたようで カウンターには5席くらいの椅子がありました


そして そこに何故か

中年の男性が 4~5人


昭和のレトロな映画のように

黙ったまま 座っていました



・・・やっぱ業者の人 違う!



うつむいたまま

入口側に背を向け

薄暗い店内で座る中年の男性達



私は思いました

この人達は  ここに私がいる事

私が見てる事に まだ気づいてない


このまま そっとしておこう


そう思い  じりじりと 後ずさりして その場を離れようとした



その時



中年男性のひとりが  ふと顔をあげ

振り向くように ゆっくりと首をこちらに向けてきました


私は猛ダッシュして バイト先のお店に戻り オーナーに いま見た事を報告しようと思ったのですが・・・

サボったのがバレてしまうので 結局 誰にも言えずにいました

(´・ω・`)おろろ



翌日の昼間

出勤した私は 中年男性を見たお店を確認しに行ったのですが

いつものようにドアには鎖

南京錠は埃まみれで どう見ても開けた形跡はありませんでした



あの男性が もう少し早く振り向いてしまっていたら 今頃 私も あのカウンターに座っていたのでしょうか




蒲田コージン猫院 ホーム