星組『1789ーバスティーユの恋人たちー』
宝塚歌劇団星組公演三井住友VISAカードシアタースペクタクル・ミュージカル『1789ーバスティーユの恋人たちー』脚本・アルベール・コーエン作曲・ドーヴ・アチア潤色・演出/小池 修一郎2023年7月29日(土) 11:00~2023年7月30日(日) 11:00~ セディナ貸切2023年8月12日(土) 11:00~@東京宝塚劇場2023年8月27日(日) 13:30~ ライブビューイングロナン・マズリエ :礼 真琴オランプ・デュ・ピュジェ :舞空瞳シャルル・アルトワ :瀬央ゆりあカミーユ・デムーラン :暁 千星マクシミリアン・ロベスピエール :極美 慎マリー・アントワネット :有沙 瞳ラザール・ペイロール :輝月 ゆうま(専科)デュ・ピュジェ中尉[オランプの父] :美稀 千種ヨランド・ドゥ・ポリニャック :白砂なつジャン・ポール・マラー :大輝 真琴ジャック・ネッケル :輝咲 玲央ルイ16世 :ひろ香 祐ギヨタン博士 :朝水 りょうジョルジュ・ジャック・ダントン :天華 えまジャック :夕渚 りょうミシェル :天希 ほまれソレーヌ・マズリエ[ロナンの妹] :小桜ほのかオーギュスト・ラマール :碧海 さりおハンス・アクセル・フォン・フェルゼン :天飛 華音シャルロット :瑠璃 花夏リュシル[デムーランの婚約者] :詩 ちずるロワゼル[ラマールの手下] :稀惺 かずとトゥルヌマン[ラマールの手下] :大希 颯今まで観てきた中で最高の『1789』だと思う。トップのこっちゃん(礼真琴)だけじゃなく、ありちゃん(暁千星)とかりんちゃん(極美慎)のツインタワーがカッコ良すぎだし、加えてぴーすけ(天華えま)でしょ。眼福過ぎる。こっちゃんは歌もダンスもずば抜けて上手いけど、残念ながら今まであまり役に恵まれてなかったと思う。むしろ2番手の時の方がこっちゃんに適した役柄だったように思う。トップになってからというもの、なんか”コレジャナイ感”が否めない演目ばかり。まあ、せいぜいロミオくらいかな、良かったのは。でもあれは衣裳がね~。私にはイマイチ受け入れ難かったけど。今回のロナンは、とにかくこっちゃんにぴったりの役だった。東宝版入れても、ナンバー1!ベストロナン賞だと思う。まず、「俺」「お前」って言うこっちゃんが素敵。ロミオは世間知らずの坊っちゃんだから、なんか頼りなくて生ぬるい。ロナンは学こそ無いけど、田舎の貧しい農村に育ち、人生の経験値は高い。そして強い正義感と野心がある。キスもロミオのようにそっと優しくじゃなくて、ガバッと激しい。ひっとん(舞空瞳)との身長差が極端ではなく程々なのがいい。ロナンのとオランプの場合、身長差萌えは必要ないからね。今回のヒロインは東宝版と同じくオランプだ。『1789ーバスティーユの恋人たちー』の日本初演は2015年宝塚月組。この時、トップまさお(龍真咲)はロナンで、ちゃぴ(愛希れいか)はアントワネットだった。その後、東宝版で小池徹平くんと加藤和樹くんがやった時のヒロインはオランプで、さーや(神田沙也加)とねねちゃん(夢咲ねね)がやった。今回はこのパターンというわけだ。月組版は映像で観たけど、冒頭に本編クライマックスのバスティーユ要塞にロナンが上る場面入って、場面転換してボース地方の農村になる。その後の話の流れとしては基本同じ。フィナーレがある分、全体を短くしなければならないので、メインキャストが出ない場面は割愛されているようだ。いろいろ宝塚らしく変えてはいるけれど、台詞も歌もほぼ東宝版と同じ。なんだけど、1幕ラストの楽曲が違うと思う。星組版の1幕のラストシーンでは、パレロワイヤルにデムーランとロベスピエールが走り込んできて「ネッケルが解任された!」と大声で伝える。みんながざわつく。そこへロナンが「軍隊が攻めてきた!あちこちで民衆とぶつかり合ってる。」と言いながらやってくる。デムーランが「なに、民衆は何もしていないのに?」と憤る。デムーランが歌い始める曲は『声なき言葉』、続いて歌うのはロベピ、ロナン。ムニュ・プレジールの前で軍隊と衝突し、周りの♪バンババ バンババ バンババ ババババ、…♪のコーラスでどんどん盛り上がっていく。ロベピが「球戯場へ行こう!あそこなら大勢はいれる!」と言い、みんなが走り去る。あれ?なんか東宝とは曲が違う気が…。気になるのでDVD引っ張り出して確認してみた。パレロワイヤルへぼそっとひとりで歩いてやってきたのはロナン。そこへ、印刷所の仲間が「ムニュ・プレジールが閉鎖された!」と叫びながらやってくる。ロナンが「デムーランたちは?」と聞くと、「抗議しにベルサイユへ向かった!ロナンどうする?」と言う。ここでロナンが歌い始めるのは『街は我らのもの』ロナンの妹ソレーヌがロナンに「フランスが大きく変わるのね。」と言うと、ロナンが「ああ。でも、変えるのは王じゃない。俺たちだ!」コーラスは♪おおおお~、おおおお~…♪中詰めらしく、出演者たちが次々に舞台に出てくる。上には軍隊、下から平民が登ろうとし、軍隊とぶつかり合う。デムーランやロベピも出てきて、ロベピが「球戯場へ行こう!あそこなら大勢はいれる!」と言うとみんなが「おお!」と言って舞台から客席へ降りて通路を通って後方に走り抜けていく。あれ?コーラスが星組の♪バンババ バンババ バンババ ババババ、…♪と違う。でも、メロディラインが両方ともすごく聞き覚えがある。どこかのシーンで使ってるのかな。2幕の最初は東宝版も星組も客席から。デムーランとロベピを先頭に革命家とシトワイヤンたちが客席サイドのドアから入ってきて、通路を通って舞台へ上がる。私の前の通路を通って行ったのはなんとかりんちゃん!わおっ!先頭を切って目の前を通ったかりんちゃんは、それはそれはキリリッとした厳しい表情で、凛々しくてち~っさいお顔で、颯爽と歩いてきた。通り過ぎる時に足元にかかってきた風だけでよろめきそうな気分だった~。最近のかりんちゃんが成長が著しい。新人公演の頃は歌も声量がなく、ダンスもまだまだだったのに。”男役10年”、可愛らしい「かりんちゃん」も、もうキラッキラな男役タカラジェンヌだ。バウ公演『ベアタ・ベアトリクス』でも上手くなったとは思ったけど、今回も更に声量も上がって、立ち姿も堂々として立派だ。もういつでもトップになれるオーラ。ありちゃんは星組へ来て本当に正解。だって暁千星、千の星だもんね。星組のトップスターになるしかないでしょ。数年前までは、あの愛くるしい顔が男役としては物足りな~いと感じてたけど、今や、存在感は抜群だし、身長高くてダンスが上手いだけでも見栄えの賜物なのに、てっぺんまで良く通る力強い歌声。星組の未来は明るいな~。こっちゃんとせおっち(瀬央ゆりあ)が同期で仲良く支え合ってやってたように、ありちゃんとぴーすけ(天華えま)も同期でそういう感じになれるといいな。才能ある美しい男役が豊富な星組だけど、男役だけじゃない。マリー・アントワネットはこの公演で退団が決まっているくらっち(有沙 瞳)。うっ美しい‥‥とにかく美しいし、しかも歌も上手い。更に更に、芝居がもう素晴らしくて、何度観ても何度も泣いた。前半のマリーでは、既に子持ちとはいえまだ幼さが残り、贅沢三昧で世間知らずをアピール。後半のマリーには、溢れる慈愛と強い決意がみなぎっていた。『神様の裁き』を歌う姿は聖母マリアのように美しく、毎回涙を流していたよね。こんなに心打たれるマリーは初めてだった。なんでトップ娘役になれなかったんだろう。トップ娘役にはなれなかったけど、退団後は是非ともお花(花總まり)の後継者シシィとして東宝エリザベートへどうぞ。お待ちしております。せおっち(瀬央ゆりあ)のアルトワ伯観て、こういうのがいい!って思った。月組版のみやちゃん(美弥るりか)アルトワの色気そのままにヒールさマシマシかな。彼の色気は女性に困らない余裕を感じさせる。そもそも兄のルイ16世が王として頼りない。横からチャチャ入れたくなるのもわかる。悪役として尖ってた吉野圭吾さんのアルトワ伯よりいいかな。せおっちはこれを最後に専科へ異動。ペイロールはまゆぽん(輝月ゆうま)だったのね!せおっちと同じ95期なのに早くから専科へ異動、芝居が上手いまゆぽんは重宝がられてあちこちの公演に出演してる。ここでも出演してたなんて。せおっちもいろんな組で活躍できるといいね。アルトワ伯の子分、秘密警察の3人組、ラマールがかいけつゾロリだとしたら後の二人はイシシとノシシか。そのイシシとノシシのひとりが、かの熱い男松岡修造の御令嬢、稀惺かずとくんだった。顔がすっごい綺麗だから目立つ~。今回の星組『1789』は超チケット難と言われていたにもかかわらず3回も観れた。もしかしたら、我が家の2台の車のナンバーが両方とも『1789』だからご縁を引いたのかな。