父親(ちちおや、英: father ファーザー)とは男親のことである。
「お父さん」と一般には呼び、親しみをこめて「とうさん」「とうちゃん」「親父」(おやじ)などと呼ばれる場合もある。日本語においてこれらの呼称は、養父など社会的な父親、すなわち文化人類学で言うところのペイター (pater) であるか、生物学的な遺伝的な意味での父親であるジェニター (genitor) であるかとは無関係に用いられる。(wikipedia 父親より抜粋)
現在では当たり前のことなのですが、wikipediaにもあるように我が国では自身の父親のことを「父(ちち)」「お父さん」「とうさん」「とうちゃん」「親父(おやじ)」等と呼んでいます。
また、近世語では「とと様」等とも呼びますね。
コトバンクでは、両親のうちの男の方。すなわち、実父・継父・養父の総称。父親。おとこおや。ち。かぞ。てて。しし。
…とあり、「ち」は、「おほぢ」(祖父)、「をぢ」(伯父、叔父)などの語基でもあります。
ち【父】
〘名〙 男子を敬っていう上代語。ちち。かぞ。他の語の下に付いて用いられる場合は、連濁によって「ぢ」となることもある。
※古事記(712)中・歌謡「横臼(よくす)に 醸(か)みし大御酒(おほみき) 甘(うま)らに 聞こし以(も)ち食(を)せ まろが知(チ)」
「語源由来辞典」によりますと、
父は、上代に男子を敬っていった「ち」を重ねた語。
「祖父」の「オホヂ」や「叔父・伯父」の「オヂ」など、男性の敬称の中でも男親に近い存在に「ち」が使われており、『古事記』にある「麻呂賀知(まろがち)」は「麻呂が父(私の父)」と解釈できることから、「ち」単独で「父」を表すこともあったと思われる。
男子の敬称「ち」の語源は、「ち(乳)」や「ち(血)」の意味など諸説あり、威力のある存在から心霊を称える「ち(霊)」の意味が有力とされているが未詳。
漢字の「父」は、「おの」+「又(手)」の会意文字で、手に石斧を持って打つ姿を示している。
…とあります。
つまり、現在の「父:ちち」は、「父:ち」に男敬語の「ち」を重ねた語、その語源は未詳ながら「ち(乳)」「ち(血)」「ち(霊)」の意が有力と考えられています。
ということは、厳密にいえば、「親父(おやじ)」や「叔父(おじ)」等も語源などから「おやぢ・おぢ」の表記の方が正しいということですね。
…また、「お父さん」については、
とと - 父親・お父さんを表す語の一つ。魚のことを指す幼児語。(wikipedia トトより抜粋)
〘感動〙 鶏や鳩などを呼ぶ時に発することば。とっと。
※浮世草子・本朝二十不孝(1686)四「膝の上に抱あげ、鶏々(トトトト)ゆふれども渧(な)きやまず」
〘名〙
① 魚をいう幼児語、または女房詞。〔黒本本節用集(室町)〕
② 鶏や鳩、時には犬の子や猫などをいう幼児語。
魚・鳥をいう幼児語。おとと。(コトバンク:精選版 日本国語大辞典及びデジタル大辞泉より)
…などとあり、
従って「父:ち」の親を「祖父:おほ(お)ぢ」と呼び、また「ちち」の音から幼児語として「とと」⇒「ととさま」⇒「父(とう)さん」⇒「お父(とう)ちゃん」へと変化していったと考えられます。
なるほど、言い換えれば、父は、魚であり鳥でもあるということですな(´・ω・`)
…一方、母親につきましては、
母親(ははおや)とは、女親のことである。
お母さんと一般には言い、親しみをこめて「かあさん」・「かあちゃん」・「お袋」(おふくろ)などと呼ばれる場合もある。「母」という漢字の成り立ちは「女」に2つの乳房を加えた象形文字であり、子への哺乳者、授乳者であることを意味する。(wikipedia 母親より抜粋)
コトバンクでは、〘名〙 (「はわ」の時代も)
① 親のうちの女の方。生んだり、育てたりしてくれた女親。実母・養母・継母の総称。母親。おんなおや。めおや。
※続日本紀‐天平元年(729)八月二四日・宣命「此の間に、天つ位に、嗣坐(つぎます)べき次と為て皇太子(ひつぎのみこ)侍りつ。是に由りて其の婆婆(ハハ)と在(いま)す藤原夫人を皇后と定賜ふ」
母親の呼び方としては、「おも」「あも」「はわ」「おかあさん」「かあさん」「かみさん」「おっかあ」「かかあ」等があり、
「語源由来辞典」では、
おかあさんは、武家の母や妻女を「御方様(おかたさま)」と呼んでいたことに由来する。
「おかたさま」から夫が妻を「かたさま」と言うようになり、子供がそれを真似た「かかさま」「かあちゃん」「かか」「おっかあ」を経て、現在の形となった。
上流階級の奥方を「北の方」と呼んだことから「おかたさま」になり、上記のような流れで「おかあさん」になったとする説もある。
「北の方」は寝殿造りの北の対屋(たいのや)に住んでいたことに由来するが、「北の方」ではなく「対屋」から、「おかあさん」をいう御所言葉「おたあさん」「おたたさん」が生まれていることや、「方」は「北の方」に限らず使われている語なので、「北の方」を「おかたさま」の語源とする説は、御所言葉の語源と混同されたものと考えられる。
「おかたさま」は他人の母や妻などを指す言葉なので成立しにくいとし、子供が不完全な発音しかできず、「はは」から「かか」になり、「おかあさん」という言葉ができたとする説もある。
江戸末期、武家社会では「おかあさま」「かかさま」、庶民階級では「おっかさん」「おっかぁ」が使われており、明治末期に『国定教科書』で「おかあさん」が採用された。
しかし、「おかあさん」は「おかあさま」よりも丁寧さに劣り、「おっかさん」より馴染みが薄いことから、『国定教科書』は「おかあさん読本」と呼ばれ、上流階級にも庶民階級にも受け入れられなかった。
時とともに違和感を感じる人は減り、現代では「おかあさん」が最も一般的な敬称になっている。
…とあります。
つまりは、「はは」の語源の由来についてはこれといってわかっておらず、諸説ありな訳ですが、恐らくは、「母:はは」⇒「かか」⇒「かかさま」⇒「母(かあ)さん」⇒「お母(かあ)ちゃん」へと転訛していったと考えられ、「かか」の派生から「かみさん」となったと推測ができます。
「はは」から「かみ(さん)」となった一説として、弥生時代の酒造りの方法である「口噛み酒」に由来し、清浄な少女が米をよく噛んでそれを甕に溜め、酒を造っていたことから、「食(は)む」が転じて「咬(は・か)む」「嚼(か)む」⇒「噛(か)む」となったと考えられています。
刀自(読み:とじ・とうじ)【杜(とじ・もり)氏】より
酒造労務者の総称ともされる。杜氏の名の由来については、中国で初めて酒をつくった杜康(とこう)の名をとったとする説、奈良・平安時代造酒司(さけのつかさ)が酒をつくるのに用いた壺を〈大刀自(おおとじ)〉〈小刀自(ことじ)〉と呼び、後の人が酒をつくる人をも刀自と呼んだとする説、寺社で酒つくりが行われる以前、酒つくりは家庭を取りしきる主婦(刀自)のしごとであり、刀自が転じたものであるとの説などがある。(コトバンクより)
御上さん(読み)オカミサン:庶民が他人の妻や料理屋の女主人などを親しんで、また敬っていう語。(コトバンクより)
上述した、祭事の際に特に重要な役割であった酒造りの様子から「女性が噛む」⇒「女噛む」⇒「おかみ」となったとされ、そこから旅館などの女主人のことを「女将(おかみ)さん」と呼ぶようになります。
また同時に天皇の敬称も「御上(おかみ)」(goo辞書)ですね。
「日本語俗語辞典」によると、
かみさんとは自分の妻や他人の妻を指す。妻をかみさんと呼ぶ語源説には、江戸時代、将軍や天皇に対して使った『上様』からきたとするもの、山の神からきたとするものなど、多くの説が存在する。かみさんは主に親しい間柄との会話で対象となる妻に親しみを込めて使うことが多い。目上・世話になっている人の妻の場合、おかみさんともいう。
また同辞典の「かかあ」についても、
かかあ(かか)は古代、蛇の意味で使われていた『かか』が時代とともに転意していき、庶民の間で母や妻という意味で使われた。ちなみに母(はは)も同じ語源である。古代、K音とH音の発音が曖昧であったために『かか』と『はは』の2種類が定着したとされる。
かかは漢字で「嬶・嚊」と書く。ただし、現代ではかかあと崩れた形では使われるが、かかそのものはほとんど使用されず、時代劇の中の「かか様」に見られる程度である。 また、かかの丁寧語『おかか』が崩れた『おっかあ』は現代でも使用される。
国字である「嬶・嚊(かかあ)」は、鼻息の荒い妻と言う意味があるようで双方とも「鼻」を用いますね。そういや鼻から生まれた神がいましたな(´ω`) つまり「かかあ=はは」から生まれたと。まぁ当たり前のことですが。
こちらも言い換えれば、「母:はは」は、山の神や蛇の古語に通じ、酒造りの巫女や自分より目上の人のことの意味であると言う訳ですな(´・ω・`)ふむふむ
…という訳でキーワードをおさらいしつつこれを踏まえて、例の如く穿った考察でも書く予定としておきます。(´ω`)ノシ