三国志(さんごくし)は、中国・西晋代の陳寿の撰による、三国時代について書かれた歴史書。後漢の混乱期から、西晋による三国統一までの時代を扱う。二十四史の一。(wikipedia 三国志(歴史書)より抜粋)

 ※魏志倭人伝(ぎしわじんでん)は、中国の歴史書『三国志』中の「魏書」第30巻烏丸鮮卑東夷伝倭人条の略称です。

 

 まず、「三国志」の説明なのですが、陳寿が記したとされる「正史」の源本は、現存していません。

 また、「三国志」が最初に刊行されたのは、北宋咸平五年(1002年)のことで、これもまた現存しません。
 

 今日現存する最古の版本は、「紹興本」と呼ばれるもので、宋の南遷直後・紹興年間(1131年1162年)のものと言われています。

 

 それに続いて、「紹煕本」というものが刊行され、(紹煕年間(1190年1194年))、これが最もよく目にすることのできる「三国志」の版本といわれています。

 

 ◆「紹興本」(橙色)と「紹煕本」(赤色)の相違箇所

 

 國 

 國 ×

 ※対馬で間違いない。

 

 自女國以北 ×

 自女國以北 

 ※書き間違いの箇所であると断定できる。

 

 其戸数道里可略載 

 其戸数道里可略載 

 ※どちらとも同様の意味で通じる。

 

 支國 

 支國 △

 ※比定地がどこであるか確証がないのでどちらともいえない。

 

 其木有柟豫樟 

 其木有柟豫樟 △

 

 「四声玉篇和訓大成」で検索

 

 

 ※上記は、梓(し)=中国では、キササゲのことで日本では全国的に分布。

 日本での梓(あずさ)は、ミズメであり、岩手県以南~九州まで分布。

 下記は、杼(ちょ)=しい、どんぐりで、これも全国に分布。

 ただし杼は、中国では栃の意味もあり、中部地方から東北地方に主に分布、四国・中国地方の山間部に稀に分布。

 

 重者其門戸及宗族 

 重者其門戸及宗族 〇

 ※一族を滅ぼすか没収するかの違いはあるが、重罪者の罰という意味ではどちらでも問題はない。

 

 検察諸國諸國畏憚之 

 検察諸國畏憚之 〇

 上記は、諸国を検察させており、諸国はこれを畏れ憚っている。

 下記は、諸国を検察させており、これを畏れ憚っている。

 ※上記の方が分かりやすいと思いますが、どちらも意味はほぼ同じ。

 

 下戸與大人相道路 ×

 下戸與大人相道路 〇

 「遥」は中国語でも、遥か、遠い、遠隔、距離的に遠く距たっていることの意味。

 上記は、賎民が高貴な人物と道の遠くで出会えば

 下記は、賎民が高貴な人物と道で出会えば

 ※「相」の漢字の意味からすると、下記の方が自然である。

 

 ●結論

 よって、「紹興本」と「紹煕本」の相違点はどちらか一方が間違っているということはいえませんが、魏志倭人伝に書かれている全体的な意味には影響を及ぼすような箇所にも思えないのでどちらでも問題はありません。