『戦闘機対戦車』(せんとうきたいせんしゃ、原題:Death Race)は、1973年に放映されたアメリカ合衆国のテレビ映画。

 

 

ドイツの敗色濃い北アフリカ戦線を舞台に、飛べなくなった戦闘機に乗った二人のアメリカ人兵士と、狂気に駆られた将軍の指揮する一台のパンツァー戦車の追撃を描く。少ない登場人物、序盤の戦闘シーンはライブ中心、背景は砂漠だけと低予算まるだしの作品だが、戦闘機と戦車の一騎討ちというプロットにそれぞれ飛行不可能、狂った指揮官というハンデを設けた事が効を奏し、極めてユニークな戦争アクションとなっている。低予算を逆手に取ってアイディアでカバーした好見本のTVムービー。

 

 

 

監督    デヴィッド・ローウェル・リッチ

脚本    チャールズ・クエンストル

製作    ハーヴ・ベネット

テリー・K・ミード

出演者    ロイド・ブリッジス

ロイ・シネス

エリック・ブレーデン

ダグ・マクルーア

音楽    ハル・ムーニー

ミルトン・ローゼン

撮影    テリー・K・ミード

編集    レス・グリーン

カール・ピンギトア

配給    ユニバーサル・ピクチャーズ

上映時間    73分

製作国    アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

言語    英語

製作費    $650,000(概算)

 

 

エル・アラメインの戦いが終ろうとしていた1942年11月、ドイツ軍が撤退した北アフリカ戦線上をP-40で飛行していたアメリカ軍のデル・カルペッパー中尉は、燃料補給のため降りたイギリス軍の燃料補給基地で、ウェーブリー少将からドイツ軍が設置した砂漠の地雷処理を任せられる。

カルペッパー中尉は渋りながらも、イギリス軍のマクミラン少佐と共に地雷処理に向かったが、少佐がドイツ軍を見つけ攻撃する。しかし、ドイツ軍のパイムラーによる反撃を受け少佐の戦闘機が撃墜されてしまう。カルペッパーは少佐を助けに行くが、パイムラーが指揮するドイツ軍のシャーマン戦車がとどめを刺そうやってくる。2人は砲撃を受け、翼端が破損した上、冷却液が漏れて飛行が困難となった戦闘機に乗ってドイツ戦車から逃げ延びようとする。

かくて、広大な砂漠を舞台に戦闘機対戦車の追跡劇が始まる。

 

 

ハンス・パイムラー    ロイド・ブリッジス    穂積隆信

アーノルド・マクミラン少佐    ロイ・シネス    横森久

シュテッファー    エリック・ブレーデン    中田浩二

デル・カルペッパー中尉    ダグ・マクルーア    新克利

ハフマン一等兵    ブレンドン・ブーン    青野武

英軍無線技士    クリストファー・ケリー    小森明

ベルケ中尉    デニス・ラッカー    仲村秀生

ベッカー一等兵    デニス・デューガン    嶋俊介

ウェーブリー少将    アイヴァー・バリー    村松康雄

 

 

TV版:初回放送1975年5月17日 NET『土曜映画劇場』 放映タイトル「戦闘機対戦車/砂漠の対決」※DVD収録

 

 

 

ある世代の人にとっては、結構、印象深い映画じゃないか。低予算のマンハント系TV映画の佳作。

飛べない戦闘機と戦車のチェイスというキワモノ的テーマながら、そのワン・アイディアで飽きさせない。

 

 原題は『Death Race』  第二次大戦終盤のアフリカ戦線。米空軍兵のカルペッパーは、英空軍

のマクミランと共に、地雷源の爆破に向かう。しかし、砂漠で遭遇した独軍のハグレ戦車との戦闘で、

機は飛行不能になってしまう。執念の鬼と化したバイムラー将軍が駆るV号パンター戦車(いや、

シャーマン?)と、走るしか出来なくなったカーチスP-40の、文字通りのデス・チェイスが始まる。

 

 ストファー将軍役のエリック・ブレーデンはドイツ人ながら、いまいちドイツ兵に見えないナイスガイ。

ハリウッドの戦争映画は、ドイツ兵を誰が演じるかというかが、結構左右する。それで言うなら、バイムラー将軍役のロイド・ブリッジスは、ちゃんとナチっぽい。 

砂漠の中、常に将校服をきっちり着込んで、軍帽で眉毛まで隠し、目をギラつかせて狂気を表現している。

 

 絶対優位にあるはずの戦闘機が、足の遅い戦車に追い回されるという、前代未聞の設定。低予算を逆手にとった設定だが、これが戦車同士や戦闘機同士ならサプライズは生まれない。組み合わせを変えただけで、これだけ面白くなるという、作劇のお手本だ。

 惜しむらくは、そのアイディアをもう一捻り、発展させるとまではいかなかったこと。まあ、70分という短さだから、それもしょうがないか。

 

 華々しい主戦場の情報が、無線で流れてくる。だがここは、戦況に全く関係の無い、取り残された局地だ。そんな場所もまた、紛れも無い戦場であることを、最低限の舞台装置と登場人物で表現した、なかなかにコシャクな戦争映画だ。 派手さは無いがラストの締めもイイ。

 

あまりにも冷酷でこの戦闘機ばかりを追う将軍に飽き飽きしたシュテッファー。

降参したカルペッパーに銃を向けるパイムラー。

それを背後からシュテッファーが機関砲で。。。