『タワーリング・インフェルノ』(原題: The Towering Inferno )は、1974年のアメリカ映画。パニック映画。ポール・ニューマン、スティーブ・マックイーン主演。ワーナー・ブラザース・20世紀フォックス共同製作・提供作品。日本では1975年に公開された。

 

 

映画のポスター。マックイーンが先、格上のニューマンが後、ニューマンを少しあげることで「調整」を図った。

 

超高層ビル火災を描いた映画。本作品は1970年代中盤期のいわゆる、「パニック映画ブーム」の中でも最高傑作と評されている。1974年度のアカデミー撮影賞、編集賞、歌曲賞を受賞。

 

配役、データなどはウイキペディアから抜粋、足りないところを加筆。

感想、ストーリーなどは私のオリジナルの原稿。

 

 

 

The Towering Inferno

監督    ジョン・ギラーミン

脚本    スターリング・シリファント

製作    アーウィン・アレン

出演者    スティーブ・マックイーン  ポール・ニューマン

音楽    ジョン・ウィリアムズ

主題歌    モーリン・マクガヴァン『We May Never Love Like This Again(愛のテーマ)』

撮影    フレッド・J・コーネカンプ

編集    カール・クレス

ハロルド・F・クレス

配給    アメリカ 20世紀フォックス

日本国内 ワーナー・ブラザース/20世紀フォックス

公開    1974年12月14日  日本 1975年6月28日

上映時間    165分

製作国    アメリカ合衆国

言語    英語

製作費    $14,000,000

興行収入    $116,000,000

配給収入    日本 36億4000万円

 

地上550メートル・138階、サンフランシスコにそびえ立つ世界最大の超高層ビルが、その落成式の日に地下の発電機の故障から火災を発し、やがて数百人の生命を飲み込む炎の地獄と化して燃え上がる。その大惨事を中心に、直面した人々のドラマを描く映画である。

製作は、当時にパニック映画『ポセイドン・アドベンチャー』をヒットさせたアーウィン・アレン。監督は『レマゲン鉄橋』『ハイジャック』のジョン・ギラーミン。音楽はジョン・ウィリアムズである。出演は、スティーブ・マックイーン、ポール・ニューマンを中心に、ウィリアム・ホールデン、フレッド・アステア、フェイ・ダナウェイ、ジェニファー・ジョーンズ、ロバート・ワグナー、リチャード・チェンバレン、ロバート・ヴォーン、O・J・シンプソンなど豪華な顔ぶれで、世界的に大ヒットしたことから、経営難であった20世紀フォックスを立て直した存在となった。

題名の「タワーリング・インフェルノ」とは、日本語では「そびえ立つ地獄」という意味である。原作が2本あり、リチャード・マーチン・スターン原作の『ザ・タワー』とトーマス・N・スコーティアとフランク・M・ロビンソンが書いた『ザ・グラス・インフェルノ(ガラスの地獄)』の原作小説2つを、スターリング・シリファントが1本のシナリオにまとめたものである。

現在ではメジャー映画会社同士の合作は珍しくないが、その先鞭を付けた作品といえる。マックイーンとニューマンの2人を含めて数多くの有名俳優が出演した本作は、『ポセイドン・アドベンチャー』『大地震』に続くパニック映画の極めつけの作品として、公開以前から話題となっていた。

1975年6月28日から、東京では丸の内ピカデリー・パンテオンなど6館、その他全国72館でロードショー公開されて、その後全国117館に拡大されて、当時は初めてと言われた全国拡大興行を展開した。このうち8大都市23館でのオープニング成績は2日間で計入場者数20万3,225名、都内6館の初日・2日目の成績は興行収入が前年大ヒットの「エクソシスト」の153パーセントと言われて、全国の配給収入が公開7週間で24億円、最終的には37億2,500万円を記録して、「ゴッドファーザー」「エクソシスト」を破り洋画ヒット作の最高を記録した。

 

マイケル・オハラハン - スティーブ・マックイーン

本作の主人公の一人で、消防隊のチーフを務める。グラスタワーの異常な階の高さと不十分な安全面をダグに苦言を呈しつつも、いくつかの場面で危険な任務に携わる。

 

ダグ・ロバーツ - ポール・ニューマン

オハラハンと並ぶ本作の主人公。グラスタワーの設計者。会社から独立して婚約者のスーザンと砂漠で生活するために退職を決めていた。電気工事の不正によりビルの出火したことが判明した時、ダンカンに落成パーティの中止と招待客の避難を助言するも、悉く無視される。その後、オハラハンと共に、避難誘導・消火の手助けをする。

 

ジェームズ・ダンカン - ウィリアム・ホールデン

グラスタワーのオーナー。利益優先と最新鋭のビルへの過信、自身のプライドを守ろうとしたことが、結果として被害を拡大させた。

 

スーザン・フランクリン - フェイ・ダナウェイ

ダグの婚約者で、出版社に勤務している。編集長の後任に自身が選抜され、自分の企画を発表することを目標としているが、ダグと一緒に街づくりを手伝いながら家庭環境を築く約束と板挟みになる。パーティーに参加しプロムナードルームにいたが、そこへたどり着いたダグと合流する。

 

ハーリー・クレイボーン - フレッド・アステア

アナハイム電力の偽造株券を所持し、未亡人のリゾレットに購入を持ちかけた詐欺師。

性根が優しいため詐欺師としては三流であり、リゾレットに対しても好意を抱いたことから罪悪感に耐え切れず、プロムナードホールで再会した彼女に自らの正体を打ち明け謝罪する。展望エレベーターで避難するリゾレットと再会を約束する。

パティ・シモンズ - スーザン・ブレイクリー

ダンカンの娘でロジャー・シモンズの妻。ロジャーが自分の行為が引き起こした予想外の大惨事に精神的に追い詰められていることを慮り、厳しい言葉をかけながらも彼に寄り添おうとするが、受け入れられることはなかった。

ロジャー・シモンズ - リチャード・チェンバレン

パティの夫でダンカンの娘婿。今回の工事で、2年前にダンカンの予算削減の求めに乗じて私腹を肥やそうと低品質な配線に差し替えるという不正な電線工事を行い、火災の原因を作った。会場に火が回る際、救命籠での避難が間に合わないことを知り事前のくじ引きで決まった順番を無視して避難しようとする。

リゾレット・ミュラー - ジェニファー・ジョーンズ

友人であるオルブライト夫人の子供の面倒を見ている。火災が起きた時に、ダグたちが救出した子供たちと共に危険な避難を試みる。

ハリー・ジャーニガン - O・J・シンプソン

警備員で保安係主任。ダグと共にオルブライト夫人らを救出し、リゾレットの飼い猫を保護する。

ゲイリー・パーカー上院議員 - ロバート・ヴォーン

来賓の一人。我先に救命籠に乗ろうとするロジャーの暴挙を止めようとする。

ダン・ビグロー - ロバート・ワグナー

広報部長で、元短距離の選手。落成式パーティの間、65階の一室で秘書のローリーと密会をしていたため、部屋に取り残される。

ローリー - スーザン・フラネリー

ダンの秘書で愛人。広報部長との密会がやがて悲劇を生んだ。

ポーラ・ラムジー市長夫人 - シーラ・アレン

展望用エレベーターで他の女性客と共にプロムナードルームから避難をおこなう。

ウィル・ギディングズ - ノーマン・バートン

ダグの同僚。火災の最初の犠牲者であり、81階の火元の倉庫のドアを開けようとした警備員の身代わりになって火が体に燃え移り救急搬送される。

ロバート・ラムジー市長 - ジャック・コリンズ

ダンカンの友人。ダンカンはボブと呼んでいた。最後までプロムナードルームに残る。

カピー - ドン・ゴードン  消防士

スコット - フェルトン・ペリー   消防士

カルロス - グレゴリー・シエラ

プロムナードルームのバーテン。

マーク・パワーズ消防士 - アーニー・F・オルサッティ

消防署副署長#1 - ダブニー・コールマン

最終手段として、上階の貯水タンクを爆破して消火することを提案する。

救助される女性 - エリザベス・ロジャース

フレイカー - ノーマン・グラボウスキー

消防署副署長#2 - ロス・エリオット

ジョンソン - オラン・ソウル

アンジェラ・オールブライト - カリーナ・ガワー

フィリップの妹。兄の奥の部屋で炎に怯えていた。ダグに救出され、兄、リゾレットと共にプロムナードルームへ避難する。

フィリップ・オールブライト - マイク・ルッキンランド

アンジェラの兄。ヘッドホンの大音量で避難誘導に気付かず家族と共に逃げ遅れるが、ダグやハリーたちによって救助され、プロムナードルームへ避難する。

オールブライト夫人 - キャロル・マケヴォイ

フィリップとアンジェラの母親。夫に先立たれている。聴覚が不自由であるため電話での避難誘導に気付かず、子どもたちと共に逃げ遅れてしまう。その後はハリーによって運ばれ子どもたちより先に避難に成功することとなった。

若い消防士 - スコット・ニューマン(P・ニューマンの息子)

ティム - ポール・コミ

ジャック - ジョージ・ウォレス

技術者 - ウィリアム・バセット

キャラハン - ジョン・クロウフォード

地下機械室の主任。

ウェス - エリック・L・ネルソン  電気室技師

歌手 - モーリン・マクガヴァン  本作品の主題歌を、パーティ会場で本人が歌唱をし出演

警備員 - ジョン・モイオ

秘書ジャネット - ジェニファー・ローズ  ビグロー広報部長の秘書

制御室警備員ビル - ウィリアム・トレイラー

 

ストーリー

(茉莉奈の執筆)

世界一の高さを誇る「グラスタワー」の落成記念パーティの日、ダグ(ポール・ニューマン)はヘリで砂漠から戻った。

 

戻ると婚約者のスーザン(フェイ・ダナウェイ)が待ちわびていた。

ビルには様々な参列者も集まっていた。ビルのオーナー、ジェームズ・ダンカン (ウィリアム・ホールデン)はラムジー市長 ( ジャック・コリンズ)を待ち受けテープカットの式を挙行。一方、詐欺師のハーリー・クレイボーン (フレッド・アステア)も到着。エントランスに立ち、あまりの高さに首を降るのだった。

ビルのオーナーのダンカンに、ダグはその事を報告し竣工式の延期を訴えるが、ダンカンは竣工式を延期させないと断る。そんな不安の中で、とうとう竣工式は行われてしまう。

ジェームズ・ダンカンはウェス (エリック・L・ネルソン)にビルの全館点灯を命じた。

下から上に点灯するグラスタワー。世界一を誇るビルが煌びやかにサンフランシスコの街に輝いた。

一方、そんな中悲劇は始まっていた。

ロジャー・シモンズ (リチャード・チェンバレン)は建築費を浮かせるため、安い材料を使っていた。案の定、オーバーヒートを起こして倉庫からボヤが始まる。

しかし、倉庫の火災は着々と延焼し、燃え続けていた。ダグは相棒のウィルとと共に、もう一度、ビル全体の点検を始めた。やがて、81階から火災が発生しているのを気づいた警備主任ハリー・ジャーニガン -(O・J・シンプソン)は消防を要請する。81階にいた警備員は、煙が発生しているドアに気付き、開けようとするが後から来たウィルがその警備員を制止しようとする。そして、ウィルは警備員の代わりにバックドラフトに巻き込まれ、大やけどを負ってしまう。この状況は重く見たダグは、ダンカンにパーティー会場の客の避難を促すが一向に聞こうとしない。

やがて、タワーに消防隊のオハラハン隊長が到着する。オハラハンの説得で、ダンカンはようやくパーティ会場の客を避難させるが81階の火事は着々と延焼し、パーティ会場にまで迫った。そして、火災の影響で中央エレベーターや階段が使えなくなってしまい次々と逃げ遅れた人々を炎は巻き込んでいってしまう。屋外エレベーターでの避難を開始したもの、宙吊りとなり、オハラハンの活躍でなんとか救出。ただ、エレベーター内にいたリゾレット・ミュラー -(ジェニファー・ジョーンズ)は、小さな女の娘を助ける代わりに、ゴンドラの割れた隙間から転落してしまう。

 

 

次に屋上からヘリでの脱出を試みるが屋上まで上がってきた炎によって、ヘリは爆発してしまう。更に、隣のビルとビルの間をロープで繋ぎカゴを使っての救出法に試みるが、しびれを切らしたダンカンの娘婿のロジャーがリフトを奪い、騒動となり、リフト共々落下してしまった。

パーティ会場にいる客を全員避難させるには、時間が足りない事を知らされたオハラハンは、最後の手段に出るとダグに伝える。

最後の手段とは屋上の貯水タンクを爆破し、その水でビルの火災を消火するものであった。

決定した副署長から最上階にいくことを「提案」されたオハラハン。

副署長「状況を説明しただけだ。強要はできない」

オハラハン「戻る方法は?」

副署長「......」

オハラハン「shit!」

やがて、オハラハンとダグによって貯水タンクが爆破され、大量の水が会場に流れてくる。多数の死者を出したが、ようやくビルの火災は鎮火する。

生き残ったオハラハンはエントランスで休むダグとスーザンに消火の限界を無視して高層化ばかり競う建築業界に忠告し、再会を約束して別れるのだった。

 

 

 

監督 - ジョン・ギラーミン

ブルー・マックス - The Blue Max (1966年、監督)

レマゲン鉄橋 - The Bridge at Remagen (1969年、監督)

タワーリング・インフェルノ - The Towering Inferno (1974年、監督)

キングコング - King Kong (1976年、監督)

ナイル殺人事件 - Death on the Nile (1978年、監督)

キングコング2 - King Kong Lives (1986年、監督)

 

製作・アクションシーン監督 - アーウィン・アレン

タワーリング・インフェルノ(アクションシーンのみ) The Towering Inferno (1974)

スウォーム The Swarm (1978)

ポセイドン・アドベンチャー2 Beyond the Poseidon Adventure (1979)

プロデュース作品

ポセイドン・アドベンチャー Poseidon Adventure (1972)

タワーリング・インフェルノ The Towering Inferno (1974)

原子力潜水艦シービュー号 Voyage to the Bottom of the Sea(1964 - 1968)テレビシリーズ

宇宙家族ロビンソン Lost in Space (1965-1968) テレビシリーズ

タイムトンネル The Time Tunnel(1966 - 1967)テレビシリーズ

巨人の惑星 Land of The Giants (1968-1970) テレビシリーズ

なんと!名作「原子力潜水艦シービュー号」「宇宙家族ロビンソン」「巨人の惑星」のプロデューサー。

 

原作 - リチャード・マーティン・スターン(『そびえ立つ地獄』早川書房)

原作 - トーマス・N・スコーシア、フランク・M・ロビンスン(『タワーリング・インフェルノ』早川書房)

脚色 - スターリング・シリファント

撮影 - フレッド・J・コーネカンプ

 

音楽 - ジョン・ウィリアムズ

1972年『ポセイドン・アドベンチャー』

1974年『タワーリング・インフェルノ』

1975年『大地震』

1975年『ジョーズ』(アカデミー作曲賞・グラミー賞受賞)

1976年『ミッドウェイ』

1977年『スター・ウォーズ』(アカデミー作曲賞・グラミー賞受賞)

1977年『未知との遭遇』(グラミー賞受賞)

1978年『スーパーマン』(グラミー賞受賞)

1979年『1941』

1982年『E.T.』 (アカデミー作曲賞・グラミー賞受賞)

1984年『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』

1990年『ホーム・アローン』

1993年『ジュラシック・パーク』

1993年『シンドラーのリスト』(アカデミー作曲賞・グラミー賞受賞)

1998年『プライベート・ライアン』(グラミー賞受賞)

2001年『ハリー・ポッターと賢者の石』

2005年『宇宙戦争』

などなど多数。

 

主題歌 - モーリン・マクガヴァン 「We May Never Love Like This Again」

提供 - ワーナー・ブラザース、20世紀フォックス

 

 

モーリン・マクガヴァンはこの映画でデビューした。

 

 

 

プロダクションノート

 

 出演者のうち3名が、アーウィン・アレン製作の「ポセイドン・アドベンチャー」にも出演している。

・機械室主任役のジョン・クロフォード(「ポセイドン・アドベンチャー」では機関長役)

・電気室技師役のエリック・L・ネルソン(「ポセイドン・アドベンチャー」では船員のティンカム役)

・市長夫人役のシーラ・マシューズ(「ポセイドン・アドベンチャー」では看護師役)

 

BSジャパン版以外の吹替では「グラス・タワー」を「タワービル」と呼称されている。

オープニングの終盤でテロップが流れる際、フジテレビ版では城達也、日本テレビ版では矢島正明による「自分の命を顧みず、他人の救助活動に励む世界の消防隊員に、この映画を捧げる」という読み上げがあった。但し、後者はBlu-ray未収録。

この映画は、史上初めてアメリカの大手映画会社「ワーナー・ブラザース」と「20世紀フォックス」が共同で製作・配給した作品である。もとはそれぞれ異なる小説で、「ザ・タワー」をワーナーが買い取り、「ザ・グラス・インフェルノ」を20世紀フォックスが買い取って、最初はそれぞれ映画化される予定だったが、内容が似通っていて、ともにビル火災をテーマにしているため製作予算が巨額になることなどから、両社は企画をまとめて共同製作にすることになった。

製作費は折半されたが配給権は、米国内では20世紀フォックスが、米国外ではワーナー・ブラザースが持った。

製作のアーウィン・アレンを初め、スタッフの多くが、2年前の『ポセイドン・アドベンチャー』製作にも携わっており、その際の特撮技術を同作品に応用した。

火災の舞台となるグラスタワーは、全高33mにも及ぶ長大なミニチュアセットが作られた。内部にガス管が配管され、ここからガスに着火して火を吹き出させることによって火災を表現した。クライマックスでの鎮火シーンでも、高圧水管を用いて実際に大量の水を放水している。

 

主としてワーナーの映画に出演していたスティーブ・マックイーンと、主として20世紀フォックスの映画に出演していたポール・ニューマンの顔合わせが実現した。マックイーンはニューマンと同じ量のセリフを要求した。高層ビルの設計者役のニューマンは映画冒頭から登場するが、消防士役のマックイーンは40分を過ぎたあたりから登場している。

オープニング・クレジットでマックイーン、ニューマンのどちらの名が最初に表示されるか注目されたが、画面の左下にマックイーン、右上にニューマンの名が配された。欧米の書式では先に読む左側のマックイーンが一見すると上位になるが、文字が配置される「縦位置」ではニューマンの方が高くなっており、結局はどちらが優位か分かりにくい表示になっている。この奇妙な配置は共に主役を務める二大スターに優劣をつけず名前を出すための苦肉の策である。他に映画タイトル前のクレジットで登場するのはホールデン、ダナウェイのみとなっている。日本ではパンフレットのキャスト欄やテレビ欄などでは大半がマックイーンを先頭においている。

以下、冒頭で主要助演としてタイトルされる人数が多く、アステア、ブレークリー、チェンバレン、ジョーンズ、シンプソン、ヴォーン、ワグナーの順に独立に、フランネリー、マシューズ、バートン、コリンズ、ゴードン、ペリー、シエラ、オルサッティ、コールマンがまとめて表示されるなどキャストの豪華さを伺わせている。

 

O.J.シンプソン

オレンタール・ジェームス・シンプソン(Orenthal James Simpson , 1947年7月9日 - )は、カリフォルニア州サンフランシスコ出身の元アメリカンフットボール選手、俳優。

O.J.(アメリカ合衆国でオレンジジュースの略語)のイニシャルで知られ、「ジュース」の愛称で呼ばれた。引退後、アメリカンフットボール選手としてプロフットボール殿堂入りした。1994年に発生した元妻の殺害事件(O・J・シンプソン事件)の被疑者となったことでも知られる。

 

S・マックイーン

様々な役をこなしてきた。その役所の中で様々な衣装、制服などを着てきたが半袖のYシャツにネクタイというのはこの作品のみであり、かつて「ゲッタウェイ」などでは「最もサングラスが似合う」とも言われたが、やはりこのYシャツにネクタイというのは相当かっこいい。

 

フレッド・アステア

フレッド・アステア(Fred Astaire、1899年5月10日 - 1987年6月22日)は、アメリカ合衆国ネブラスカ州オマハ生まれの俳優、ダンサー、歌手。舞台から映画界へ転じ、1930年代から1950年代にかけてハリウッドのミュージカル映画全盛期を担った。

「タップの神様」などと呼ばれる。

「詐欺師」という配役は彼にはなぜか?と思うところが多い。

騙そうとした相手、リゾレット(ジェニファー・ジョーンズ)に見透かされてしまうが、偽造の証券を上着に入れたまま、その上着を救助に使ってしまい、それを逆にリゾットから「好き」と言われ恋に落ちる。

ラストシーンは転落死したリゾットが遺した猫を大事に抱くのだった。

 

ロバート・ヴォーン

「荒野の七人」以降はなぜかしょぼくれた上院議員役が多い。そして本作も。

日本映画の「復活の日」ですら議員役。

議員を演じて右に出る者なし?か。

「レマゲン鉄橋」では粋なサングラスを掛け、橋を死守できなかった責任を取って銃殺される将校。

 

ポール・ニューマン

あんまり好きではなく、書くところなし。(笑)

 

ウィリアム・ホールデン

ビルオーナーでパーティを強行、富豪の役だが、最後には事故の責任者である娘婿を殴りつけ「息子と私は責任を取って最後まで残る!」と宣言。そうした正義感のある役所を与えて往年のスターに貫禄を持たせた。でないとホールデンも怒るかもしれない。

 

 

主役の「グラスタワー」について。

あの展望エレベーターなどのホールはサンフランシスコのハイアット・リージェンシーだった。

ハイアット・リージェンシーHPより。このドームエレベーターが特徴的だ。そのまんま映画に取り入れている。

 

サウンドステージの中に5つの階を1階ごとそっくり組み立て、室内セットを19作った、という。

これらのセットは、一度火をつけてもまた後で使えるよう、耐火建築にすることが必要で、火が燃え移らないようカメラの映らない場所に囲いを作って撮影した。プロムナードルームは、鉄鋼で5メートルのやぐらを組み、その上にセットを建てた。でないと4000リットルもの水を放水するので本当に出演者が溺れてしまうからだ。

 

映画にはロサンゼルス消防署の本物の消防士が100人、休暇を利用して映画に参加、映画を盛り立てている。

撮影中、マックイーンはマックグローを撮影現場に呼び、ニューマンはウッドワードを、ワグナーはナタリー・ウッドが寄り添いべったり。

ロバート・ヴォーンは衣装のまま抜け出してサンタモニカでリンダ・スターブと結婚、フェイ・ダナウェイもソングライターのピータ・ウルフと結婚という、本作では結婚ブームとなった。

 

感想

パニック映画の代表的作品です。公開前から大きな話題とっていたのは、その共演陣の豪華な顔触れにもよると思います。彼らが一堂に会するわけではありませんが、それぞれの人間模様が垣間見れれることが記憶に残っているのです。閉鎖された空間で迫り来る死と闘うのは既に『ポセイドン・アドベンチャー』でも見られた構図ですが、超・超高層ビルのちょうど真ん中辺りで発生したボヤが大火となり、ビルの落成記念パーティに招かれていた名士達を襲うという設定はなかなかでした。最初はほんの小さな失火が、時間の経過と共にビル全体に燃え広がり、中に閉じ込めらた人達の運命は時間との勝負となる。結果から言えば、犠牲となった人達のほとんどが助かったはずなのに、ビルの安全性と経済的問題、それと自分のメンツにこだわった会社社長の判断ミスにどうしても目が行くのです。そう、人災ということなのです。ビルの消化を指揮する隊長が警告のためにパーティ会場を訪れた際に、婦人の何人かに声をかけて連れ出せばいいのに、と当時の私は思ったくらいでしたから。確かに隊長の口から「火事の発生」が告げられたらパニックが起こっていたでしょう。しかしほんの数人であったにせよ、救うチャンスを逃したという点は重大な失態でしたね。ビル建設で問題となるのはエレベーターの設置なのですが、未だに効率的に横へ移動する物は実用化されていません。ビルが巨大になればなるほど、中を利用する人間の数は多くなり、事実出退勤の時間は相当な混雑となることは誰しもが経験したことがあることでしょう。映画でも失火を告げられて我先へエレベーターと向かう人々が描かれていますが、下降中に延焼中のフロアで不意に扉が開き、無残にも焼死するという惨劇を見たことは現在でも大きなショックとなっているのですが。エレベータはその構造上、煙突同然であり、火と煙の通路でもあるということを知らしめた点でもこの映画は評価できるのです。「確実に消火できるのは7階までだ」という隊長の言葉にも現実の厳しさを感じました。おそらく技術が進んだ今日においてさえ、その数字が飛躍的に伸びているということはまずないのでは。本来安全性を最優先すべきところを経済性重視(実際は賄賂絡みの手抜き工事の連続)のためおざなりにされたのも当時の時代性を反映しているようでした。この映画の見どころは何と言っても炎との闘いにあります。実際にビルの高さに相応するセットを汲んで火の手を上げて見せるという手法は革新的で、凄い迫力でしたね。『PA』が水との闘いであったこととも好対照でした。残念だった点もあります。物語の終盤で火の手が迫り、このまま全員焼死するか、それとも屋上の配水用タンクを爆破して一気に消火するのか(水圧等で死人が出るのは避けられない)という決断に迫られたけれど、あっけなく鎮火に成功したのは興醒めでした。ここでの描写が弱かったのは不満でしたね。ともかくも、こういう種類の大作は実写を取り入れた形ではもう作られることは無いですよね。映画だから許されることもありますけど、コンピュータの作った画像では、あの迫力が見られることはまずないでしょうから。こういう点でも記念すべき一作なのでした。

最近では韓国などで超高層建築の火災もあり、ああいう火災を見るとあの映画も「なかなか」と思い出さずにはいられない。