“音を、声を、まっすぐ出す”
音楽をやっていると、必ずこの感覚を求められる時があります。
実際、ヴァイオリンでも長くまっすぐな音を出す練習をし、
体全体のバランスや右手のボウイングなどのテクニックを駆使して、様々なものをコントロールし、
揺らぎの無い音を追求し、
音を整える作業をおこないます。
ですが、ついさっき、
何気なく、背中を壁につけて座り、
なんでもない音を鼻歌・ハミングで伸ばしていました。
「ンーーーー...」
すると、息は一定で、体も無駄な動きは全く無いはずなのに、
敢えて区切ってはいないのに、
心臓の鼓動に合わせて、少しの音の揺らぎが入りました。
「ンー(ン)ー(ン)ー...」
母音・口の開き方を変えても、同じこと。
「アー(ア)ー(ア)ー...」
この脈拍に合わせて出る“音の揺らぎ”は、
生きていて、心臓の鼓動が無ければ現れない音。
何にも寄りかからずにまっすぐに立って、
声を遠くへ届けること“だけ”を求めていたなら、
気づくことのない、
あるいは、考えただけでわかりきっている、
特段検証すらしない、“当たり前”の音の現象だったかもしれません。
ただ、私は今日、その音が聞こえた時、
何かに触れている、
何かに触れられる、
ということで、
“自分が生きている”ということを感じさせらるのだ、
ということに気づきました。
きっと、人と人の心の触れ合いも、
近くのものに触れられることも、
共通の意味をもつ。
外界の力を借りて、自分の内面に目を向けられる。
何かに触れる、触れ合うことができること、
微細な揺らぎを見つめることができること、
それら全てがまた、
生きている証であり、
“しぜん”なことで、
自然の一部だから感じられることであり、
たいせつな感覚のうちのひとつ、なのかもしれません。
この感覚を覚えた時、
なんだかほっこり温まる、
そんな気がしました。
まだ肌寒い春本番の少し前。
さぁ、あなたもご一緒に(*´꒳`*)
そっと触れて、ハミング♪.。+*°
2024. 3. 12
Marina