SST(Social Skill Training) | marimo's blog

marimo's blog

青年海外協力隊で、作業療法士としてヨルダンに派遣されています!

文化も習慣も全く違うこのイスラム社会で、
山あり谷あり奮闘しながら、2年間の活動を綴ります!

今、活動がとっても楽しいのです。
同僚達も、私の立ち位置をなんとなくわかってくれていますし、居心地が良いです。
もう残すところ任期が半年近くとなった今、私の後任についてを就学前部門のボスであるナーディアに相談したところ、

「あなたのようにアクティブで明るい人は、なかなか難しいと思う」

と、すごく嬉しい一言を言われました。
お世辞もあると思うのですが、活動先をここにして良かったなーと思いました。
活動先のみんなが外国人の私にとっても優しいから、ニコニコできますし、
支援において目指す方向が一緒で、活動に協力的だから、色んなことに積極的になれるのかな、と思います。

多分、配属された8月後半当時の私は、色んなことがうまくいかなくて、自分で振り返っても、「後ろ向き星人」でした。

周りのみんなに救われたと思っています。

後任は、当初は要らないと思っていたのですが、
軌道に乗り始めているプロジェクトもあり、
後任要請の必要をJICAに伝えました。
見つかれば良いですが‥・


***********


さて、今日は2回目のSST講座でした。
image4.JPG image3.JPG

ソーシャルスキルトレーニングの目的は、そのままですが、就労をする前に社会的スキルを身に付けること。

職業訓練部門の学生の中で、働けそうな学生は沢山いるのですが、
先生との距離が近かったり、時間にルーズだったり、言われないと動けなかったり、
ため口だったり、


兎に角、学校も同じこのセンター内で過ごせてしまうこの私の活動先は、学生にとって良くも悪くも、居心地の良い場所なのです。

このぬるま湯に浸かりきった学生を受け入れてくれる企業もあると思うのですが、
ある程度の練習をして、学生のメリットデメリットを把握した上で送り出した方が、その後のフォローもし易いですし、何より企業側の知的障がい者の雇用窓口も広がるのでは?、と。

この点をナーディアと話し合った結果、新しいプログラムを作成することになりました。
それが、Social Skill Training(SST)です。
日本では私が学生の頃、精神科デイケアの実習で見学させてもらったことがあり、
その時の事を思い出しながら、色々調べながら、なんとか英語でプログラムを作成しました。
それを、優秀な事務のリダーダが瞬時にアラビア語訳版に翻訳してくれて、私が帰国しても使えそうな永久保存版も完成しました。
リダーダに感謝です!!


第1回目、どうなることかと思ったSST。初回は7名でした。
トピックは、自己紹介。後半は、実際に偉い人と喋る時の椅子の腰かけ方等、態度についてののデモンストレーションも行いました。

また、出勤時に必要な日付とサインをしてもらうという、ヨルダンでは多くの勤務先で行われていることを、学生に試してみました。(ナーディアのアイディアです。)
この課題は問題が各学生にそれぞれあって、名前のサインと日付の練習という簡単な宿題を出しました。



この宿題、学生達は学校でずっと前にやっているだろうし嫌がるかなと思いきや、
欲しい欲しいと言うのです。

数字の書字がぎこちない学生には、個別プリントを渡したのですが、
これも、

「僕にも!やりたい!」

と言われ、一生懸命な学生が健気で微笑ましかったです。宿題は継続しようと思います。

SSTに参加した学生は、そのこと自体が嬉しかったようです。社会に出たい、外で働きたい、そんな学生ばかりなのです。



本日は第2回。 今回は11名でした。
私の顔を見るなり、今日のSSTを覚えていることを伝えてくる学生、渡した宿題を忘れて困ったと伝える学生、様々でしたが、皆すごくSSTを楽しみにしていることは伝わりました。

今日の開催予告の告示は昨日でしたが、字も書けない学生もいる中、参加者リスト全員がSST定刻の9時前に揃っていたのです
人に言われて来るのではなく、自分で覚えていること、忘れた場合の解決方法を自分で見つけること、これが出来たらなーと思うのです。

本日のトピックは、遅刻や欠席をする場合の断り方。
電話と対面と両方のデモンストレーションを行いました。


前回の復習で、椅子への腰かけ方は、私が悪い例を演じ、学生に指摘してもらいました。笑


学生は一生懸命にどこが悪いのかを指摘してくれました。


次回は明後日。黒板に次回開催日が記載されているので、忘れたらここに来て確認する、知っている人に聞く、参加者のみんなで協力して忘れないようにするという方法があることを伝えてきました。
明日の前日告知は聞かれない限りしないですし、他の先生方にも明日は告知しないで知らんぷりして欲しいと伝えてきました。

SSTのために作った個人ファイルも、個人で管理してもらうことにしました。

帰り際、誇らしげに赤色のファイルを持っている学生達でしたが、ちゃんと明後日持って来てくれるでしょうか。
これは今後見守りたいと思います。



このSSTに対して同僚の皆さんはすごく協力的で、
SSTの宿題を、その企画に携わっていない学校部門の事務の人が一緒に考えて作ってくれたり、本当に助かっています。宿題は勿論アラビア語なので、私がするより10倍は早いです。笑
色々頼んだのに、毎日おいで、ウェルカム!と言ってくれるこの優しさ、ほんとに感謝です。
image1.JPG
※写真は、アラビア語の宿題プリントを作ってくれた2名!ありがとー!


特に就学前部門のボスのナーディアは、私がいることで、今までになかった新しいプロジェクトをやったり、
今までよりも仕事量が増えたのは確実だと思うのですが、私に対して少しも不満も言わず、いつも一生懸命になってくれて、本当に有難い存在なのです。

あとは、就労支援のプロジェクト以外にもナーディアが抱えていることが多い(あくまで、彼女の本業は就学前部門なので)ため、私が帰るまでに仕事の分散をさせてあげなければ‥と思っています。

本来なら職業訓練部門のボスがやって欲しいこのプロジェクト
そのボスがナーディア少し任せになっているような気がして、彼にももっと主体的に動いてもらえるように働きかけることが次の課題かな、と思います。

結局、1回目、2回目ともに彼は一瞬も来ず、少し残念でした。
昨日の終礼の際に、学生全員の前で彼がSSTのことを告知していたため、今日は覗きに来てくれるかな~と期待していたので。
まぁ諦めず、次回に期待です!そして満面の笑みで、

「あなたに見に来てほしい!あなたの事を待ってるわ!」

目をキラキラキラキラさせて伝えることが私の仕事かと思います。




余談ですが、この就労支援のサポート以外に最近行っていることでは、
この前ヨルダンに来てくれた、東京の職場の元同期作業療法士の奥さん(彼女も同期、管理栄養士)の協力を得て、肥満児の多い学校部門で栄養指導マニュアルを作り体重グラフをボスに渡したり、実際にセンターで購入できるお菓子を持って行ってカロリーと照らし合わせてイメージを持ってもらったり、

就労前部門の朝の朝礼でヨルダン国歌の伴奏や、譜が無い歌詞に適当に音階を作って歌にしたり。(ヨルダンには多くの学校で音楽授業がないため、歌に譜がなく、詩の朗読のようになっているのです。)

3歳から12歳まで本当に嫌で嫌で仕方がなかったピアノのレッスンが、今になって役立つなんて思ってもいませんでした。全然上手ではないけれど、少しはピアノが弾けることで、ここではかなり重宝されているのです。
全然練習しなかったため、当然友達に比べて上達がすっごく遅かったのに、それでも続けさせてくれた母親には本当に感謝です。
もっと練習に精を出すべきだったことは言うまでもありませんが。


人生無駄な事なんてないんだなーとつくづく思います。