第224話 鏡の破片 | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第224話 鏡の破片

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屈強な防御壁に囲われた心の深淵に

スピードの力を借りた思考はするすると浸入していく。


暗く、奥深いその洞窟には

割れた鏡の破片があちこちに散乱している。


私は目を凝らして

破片の中に映りこむものを確認し

その洞窟の全体像を見極めようとする。




援助交際という穴に堕ちたときから

SEXは快楽を得るための手段ではなくなった。


私の身体はいつも乾いている。


だけど私は

たとえ身体が悦ばなくても

愛する男に抱かれることが好きだった。


「私を抱いて! もっと抱きしめて!」

いつでもそう切望してきた。


大好きな男の愛を受け取りながら

私の自意識は満たされ

不安は取り除かれていく。


私にとって愛する相手とのSEXは

精神安定剤のような役割を果たしている



一枚の鏡の破片が

鈍い光を放っている。


私はその破片を覗き込む。


優弥・・・


思い出すこともなかった

優弥の記憶が鮮明に蘇る。


一度だけ

私の身体が素直な反応をみせたことがあった。


優弥に初めて抱かれた日

私の身体は潤んで溢れていた。


優弥と一体になりながら

心と身体がピタリと重なりあったようで

感動した私の瞳には涙が滲んだ。


それは

完全な自分自身を取り戻した瞬間だった。


私は優弥の彼女ではなかったけれど

そんなことは問題ではなかった。


優弥を愛しているだけで

あの時の私は幸せだったのだ。


だけど

あの事件がおこって

全てが変わってしまった。


妊娠が発覚した時

私は手首を切り裂いた。


あの時も

現実感が急速に失われていき

どこか別の世界に入り込んでしまったように感じた。


今までと同じようで

少しだけ違う歪な世界に。


そうか

あの時私は

手首と一緒に自分自身を引き裂いたんだ


歪んだのは世界ではなく

私の方だったんだ


「世界は自分の投影である」

という概念が実感を伴った確信に変わった。


そして中絶手術を終えたとき

失われた子供の命と一緒に

優弥への一切の想いも消えてなくなっていた。


あの時

私から奪われたものは

何だったのだろう。


自分の探し求めているものの正体が

もう少しで解りそうな気がする。


割れた鏡の破片を踏みしめながら

私は暗い洞窟の奥に足を進めていった。




一日中、考え込んでしまった。 旦那に「おまえ、鬱になってない?」とか言われるし^^;

書きたいことがなかなか、まとまらなくて、出来の悪い文章ですが・・・とりあえず更新しときます。

実際、洞窟の奥を覗き込んでるのは現在の私だったりするからキツイのかな。 がんばろ。


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