第219話 後の惨状 | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第219話 後の惨状

本文は小説です。

ここに書いてあることは全て私の過去の体験に基づいたもので、現在のことではありません。

ドラッグは法律で禁止されていますし、人生に悲惨な影響を及ぼすものであることを先にお伝えしておきます。



鏡に映った私の顔は

この世のものとは思えない惨状だった。


一体何がおこったのか・・・


どうしてこんなことになってしまったのか・・・


乾いた肌がつっぱり、所々ひび割れて

顔全体がケロイドのようになっている。


『二度と人前に出ることは出来ない』


そんな恐怖に慄きながら

震える指先でそっと顔に触れた。


心臓が

耳のすぐ後ろにあるみたいに

「ドクン ドクン」という音が轟かせている。


火傷?


混乱しきった頭で

記憶の整理をしてみても

顔面に火傷を負うなんて

どう考えてもありえなかった。


頬のあたりを指先で捕らえ

感触を確かめる。


「きゃーーーーーーー!!!」


私はもう一度絶叫した。


ケロイドの皮膚が指先にへばりつき

今にもはがれそうなのだ。


鏡に映る私は

震える両手を頬に添え

ムンクの叫びのような形相をしている。


指先についた皮膚のほころびを持ち上げると

日焼けの後の肌みたいにピリピリと薄皮が剥けていく。


皮膚を剥がしているのだと思うと

気絶しそうな心境で涙が滲んだが

痛みは全く感じない。


しかし、それも

スピードのせいなのだろうと私は考えた。


全てスピードのせいなんだ・・・


スピードが何らかの化学反応をおこして

私の顔はこんなふうになってしまったのだ。

と思い込んでいた。


ああ  どうしよう・・・


「あっ まりも! これっ!」


今まで固唾を呑んで

様子を見守っていたユウが口を開いた。


パックのように

一枚続きで剥がれている皮膚を両手で持ったまま

私はユウの方を振り向いた。


ユウの指差した先にある物を見ても

しばらくはその意味が掴めなかった。


ベッドの上に

ピンク色の液体が入ったボトルが転がっている。


ローションだ。


ずいぶん前に

AV撮影の時に使ったものを持ち帰り

押入れの奥に仕舞い込んであったはずの物だ。

がっーーーーーーん!!!


全てを理解した私は

安堵のため息をつく間もなく

愕然として肩を落とした。


私の顔は

いつのまにかローションまみれになり

それがそのまま固まって乾燥していたのだ!


スピードをキメて40時間

私達は様々なものを持ち出して

あらゆるプレイを試していたのだった。


記憶がないわけではないのだが

まさかそんな理由だとは思いもよらなかった。


良かった・・・


剥がしていたのは皮膚ではなくローションだったんだ・・・


思い込みって怖い・・・


とりあえず安心した私は

シガレットケースを持って

ベッドルームへと戻った。


目に入ってきた光景にまた愕然となる。


私の顔の惨状もさることながら

ベッド上の惨状も半端なものではなかった。


自慢のクイーンサイズのベッドは

一面ヌルヌルのドロドロである。


何をどうやったらこんなになるんだ・・・


暗澹たる気持ちで

ユウを見詰めた。


目が合うと

おかしくなって

二人で少しだけ笑った。


「これは・・・ちょっと、ありえないね!

スピード、おそるべし! いやぁ・・・ まいったわ」


それが二人の共通の感想だった。


「とりあえず、一服したら片付けよう。

まりも、顔洗っておいでよ。 てか、シャワーだな。 

うん、シャワーを浴びよう。 後始末大変そうだね。 うん」


ユウもまだ混乱しているようだ。


私達は煙草を吸い

熱いシャワーを浴びてリフレッシュした。


シャワー室から戻ってくると

完全に現実に戻ってきたように感じて

気持ちも冷静になっていた。


「びっくりしたねー。 てかもう切れたよね? 今、普通だよね?」


私はユウに

スピードの効果が切れているかを確認する。


「うんうん。 たぶんもう切れてる。 シラフだよ。」


「とりあえず片付けちゃうか」


ユウはそう言うと

シーツ、布団カバー、枕カバーを全部はずしにかかる。


私はベッドルームに置いてある

ドレッサーの上を片付け始めた。



がっーーーーーーん!!!


気がついた時

またもや3時間もたっていた!


ベッドルームはどこもかしこもピカピカだ。


ドレッサーの上はデパードの化粧品売り場のように

整理整頓されて飾り立てられている。


私は化粧水や乳液の瓶

マニュキュアのガラス面まで

全てクリーナーで磨きをかけるまで

トコトンやってしまった。


「これは・・・あれだ。 ・・・まだ 抜けてないんだね・・・。」


私は

まいったな

というかんじで頭をかいた。


「うん・・・。 ・・・また はまってたみたい・・・。」


ユウは

トホホというかんじに眉を八の字にさせ

微妙に笑った。





てかさー、笑い話みたいなオチついてるけど、超マジ。

量やりすぎたってのもあるんだろうけど、最初の時がある意味一番強烈だったかもなぁ。。。

怖いよなー。 私、よく生きてるなって、思ってしまった・・・


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