第217話 スピード初体験 | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第217話 スピード初体験

本文は小説です。

ここに書いてあることは全て私の過去の体験に基づいたもので、現在のことではありません。

ドラッグは法律で禁止されていますし、人生に悲惨な影響を及ぼすものであることを先にお伝えしておきます。



雲の間から

満月が冴え冴えと白い光を放っている。


全ての窓のカーテンを閉める。


「本当にやるの・・・?」


アルミホイルを折りたたむ私に

ユウは不安げな表情で尋ねる。

 

「怖い? だったらユウはやんなくてもいいのよ?

私は一度だけやってみたいの。

これをくれた姐さんも、ちょっとハイになるだけだって言ってたし」


ヒカルからもらったとは

さすがに言う事は出来ず

持っていたスピードは

一緒の香盤になった記念に、と

踊り子の姐さんがお裾分けしてくれたのだと嘘をついた。



「ドキドキするなぁー。 やっぱり何でも初体験って痺れるもんよね~!

ユウはあんまり好きじゃなかったみたいだけど、私はLもすっごい良かったもん。」


尻込みしているユウをよそに

私ははやる気持ちを抑えて慎重にアルミホイルを伸ばしていく。


「危ないモノではないの? チョコとLとどっちよりなのかな?」


ユウはさっきから質問ばかりする。


決断しかねているのだろうけど

優柔不断なユウは結局はいつも私のいうことを訊く。


それには少し背中を押すだけですむ。


「さぁ? どっちに近いんだろうね? やってみなきゃ何とも言えないでしょ。

とにかくストリップからようやく開放されて私はご機嫌なのよ!

それに3日もオフなんだから楽しまなきゃ、 きっと気持ちよくなれるわ。」


ユウは黙って

私の手元をじっと窺っている。


「パーティしよ♪」 

ユウの頭を撫でて唇を重ねた。


完成したアルミ箔の上に

スピードの細かい結晶を5つだけパラパラとのせる。


半分くらいに短くカットしたストローを咥え

アルミから10cm程離れた位置でライターに火をつけ

徐々に炎を近づけていく。


スピードの結晶は気化して透明な液体になり

スッーとアルミの上を流れると

白いラインを作ってまたすぐに固まる。


その瞬間に立ち昇る細くてなめらかな煙を

私はストローで思い切り吸い込む。


味も匂いもしない。


ただの空気を吸い込んだみたいで

ドラッグをしているという実感が沸かない。


煙とは呼べない湯気のようなものを吸っているかんじだ。


「もう少し吸ってみるね」


私はそう言うと

続けざまに何度かスピードを吸った。


吸い込んだスピードを

肺の中に循環させるイメージで

ギリギリまで息を止め

ゆっくりと吐き出していく。


煙草やチョコのように吐き出す煙が見えないから

余計に実感が沸いてこないのかもしれない。


自覚症状も皆無だった。


「なんともないの?」


だまって見ていたユウが口を開く。


「全く・・・ ユウも吸ってみなよ。」


私はアルミ箔とストローとライターのセットをユウに手渡す。


ユウは

ほんの気持ちばかり

スピードを吸い込む。


「ねっ? 何ともないでしょう?」


ユウは首を縦に振り、もう一度火をつける。


今度は確認するかのように

しっかりとスピードを吸い込んでいる。


「本当だね、 何の味もしないし、 よくわかんないな」


私とユウは

アルミ箔を回しあいながら

一服ずつスピードを吸っている。


何度も何度も繰り返し吸う。


しかし

一向に効き目は現れてこない。


「もしかして何か間違ってんのかなぁ・・・」


私はだんだんと焦り始める。


「うーん・・・ これをやると、どうなるのか聞いた?」


「だから、 ちょっとハイになるって。 あとは何かにすごくハマるんだってよ。」


量が少ないのかも、と思い

アルミの上にスピードを足していく。


しばらく吸っていると

アルミの底に黒い煤がつき焦げてしまう。


ユウが新しいアルミホイルのセッティングに取りかかる。


心なしか体の末端が冷えてきたような気がして

私は暖房の温度を上げる。


ライターを握る指先が氷のように冷たかった。


ユウがアルミホイルを伸ばしている間

ふと床に目を落とすと

フローリングの木目の溝に小さな白い結晶が落ちているのを発見した。


「あっ! エス落ちてるー!」


私は床に這いつくばって

真剣に拾い集める。


「みてー! いつのまにかこんなに落ちてたよ。 もったぃなーぃ!」


拾い集めた10粒程の極小の結晶を

ユウが作ってくれた新しいアルミ箔の上に乗せる。


ストローを咥え 

丁度いい距離から適度な炎で炙る。


だんだんとコツが掴めてきた。


アルミの上でパチパチとはじけるような音がして

白い結晶はキツネ色に変色し

香ばしい匂いが辺りを漂い

色のついた煙が立ち昇る。


「うわっ! 何これ! ぺっぺっぺ!!」


微妙な味と匂いが

あきらかに今までとの違いをものがたっている。


ユウがアルミ箔の中を覗き込んで吹き出す。


「まりも! これ、米粒ジャンかよ。 ははははは」



がーーーん!!!

あんなに一生懸命拾い集めたものが米粒だったとは!

どっからどう見てもスピードに見えたのに!

しんじらんなーーーい!



あまりにもマヌケな私の失態に

二人で大爆笑してしまった。


少しハイになってるのかも?

と微かに感じた。


「まいったな、 気を取り直して・・・吸うわよ!」


新しいスピードを足して

延々とユウとアルミを回しあう。


100円ライターのガスが

とうとう無くなってしまう。


「しっかし、 なんともないなぁ~」


ふと時計を見たその瞬間に

全てを理解して目が覚めたようだった。


「ユウ! スピードを吸い始めてからもう4時間もたってる!

私達、スピードを吸う事にはまってたんだよ! やだっ! 

やっばーー!! 超ウケルんだけど!  マジで!

これって、はまってたんだよ! だから必死で米粒拾い集めてたんだよ!

そっか、 こういうことなのか! わかった!」


ようやく気がついた!

完全に自覚した! 


スピードは確かにキマっている!




これリアルな体験談。 最初、全然わかんなかった。 

わかんなかったから初体験なのにすげー量を食ってしまって・・・。 この後、大変なことに・・・。

挨拶文のコメント返信、週末中にするので少し待っててね^^

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