第144話 豊島園プール
お酒の匂いをプンプンさせて
ヒカルと太一君がやってきた。
私達は車を少し走らせて
明治通り沿いのロイヤルホストに入った。
私とエミリは
フレンチトーストとフレッシュジュースを頼み
ヒカルと太一君は朝からステーキを頼んだ。
この日は
私の仕事が午後3時からの雑誌のインタビューだけだったので
そのまま4人で豊島園のプールに行く事になった。
時代は空前の日焼けブーム。
ガングロギャルと呼ばれる人種が我が物顔で町を闊歩し
流行に敏感な子は誰もが日焼けサロンに通っている。
私を除く3人も例外ではなく
エミリは綺麗な小麦色に日焼けしているし
ヒカルと太一君はAV男優並みに黒光りしている。
私が日焼け出来ないのは仕事上の理由だった。
写真や映像では色黒は映えないから
業界では日焼けはタブーなのだ。
それでも私は
豊島園のプールに行くという
夏らしい計画にワクワクしていた。
水着を取りに一度家に戻り
すぐに豊島園に向かった。
私はラメ入りのピンクのビキニ
エミリは黒にゴールドの模様の入ったビキニと
二人とも派手で際どい水着にアクセサリーをジャラジャラつけている。
ヒカルと太一君は
男のくせにTバックのビキニで
これ以上目立ちようのない4人組だった。
私達は開園と同時に入場し
ボンボンベットを4つ借りて場所取りをした。
すぐに私は後悔する事になった。
灼熱の太陽の下
仕事明けで疲れている3人は
サンオイルをたっぷり塗りたくって
早々に熟睡してしまったのだ。
私はというと
全身に日焼け止めを塗り
大きなバスタオルを肩からかけて
さらに日傘を差している。
通り過ぎる人達は皆
「この人は何のためにここにいるのだろう?」
というさめざめとした視線を向けてくるから
私は汗だくになりながらいたたまれない気持ちになる。
プールにはふさわしくない厚化粧をしているから
化粧はみるみる内にドロドロに溶けていく。
3人が寝ているから退屈で
化粧直しばかりしていると
さらに私の顔はドツボにはまっていく。
ジリジリと焼け付くような炎天下の中
時間が過ぎていくのが異常に遅く感じられる。
お昼過ぎまでどうにか我慢して
もう限界だとヒカルを起こす。
「そろそろ仕事だから戻らないと。」
と声をかけた。
ヒカルは
眠い目をこすりながら起きてくれたけれど
太一君とエミリからは
『えー・・・もう帰るの~?』
という心の声が聞こえてきそうだった。
車に乗って
エアコンをフル稼働させると
少しは生き返ったけれど
私は憔悴しきってしまい
仕事に行くのが嫌でしようがなかった。
家に帰って
思う存分寝たかったけれど
時間になると容赦なくジイヤが迎えにやってきた。
私は渋々仕事に出かけていき
エロ本のインタビューに笑顔で答え始めた。
初体験はいつだったか、オナニーはするか、男性経験は何人か?
AV女優に対するインタビューは
いつでも同じだ。
もう何度となく同じ話を繰り返してきている。
プロフィールにでも書いておくから
それをそのまま載せてくれよ
と言いたくなる。
仕事が終わると
ジイヤが喫茶店でアイスオレを奢ってくれた。
「まりも、だいぶ疲れてるみたいだけど大丈夫か?
明日はVだぞ。今日はちゃんと早く寝ておけよ。」
ジイヤに言われて疲れた体がさらに重くなるのを感じた。
明日はビデオ撮りの日なのだ。
思い出しただけでも汗が吹き出てきそうな思い出です; 大変だったなぁ。。。
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