第141話 永遠の確認
私とヒカルは3ヶ月一緒に暮らした。
その3ヶ月の間にいろいろな事件が起こり
ヒカルとの別れはまた壮絶なものとなった。
ヒカルが
私の部屋に荷物を運び込み
同棲がはじまった。
ヒカルの荷物は
スーツが何十着もあり
私のクローゼットにはとても入りきれないので
ヒカル専用の組み立て式のパイプハンガーも買ってきた。
鍵付きのガラスケースの中には
ローレックスやブルガリやピアジェなどの時計が並び
コインのネックレスやブレスレットなどの貴金属は
同じようなタイプの物が何本も入っている。
「これ全部貢物なのぉ?」
ガラスケースの中身を見ながら私が聞くと
「いや、けっこう自分で買ったりもしてるよ。
先輩からもらったのもあるしね。」
なんて澄ました顔で言う。
「これが全部女物だったらうれしぃのになぁ~。」
と私は本音とも冗談とも取れないような事を言った。
ホストと付き合う事で
はじめに想像していたような不安は
すぐに払拭された。
私の心配していた事は
女とお金、この二つだった。
ヒカルは仕事が終わると
まっすぐ家に帰ってくるし
仕事に行くまではずっと家にいる。
どこかに遊びに行く時は
必ず私を連れていく。
携帯電話の電源は切っていなかったので
お客さんとのやり取りは丸聞こえで
色恋営業をしている様子はなかった。
ヒカルは
思いのほか一途だった。
それでも私は
自分の稼ぎがいつかヒカルに搾り取られるのではと
警戒が解けずにいたのだが
ヒカルのお給料日にその心配は消えて無くなった。
「一緒に住んでるんだしお財布は一つでいいと思わない?」
なんか結婚してるみたいじゃーん♪」
ヒカルはそう言って分厚い給料袋を手渡し
私の顔を覗き込んで反応を伺う。
驚いて中を見ると
給料明細もきちんと入っていて
手付かずのままのお給料だった。
私の月の稼ぎとさほど変わりはない金額が入っている。
お給料の額にも驚いたけれど
ヒカルのこの行動のおかげで
私はヒカルを完全に信じることが出来るようになった。
「ねぇねぇ、私たちって
世の中で一番お金持ちのカップルかもね? きゃはは」
私は喜びを隠せずにはしゃいでしまう。
「俺とおまえの給料を足すと
毎月高級車が一台づつ買えるよなぁ~」
とヒカルが満足そうに微笑む。
私は男の人からお給料をもらうなんて
初めての事でうれしくてたまらなかった。
ヒカルの「結婚してるみたいじゃん」という言葉も
私の喜びを倍増させた。
幸せだと感じた。
ヒカルは毎日私を抱いてくれる。
私は愛されているという自信と実感を持ち始めていた。
「ヒカル、ずっと一緒にいてね?」
SEXの後私は必ずヒカルに確認する。
「ずっと一緒にいるよ。」
「本当? ずっとだよ?」
「ずっと一緒にいるよ。」
ヒカルの言葉を聞いて私は安心して眠る事ができた。
若い頃って『永遠』という幻想を追いかけちゃうんですよねぇ。
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