第137話 ヒカルの作戦 | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第137話 ヒカルの作戦

翌日

私はヒカルの店に遊びに行く約束をした。


夜中の3時過ぎに歌舞伎町に向かい

ヒカルに電話をかける。


「ヒカル、風林会館のパリジェンヌの前にいるんだけど

迎えに来てくれるの?」


「待ってたよ。 30秒で行くから待ってて!」


ヒカルは本当に30秒で現れて

「バック貸して♪」と私のシャネルのバックを持ち

店へと案内してくれた。


「本当に来てくれたんだね。」

とヒカルはうれしそうに微笑む。


店内に入ると豪奢な内装で

いずみさんのお店に雰囲気がよく似ている。


30卓はありそうなボックスシートのほとんどは

すでにお客さんで埋まっていた。


私はホストクラブは初体験だったけれど

とくに気後れする事もなく

ヒカルのエスコートで堂々と席についた。


「俺のボトル出してあげるからね。 ちょっと待ってて。」

ヒカルはそう言ってウェイターに指示を出し

ウェイターはすぐにヘネシーXOを持ってきた。


「わぉ~! XOじゃん。 うれしぃ~♪」


「新規ボトルじゃないけどな。 ははは、とりあえず今日はこれで乾杯しようぜ!」


ヒカルはブランデーグラスになみなみとクラッシュアイスを詰め

水割りを作ってくれる。マドラーを回す指先がとても器用だ。


「すごい流行ってるんだねぇ~。満員御礼じゃないの。

ヒカルのお客さんも来てるんでしょ?」


「今日はね、あっちとあそこ、俺の客だからさ。

右の子がヘルス嬢で左の子が吉原NO1ソープ嬢。

左の子が今のエースなんだ。

今日はまりもちゃんが来るからさっき一人は帰したし、ゆっくり話せるよ。」


ヒカルに小声で耳打ちされ

店内のお客さんを一通り眺めてみると

若いお客さんが多い事にとても驚いた。


ホストクラブって

有閑マダムみたいな客層が主なのかと思っていたけど違うようだ。


「ホストに来るお客さんってみんなこんなに若い子ばっかなの?

てか、エースってどういう意味?」


「うちの店は若い子が多いね。 20代がほとんどかな。

エースっていうのは一番お金を使ってくれるお客さんのことだよ。」


「綺麗な子だね。すごいお洒落だし、背高くてスタイルいいなぁ~。」


ヒカルのエースのお客さんは本当に良い女だった。

吉原のNO1ともなるとあのレベルなのかと私は感嘆した。


ヒカルの話はあいかわらずおもしろくて

私は楽しい時間を過ごしているのだけど

右方向からずっと視線を感じている。


「ねぇ、ヒカル、さっきからあの子・・・すごい睨んでくるんだけど・・・。

相手してきたら? 私適当に飲んでるわよ。」


睨んでいるのはヒカルのお客さんのヘルス嬢だ。


「ははは、いつのもの事なんだよ。 気にしなくていいからね。

でさ、まりもちゃん、ちょっと作戦があるんだ。

今から言うとおりにしてくれる?」


「作戦? 何?」


ヒカルは今日の作戦をこっそり打ち明けた。


それを聞いて私は

そんなにうまくいくもんなの?! と驚きを隠せない。


段取りをもう一度頭の中で整理して

私は「わかったわ。」と頷いた。


ヒカルのお手並み拝見だ。



女の心理を巧みに利用するある作戦が決行されます☆

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