父の寝室に あたしの着替えもおいてある。

もう 休んでいる時間だろうからと

こっそり ノックもせずに入ろうとした。

なんか 空気が違う。

低い声のナニカが聞こえてくる。


こっそり開けてみると、

父は びくともしないで ふとんにもぐっている。

枕元から流れる、それは

紛れもなく お経。

しかも 佳境に入ってきたらしく

ぽくぽく という音も大きくなり

最後に  チーーーーーーーーン という音が鳴り響き

そして しーんとなってしまった。


うしろから覗きこんでいた まりもこは 

「般若心経じゃん」 と 冷静だ。

死んだか? と思ったが

とりあえず そっと部屋を出た。

枕元から流れていたのは CDのようだったし

とりあえず お化けも出そうもないから

一晩 ほっておいた。



次の日 父に なんでお経のCDをかけていたのか

聞いてみた。

あれは 落語のCDだそうで 終わりにお経が入っているらしい。

ただ CDをかけて 最長でも5分で寝てしまうため

気がつくと お経をあげてもらっている状態になってしまうらしい。


ありがたいんだか そうじゃないんだか分からないけれど

寝ながら聞くと 胎教ならぬ

修行には いいのかしら。