2カ所のホテルで働いた。
1つめは 地元の 駅に近いホテル。
当時 新しく 料金も高めだったから
お客さんも 社長とか 会長さんとか
芸能人とか 結構宿泊していた。
2つめは 東京のウォーターフロントにある、
当時は お洒落だったホテル。
最高階の海側には フレンチレストラン、
陸側の東京が一望できるほうには 鉄板焼き。
デートにはもってこいのシチュエーション。
あたしは フロントに配属が決まる前には
いろんなセクションで研修した。
このフレンチレストランの片隅は
バーカウンターがあり
男性が 女性を口説いているのを よく見ることが出来る。
「おーこれは いっちゃうなあ☆」というのもあれば
「却下でしょ~やっぱり・・・」なんていうのもあって
なかなか勉強になった。
ある時 若い男性が かわいらしい女性を連れてやってきた。
その彼のほうは
「こういうところは 慣れてるんだよね」という 精一杯の態度だが
まず メニューが分からない。
知ったかぶって
「オイシイコースで おまかせね」なんてオーダーされた。
顔をつぶしてはならないから 上から2番目のコースを勧めた。
ナイフとフォークの使い方はなんとかクリア。
でも その前のスープを カップから直接すすったのは
まずかったんじゃ・・・
まあ、その後、
階下にあるお部屋へ お泊まりコースに持って行くには
あとひとつ。そう、アルコール。
場所を 隣のバーカウンターに移した。
ここでまた カクテルが分からないのか
「ボクは 水割り。彼女には オイシイモノ作ってあげて」なんて
言っちゃってるし。
でも こっちも 「なんとか がんばれヨ」なんて目で
見ちゃって まわりは さりげなく応援ムード。
食事の後だから おつまみは 乾きモノがいいですよね、と
気の利いたことを言いながら
「チョコ」 と 「ミックスナッツ」を オーダーされた。
他のお客様を接客していると 何やらカウンターのほうから
ばりっ ばりっ ごりごりっ と音がする。
バーテンの先輩は ポーカーフェイスだが
あたしに 目で何かを訴えていた。
さりげなく 飲み物のお代わりを伺いに近づくと
ピスタチオを 殻ごと召し上がっていらっしゃいました。
お連れの彼女の表情は・・・・・
・・・・・階下にお泊まりは なかったと思います。