「そろそろ結婚相手を見つけないとと思ってるんですけどね。」


ちょっと冗談っぽく、そう話す彼に
私はとんでもない発言をしてみた。
「…私なんて、どうでしょう?」



その瞬間、彼はまるでDvDの再生を一時停止させたかのように固まってしまった。



そりゃそうだ。
私だってなんのプロセスもなしに相手に唐突にそう言われたら固まるだろう。



向かい合った席に座っているフリーズしてしまった彼に
私は悪戯っぽく顎下に両手を祈るように組んで笑顔を返した。



暫くして、ようやく事態を飲み込めたらしい彼は
パッと視線を横に落とし
何か考えを巡らせた後に
視線を逸らせたままボソボソとこう言った。


「僕は君が思っているほど、いい人じゃないですよ…」


むむ。そうきたか…。


私はちょっと悲しそうに眉をハの字にまげ首を傾げてみせた。


しかし彼は、こんどは真っ直ぐ顔を向き直して付け加える
「歳も離れてるし…幾つ離れてたっけ」


「えー。離れてるって、10歳じゃないですか。」
私の顔はますます曇ってゆく。