小学4年生のフィンランド留学体験記 第九章 9月 32.ありがとうフィンランド | フィンランドに1年住んでみる(在外研究)

フィンランドに1年住んでみる(在外研究)

~子連れフィンランド滞在記~
1年間家族でフィンランドに住みました(2022年10月〜2023年10月)。
準備からフィンランド生活について思ったこと、
感じたことを書き留めていきたいと思います!

 

登場人物

クリスティーナ:同い年のクラスメイト。ウクライナ人。同じアパートに住んでいる。

アンドレイ:クリスティーナの弟。2年生のクラスメイト。

 

32.ありがとうフィンランド

 

 ついにずっと来てほしくなかった日がやってきた。今日がフィンランドで過ごす最後の日だ。17時45分発フィンエアーで僕は日本に帰る。昨日はフィンランドで買った自転車やテレビ、おもちゃなど日本に持っていけないものをクリスティーナの家に引き取ってもらった。その時にクリスティーナ、アンドレイ、弟、僕の4人で撮った写真をプレゼントしたらクリスティーナが泣いてしまった。でも泣いた顔は見せないぞと隠れて涙を拭いて、僕には笑顔を見せてくれた。すごくクリスティーナらしいなと思った。

 1年間過ごした部屋からは荷物がなくなって空っぽになった。この部屋にもう入れなくなるのだと思うと、とても寂しい。午前中は家族でヘルシンキ大聖堂を見に行った。フィンランドに来た翌日も家族で大聖堂を見に行ったっけ。僕のフィンランド滞在は大聖堂に始まり大聖堂で終わる。大聖堂は今日も変わらず高台に佇んでいた。白い肌に緑色の帽子を被って凛と佇むその姿はまるで貴婦人のようだ。青空がぴったり似合っている。1年前にここに来たときは不安でいっぱいだったけれど、思っていた以上に楽しい1年を過ごすことができた。大聖堂はそんな僕をずっと見守っていてくれたように思える。角を曲がって大聖堂が見えなくなるまで、僕は何度も振り返って真っ白な貴婦人を見た。次はいつ会いに来られるだろうか。寂しくてたまらない。貴婦人はずっと僕を「いってらっしゃい!」と見送ってくれた。

 アパートに戻り荷物を持って空港タクシーに乗った。タクシーを待つ間、ちょうどクリスティーナが学校から帰って来たので、アンドレイと一緒に僕と弟を見送ってくれた。僕も弟も「さようなら。」ではなく、「またね!また会おうね!」と言って2人と別れた。タクシーに乗ってアパートが見えなくなると、心にぽっかり穴が開いた気分になった。いつも明るくて元気なクリスティーナ。笑顔で別れたけれど、きっと今頃は泣いてしまっているだろうなと思った。僕も寂しかった。

 搭乗口につくとフィンランド語よりも日本語の方がよく聞こえてくるようになった。僕が聞きたいのは日本語じゃなくてフィンランド語なんだ。話したいのもフィンランド語なんだ。離陸の時は涙が出そうになった。さようなら最高の先生、最高の友達、最高の森!フィンランドは僕の視野を広げてくれた。フィンランドを知ることができて僕は幸せだった。ありがとうフィンランド!

 

りくとのフィンランド留学体験記はこれでおしまいです。

子連れで在外研究を考えている方の参考になれば嬉しいです。

ありがとうございました。