小学4年生のフィンランド留学体験記 第九章 9月 13.日本を紹介しよう! | フィンランドに1年住んでみる(在外研究)

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~子連れフィンランド滞在記~
1年間家族でフィンランドに住みました(2022年10月〜2023年10月)。
準備からフィンランド生活について思ったこと、
感じたことの記録
趣味の4コマを投稿中

 

登場人物

エンミ先生:担任

ブレタ:6年生のクラスメイト。アルバニア人。

ジェシアン:5年生のクラスメイト。ブレタの弟。

クリスティーナ:同い年のクラスメイト。ウクライナ人。

アリシア:2年生のクラスメイト。ウクライナ人。

 

13.日本を紹介しよう!

 

 外国人クラスの一人一人が主役になる母国紹介週間が始まった。1日1カ国ずつ割り当てられた。9カ国もあるから全部で9日間もある。僕の発表は2日目になった。1日目はコソボでブレタとジェシアンが発表した。二人はあまり準備してきていなくて、ほとんどエンミ先生がコソボについて説明してくれた。エンミ先生はコソボの発表に3~4時間目の時間を取っていた。「明日は日本の発表ですね。」とエンミ先生が言うと、「りくとの発表だ!」とクラスが盛り上がった。みんな楽しみにしてくれているみたいだ。僕は両親と日本についてパワーポイントにまとめていた。でも、今のままだと2時間も内容がない。そこで、家に帰って侍についての説明スライドを付け足した。

 僕が主役になれる日本の日がやって来た。まず、先生が日本について紹介してくれた。日本の景色の動画、人口、お金、お祭り、大福についてだった。その次は僕の番。僕は景色の動画、日本の場所、フィンランドとの国の大きさ比べと人口の違い、言葉はひらがな、カタカナ、漢字の3種類あること、僕の住んでいる町、自動車メーカー、家電メーカー、食べ物、日本のスポーツ、新幹線とリニアモーターカー、キャラクター、ジブリ、ゲーム、アニメを紹介した。日本について調べると、日本ってすごいな、たくさん有名なものがあるなと思った。フィンランドと日本の国土はそんなに変わらないのに、フィンランドの人口が約550万人なのに対して日本は約1億2570万人もいる。渋谷のスクランブル交差点の映像を見せるとエンミ先生が「うへー!」と言った。僕の住んでいる町を紹介するときに電車の路線図で場所を説明すると、エンミ先生が「これはバスも入れた路線図なんだよね?」と質問してきたので「いいえ、電車だけです。」と答えた。また先生は「うへー!」と言った。僕はフィンランド人なら誰もが先生と同じ反応をするだろうなと思った。フィンランド人はごちゃごちゃしたところが好きじゃなさそうだ。まあ、僕もだけど。

日本の食べ物でお寿司を紹介すると「え!お寿司って日本だったの!?」と驚くクラスメイトがたくさんいて驚いた。中国だと思ったかな?それとも、フィンランドのスーパーにお寿司が多いから、フィンランド料理だと思っていたのかな?とりあえず、この教室にいる子だけでもお寿司は日本発祥だと知ってもらえて良かった。そして、家でお母さんが作ってくれただし巻き卵とハイチュウ、いちごポッキーをみんなに試食してもらった。おいしいと言ってくれる子が多かった。車のメーカーは知っている子が多かったけれど、電気メーカーや無印良品は知っている子が少なかった。

 日本のスポーツでは剣道について詳しく紹介した。僕が長年習っているからだ。その流れから侍を紹介し、僕の好きな侍アニメ「るろうに剣心」の動画を少しだけ見てもらった。みんなの前で服の上から胴着と袴を着て竹刀も見せた。ゲームとアニメはみんな興味津々で、一番人気だったのは「ナルト」だった。最後に日本のアニメの映像は綺麗なことをみんなに知ってほしくて映画「天気の子」の動画を見てもらった。東京が舞台だから、日本の雰囲気も少し伝わったと思う。発表が終わると、全員拍手をしてくれた。その後、日本語の数字や曜日を使ったゲーム、エンミ先生発案で、僕が日本語でクラスメイトの名前を書いた。僕が書いた名前は、みんなそれぞれ自分の用紙に書き写さなければならない。文字はひらがな、カタカナ、漢字の中から選ぶことができた。ほとんどの子が「簡単そう!」と言ってひらがなを選んだけれど、クリスティーナとアリシアは漢字を選んだ。エンミ先生が名前を日本語で書いてみようと言い出したのは、もしかしたら僕が以前ゼフラやジェレンなど元クラスメイトに3種類の日本語で名前を書いていたのを見たからかもしれない。全員名前を書き終えてぴったりくらいにチャイムが鳴った。日本の発表は1時間でコソボより短かった。発表者数によって時間が割り当てられているのかもしれない。

 6時間目の体育の後、僕が竹刀を背負って帰ろうとするとジェシアンが「何か技見せてよ。」と言ってきたので、構えてから面を打つ真似をしてみた。「ひえ~!」とジェシアン。すると、体育のオラヴィ先生も「僕にも触らせて~!」とやって来て、竹刀を持って「サムライ!」と言いながら色々なポーズをして楽しんでいた。その日の夕方、クリスティーナと遊んだ。クリスティーナの母国ウクライナについての発表は来週だ。クリスティーナも発表の準備をしているのかな。「今から〇×クイズを出します!」とクリスティーナ。「ウクライナは今、戦争をしている?〇×か。」一瞬空気が張り詰めた。「まる。」と僕が答えると「正解!」と言ってクリスティーナは悲しそうに笑った。