登場人物
ダニエル:大親友
エリク:仲良しのクラスメイト
マルック:仲良しのクラスメイト
ラウリ:仲良しのクラスメイト
アルティン:6年生。さくとの憧れ。
13.6年生対先生のサッカー試合
夏休みまであと1週間。夏休み前の1週間はお勉強いっさいなしの夢のような時間割!月曜日は1年生全員で展望台のある公園へお散歩に行った。朝学校に着くと先生が玄関で待っていた。僕たちは教室には入らず、そのまま公園へ出発した。公園は山になっていて、山の頂上までは長い階段を上らなければならなかった。息切れ切れで頂上にたどり着くときれいな景色が目に飛び込んできた。その日は快晴で、頂上の展望台からはヘルシンキ大聖堂や海が見えた。自由遊びの時間になったので、ダニエル、エリク、マルック、ラウリとおにごっこをした。
午後はちょっとしたアクシデントが起こった。朝お母さんは僕に「12時にお兄ちゃんと帰って来るんだよ。」と言っていた。でも本当はお兄ちゃんだけが12時で僕は13時15分に授業が終わる予定だった。僕が登校した後に、お兄ちゃんと僕の帰宅時間が違っていることに気が付いたお母さんは僕が12時に勝手に帰ってしまうのではないかと心配して先生に連絡をした。それをサラ先生が僕に伝えてくれたんだけど、フィンランド語が難しくて僕は「昼休みが終わったらすぐ家に帰りなさい。」って言われたと勘違いし、リュックを背負い1人で1年生教室を抜け出した。これは後から聞いたんだけど、僕がいなくなった後、先生たちは学校中僕を探し回ったらしい。1人で家に帰って来た僕をお母さんが見つけ、「今日は13時15分までだよ。先生からさくとがいなくなったって家に電話が来たよ。急いで戻って!」と言った。ここで僕はサラ先生の言ったことを僕が勘違いしていたことに気が付き、走って学校に戻った。校庭で僕を見つけた先生はすごくほっとした顔をした。
校庭の1番大きなサッカー場ではもうすぐ卒業する6年生と先生とのサッカー試合が開かれていた。僕もそのままクラスメイトと一緒に試合を観戦することになった。先生は全員同じ色のユニフォームを着て気合が入っている。応援する生徒には希望者だけ白い紙が配られたので、そこに応援する人の名前を書くことができた。僕は紙がもらえなかったんだけど、もしもらえたらアルティン君の名前を書きたいなと思っていた。アルティン君は元外国人クラスの6年生。アルバニア人で背がとても高くて格好良い。アルティン君は僕を抱っこしたり、頭をなでてくれたり、いつも笑顔で僕の名前を呼んでくれる優しいお兄さんだ。試合は6年生が大差をつけて先生チームに勝利した。圧倒的に6年生が強かった。あのまま家に帰っていたら、アルティン君を応援できなかっただろうな。急いで学校に戻って来て本当に良かった。