小学3年生のフィンランド留学体験記 第七章 5月 15.スオメンリンナ島とヘルシンキ図書館オーデ | フィンランドに1年住んでみる(在外研究)

フィンランドに1年住んでみる(在外研究)

~子連れフィンランド滞在記~
1年間家族でフィンランドに住みました(2022年10月〜2023年10月)。
準備からフィンランド生活について思ったこと、
感じたことの記録
趣味の4コマを投稿中

 

登場人物

バンカ:4年生のクラスメイト。ロシア人。

ジェレン:4年生のクラスメイト。トルコ人。

エンミ先生:担任

アンサ先生:フィンランド語補習レッスンの先生

マリアム:5年生のクラスメイト。トルコ人。

フランチェスコ:5年生のクラスメイト。イタリア人。

エリオン:4年生のクラスメイト。アルバニア人。

アラン:2年生のクラスメイト。一番の仲良し。クルド人。

ジェミフル:2年生のクラスメイト。トルコ人。

 

15.スオメンリンナ島とヘルシンキ図書館オーディ

 

 外国人クラスでスオメンリンナ島とヘルシンキ中央図書館オーディに行った。本当は全員でスケートに行く予定だったんだけど、都合がつかなくなってしまったらしい。いつもより少し早い朝8時に学校集合だったので、すぐみんなでヘルシンキに出発するのかと思っていたけれど、教室に入ったらすぐユフデッサの演奏練習が始まった。今日はずっとヘルシンキにいるものだと思っていたからピアノの楽譜は家に置いてきていた。暗譜している所だけ弾き、なんとか演奏についていくことができた。その後、やっとヘルシンキに向けて出発した。ヘルシンキまでは市バスを使った。出勤時間と重なってしまったため、バスはとても混んでいた。僕はマリアムと隣の席に座ったけれど、マリアムは席に座るとすぐ寝てしまったので、僕の前の席に座っていたバンカとジェレンとおしゃべりをした。

 ヘルシンキ中央駅からフェリー乗り場までは歩いて行った。スオメンリンナ島まではヘルシンキの港から小さなフェリーが出ている。小さいと言っても乗用車も乗るくらいの大きさの船だ。僕たちは階段を上り、外の席に座った。すると同じ港からエストニアに向かう僕が今乗っているフェリーとは比べ物にならないくらい大きなバイキングラインの船が出航していった。クラスメイトはしばらく隣を走るバイキングラインのフェリーに大きく手を振った。僕以外の子はみんな携帯を持っているので船や海の写真を撮っていた。羨ましいな。僕も携帯が欲しい。僕はフランチェスコと海を眺めながらおしゃべりを楽しんだ。僕がカーリアの「Cha Cha Cha」の話を始めると、ジェレンとアラン、エリオンも話に加わってきた。僕は歌詞をほとんど暗記していたので「こんな感じだよね。」と「Cha Cha Cha」を歌い始めた。サビに入った時「Cha,cha,cha,cha,cha,cha,cha♪」の歌詞の所でフランチェスコが両手をにぎり合わせてビュイーンという音を出した。楽器みたいな音だった。ジェレン、アラン、エリオンもノリノリで「Cha,cha,cha,cha,cha,cha,cha♪」と歌い出した。

僕「Pidän kaksin käsin kiinni juomista niinku.」

みんな「Cha,cha,cha,cha,cha,cha,cha.」

僕「Ei. En mieti huomista ku tartun tuopista niinku.」

みんな「Cha,cha,cha,cha,cha,cha,cha.」

僕「Ei. Haluun olla sekasin ja vapaa huolista niinku.」

みんな「Cha,cha,cha,cha,cha,cha,cha.」

僕「Ei. Ja mä jatkan kunnes en enää pysy tuolissa niinku.」

曲が終わっても、「りくと、もう1回サビの所だけでいいから歌って!」とフランチェスコにリクエストされ、スオメンリンナ島に着くまでの間、5人で「Cha Cha Cha」を歌い続けた。フェリーには他のお客さんも乗っていた。すごくうるさい5人組だったと思う。

 フェリーは15分程でスオメンリンナ島に着いた。スオメンリンナ島はロシアから国を守るために作られた要塞で世界遺産だ。僕たちは海が見える場所に移動してお昼ご飯を食べた。サンドイッチとバナナは先生が学校から持って来てくれた。その他、家から持ってきたりんごやオレンジ、ぶどうも食べたけれど、足りなかった。家からもパンを持ってこれば良かったと後悔するほど、その後すぐ僕のお腹は空腹でグーグー鳴り出したのだった。スオメンリンナ島の散策はアラン、フランチェスコ、エリオンとした。僕は今日もフィンランド語と英語の通訳で大忙しだ。ずっと通訳していた気がする。1人を好むジェミフルは誘っても入ってこなかったけれど、その他の男の子で仲良くできて楽しかった。フランチェスコはみんなと仲良くするのが上手で、フィンランド語はまだ話せなくてもアランに話しかけようとするところがとても良いなと思う。一時は男の子の間でアルバニア語ばかり飛び交っていて、男の子が分裂してしまうのではないかと心配したけれど、フランチェスコは僕と同じでみんなと仲良くしたいタイプなんだな。僕にも英語でたくさん話しかけてくれるから、「これ英語で何て言うんだっけ?」とその時パッと出てこなかった言葉がだんだん気になるようになってきた。最近僕は家でも英語を調べるようになっていて、フランチェスコのお陰で英語の勉強もはかどっている。

 スオメンリンナ島からまたフェリーでヘルシンキ港まで移動し、中央図書館のオーディまで歩いて行った。ここは家族と何度も来たことがある場所で、僕のお気に入り。図書館の外観は波のようにうねっていて面白い。色々な単語が書かれた螺旋階段を上ると開放感のある最上階にたどり着く。そこは暖かい光が差し込んで居心地の良い空間が広がっている。最上階は両端が斜めに上がっていて両側に丘があるみたい。外観と同じで天井も窓も波打っている。この図書館は本を読むだけではなく、チェスやテレビゲームができる。予約すれば3Dプリンターだって貸してもらえる。日本にもこんな図書館があったら良いのに!僕たちは最上階で本を読んだ。でも、スオメンリンナ島に予定より長くいすぎてしまったため、オーディには20分しかいることができなかった。

 僕たちは早々とオーディを出て中央駅から市バスで学校へと向かった。女の子たちは疲れて寝ていたけれど、僕はアラン、フランチェスコ、エリオンと向かい合わせの4人席に座ってゲームをして遊んだ。僕は「重ね手叩きゲーム」と「わりばしゲーム」を提案した。みんなどちらのゲームも知らなかったから僕がやり方を説明すると、乗り気になってくれた。重ね手叩きゲームは手を下から浮かせながら順に重ねて一番下の手の人がその手をすばやく上に移動させ振り落とし、重ねてある手のどれかを叩く。手を引っ込めらなかった人が負けのゲームだ。このゲームはスリル満点!フランチェスコは叩く人の番になった時、叩かないのに一番下の手を脅かすように動かすから、エリオンが「ギャー!」と叩かれると思って両手を引っ込めた。そのエリオンの反応にみんな大笑い。一番強かったのはアランだけど、自分が叩く順番になった時、叩かない側の重ねていた自分の手を引っ込め忘れてしまい、思いっ切り自分の手を叩いてしまった。それにもみんな大笑い。その後はわりばしゲームのトーナメント戦をして遊んだ。わりばしゲームは2人対戦ゲームだ。両手の人差し指だけ立てた状態からゲームは始まる。自分の番になると1回だけ自分の指の本数だけ相手の指の本数を増やすことができる。例えば、自分の人差し指1本で相手の人差し指1本にふれれば、相手のその手は2本指を出さなければならない。そして、5本指全部出してしまうとその手はアウト。両手が5本以上になって脱落した人が負けになるゲームだ。3回トーナメント戦をしたけれど、慣れている僕が全部優勝した。この2つのゲームで大盛り上がりの僕たちをエンミ先生は嬉しそうに見て、動画で撮影していた。僕たちの後ろに座っていたエンミ先生もアンサも僕たちの大笑いにつられて笑っていた。久しぶりに外国人クラスで遠出をしたスオメンリンナ島とオーディツアー。一番楽しかったのは世界遺産の島でも図書館の世界1位に選ばれたこともあるオーディでもない。帰りのバスの中4人でたくさん笑ったことだ。アラン、フランチェスコ、エリオンとものすごく距離が縮まった気がする。