小学3年生のフィンランド留学体験記 第五章 3月 2.アラン | フィンランドに1年住んでみる(在外研究)

フィンランドに1年住んでみる(在外研究)

~子連れフィンランド滞在記~
1年間家族でフィンランドに住みました(2022年10月〜2023年10月)。
準備からフィンランド生活について思ったこと、
感じたことの記録
趣味の4コマを投稿中

 

登場人物

アラン:一番仲良しのクラスメイト。2年生。

エンミ先生:担任

 

2.アラン

 

アランは転入して一番に名前を覚えたクラスメイトだ。僕の名前を一番早く覚えてくれたのもアランだ。外国人クラスに転入した時期も一番近い。僕より1つ年下の2年生で、イラク出身だからアラビア語を話すのかと思っていたけれど、話すのはクルド語だった。コミュニケーションはフィンランド語でしていて、伝わらない時は翻訳機を使っている。休み時間はアランが2年生のサッカーの試合に出る時以外だいたい一緒だ。アランの髪の毛は黒くて、茶色の目はくりくりと丸く、いつも笑っている。とても優しい性格でクラスメイト全員と仲が良い。クラスで課題が出る時は、エンミ先生は毎回僕たちをチームにする。先生もきっと僕たちの仲の良さを知っているのだと思う。

 僕たちは本当に仲が良くて滅多に喧嘩はしない…そう、サッカー以外では。サッカーとなるとアランは少し人が変わる。僕たちは点が入ったか入らなかったのか、ファールかファールじゃないか、言い合いになることが多い。アランは僕以外の子とも結構言い合っている。でも、休み時間が終わると全て元通り。そしてすぐ仲良しの友達に戻る。アランはサッカー大好きだ。休み時間開始のチャイムと同時に僕たちは外に駆け出す。数少ないサッカーボールとサッカー場所をゲットするためだ。バラバラの教室で授業を受けている時も同じ。早く教室を出た方がサッカーボールを借りに行っている。そしてボールを借りに行かない方がサッカー場所を確保する。サッカーをやる前の僕たちの連携プレイは最高だ。サッカーはアランの方がずっと上手い。手のように足でボールを扱うから、アランからなかなかボールを奪うことができない。同じチームになる時は頻繁にパスを回しあいなかなか強いチームになる。点を決めた時は抱き合って喜びあうのも楽しい。アランは携帯でもサッカーゲームをしている。本当にサッカーが大好きなんだな。

 最近はお母さん同士が連絡先を交換したので、放課後や休日も一緒に遊べるようになった。アランのお母さんから聞いたけど、アランは僕から連絡が来ると、急いで家を飛び出していくらしい。僕もアランと学校以外でも遊べるようになってとても嬉しい。アランの家族や僕の両親も加わってみんなでサッカーをしたこともある。アランの家に招待してもらってケバブサンドをごちそうになったこともある。アランの家族はみんな優しい。家族同士も仲良くなっていて、これからもたくさん交流できそうな気がしている。僕らの友情は家族にまで広がったみたいだ。公園でアランを待っていると、向こうから赤いサッカーボールを持って急いで走って来る男の子が見えた。遠くから「りくとー!」と大きく手を振って走って来る。こんなに仲の良い友達がフィンランドでできるなんて!僕も大きく手を振る。「アラン!ペラターン(遊ぼう)!」