去年の夏から…
地元の友だちに出会うと
「なんか美穂に言わなあかんことがあってんなぁー」と。
会うたび、会うたび…
でも彼女はいつも思い出さない。
私も…どーせ恋話だろうと気に止めず。
今年に入って遅めに開いた新年会で…その彼女は
「思いだした!美穂に言わなあかんと思ってたこと!ほら、ずっと言わなあかんと思ってた言うてたやろ!伊兵先生亡くなったって新聞載ってたでー。」と。
ご命日8月13日だったらしく…
「遅いわ!!」
と…わざわざ思い出した彼女は私に怒られるはめに…(笑)
新聞のお悔やみ欄は仕事柄必ず目を通すんですが…
なんなら、新聞はお悔やみ欄だけのために配達してもらってるようなもんなのに…
どうして見落としてたのか。
お盆で繁盛期だったんだろうなぁ、私。
そんな時は新聞すら手に取らないし。
で…年明けに聞いた悲しい情報を
同じクラスの優等生に連絡してみた。
そこから…
今どきのSNSのお陰で20人弱のクラスメイトと連絡取ることができた。
そして…今日。
みんなと一緒に先生の遺影にご挨拶。
「アホ」
と。
遺影から聞こえてきそう。
私の高校は「北」大津
先生の前の赴任先が「東」大津
東よりたまらん「アホ」な高校の北。
いつも授業で「アホ」連呼。
先生の授業で覚えてるのは…先生の初恋がどこの娘やったか。というしょーもない話だけ。
起きて授業を聞こうとすると
「美穂、こっち見るな!お前がこっち見ると妊娠する。寝といてください。」
こんなん先生が言うー?
今なら問題発言やしー(笑)
先生のボソボソっていう英語の発音が心地いい子守唄になってましたけどね~。
でもね…
その時は全く気づかなかったんよ。
先生の生徒を想う「愛」を。
何ならやる気なさそうなぐらいに感じてた。
怒ることもないし。そんな喜ぶこともない先生。
英語の先生なのに白衣を着てる意味のわからん先生。
そんな先生が
クラスの女子が全員進学が決まった時は…
「全員進学が決まったのは教師歴ではじめてです。あとは男子です。」
って。
よくぞ、「アホ」たちを進学にしてくれた!
そんな「アホ」が好きな先生の遺影は辛かった。
隠れ家的なログハウスには
キチッと整理された私たちの山ほどの写真のスクラップ帳。
愛されてたんだなぁ~。
奥様に見せて頂いた紙には
亡くなってからのことが書かれてた。
病気になって悔しいこと。
年金がいくら入ってくるかということ。
葬儀はどこでするか。誰に連絡するか。
遺影はどれにするか。
人生の最期をセルフプロデュース。
はぁ~。私にはできないなぁ。
病気と闘いながら、それを準備する先生を想うと…何ともやりきれない。
64歳。急ぎすぎよ、先生。
先生がここからタバコを吸いながら
コーヒーを飲んだであろうログハウスからの琵琶湖。