日々、一菓

第4回京都文学賞受賞

京都島原の和菓子店で菓子職人としての道を歩み始めた青年が、職人の「覚悟」と菓子作りの原点に触れ、成長していく姿を描く。

 

宮本雄司(ミヤモトユウジ)はカーディーラーの営業マン24歳。デスクの引き出しに団子とか和菓子を常備しているほどの和菓子好き。就職して3回目の春なのに、どんより重い。思うように販売成績が上がらないし、大学時代からの彼女・久美子から別れを告げられ厄年のような春なのです。

 

雄司は通りがかった有名高級和菓子店でわらび餅を買い、美味しさに感動します。なにげなく店のホームページを見ると菓子職人の求人が出ていて、ダメもとで求人に応募する和菓子職未経験の雄司。3人の応募者がいて見習い期間のあと選考試験で採用を決めるとのこと。

 

店の大将は77歳、昔気質のパワハラ指導だけど人格者。雄司は洗い物や掃除ばかりで和菓子作りはさせてもらえない。でも、負けたくない気持ちは人一倍。帰宅してから紙粘土で餡玉切りを猛烈セルフ特訓します。

 

3人の見習い生のうち1人のベテラン和菓子職人が意地の悪い嫌がらせしてくるのですが、どんなに辛くても悔しくても頑張る雄司。いよいよ選考試験、僅差で雄司が本採用に選ばれ、読者の期待を裏切りません。

 

そして、大将の体調悪化、認知症が少しづつ進み、店の後継ぎをどうするか問題も出てきますが、雄司持ち前の突破力で問題をクリアしていきます。

 

出だしの読み始めは、とりとめのない気がして最後まで読み切れるか一抹心配でもありましたが、途中からぐいぐい引っ張られて読み進みました。雄司の粘り強さが実って活躍する物語。読者の期待を裏切らないストーリーっていいなあと思いました。