心温まる人情時代小説
せい25歳は、湯島天神の門前町にある一膳飯屋『とくとく亭』でお運びの仕事をしています。この店で働き始めてまだ半月足らず。それまでは菓子屋『俵屋』で女中として10年間働いていたが、店を閉じることになり出ていくことになったのです。
『なんてん長屋』に住むことが決まり、近くで仕事も見つかった。南天が植わっていたからか、難点のある住民がそろっているからか『なんてん長屋』となったそう。
せいが仕事を終え長屋に帰ると
『俵屋』の老女将・染がいて一緒に住むと言う
ヤメテーー!と心の中で叫んでも嫌と言えず押し切られてしまう。元奉公人の長屋に女将が転がり込むなんてありえない、はっきりNOが言えないまま、ふたり暮らしがスタート。
『とくとく亭』を覗いている少年を捕まえて話を聞くと、みなし子で養い親に食べさせてもらえずお腹を空かせているらしい。うさんくさい養い親‥
母娘で営む銭湯に、モンスタークレーマー男が来て暴れ、せいが突き飛ばされる‥
ある日、『とくとく亭』に、幼なじみで仲の良かった春次郎が来ます。せいよりひとつ年下で、呉服屋で奉公し堅実な仕事ぶりで評価されているらしい。
春次郎が店に来るのを心待ちにするせい、目が合うだけで気持ちが華やぐ‥
生真面目に働くけど不器用で、いい人をつかみ損ねているかもしれない
長屋に染の息子・松太郎が訪ねてきて、知り合いの菓子屋で働いているという。
気位の高い元奉公先の老女将と長屋の四畳半でふたり暮らし。いやだけどいやと言えないせいの気弱さに、じれったさがあります。が、ついに染が「ここを出ていく」と言います。やったー!のはずが‥
「いかないでほしい、ここにいてほしい」と、せいの口からもれ出てしまう。
おいおいおいおいっ
どこまでおひとよしなんだ!
でもね、意外としたたかかもしれません
せいの淡い恋心
無駄な恋をしている時間はありません
待っているだけではだめだ
慎重すぎてもいけない
シリーズ②へ続きます

