息子が帰宅するとテレビを点ける。
どうしても観たい番組があってリモコンに手を伸ばすわけでもない。
昔、私も同じようにBGMとしてテレビを点けていた。
今日、なんのテレビ番組か知らないが
山口小夜子さんのことをやっていた。
亡くなる少し前に、小夜子さんが信頼をおいているカメラマンさんに
写真を撮って欲しいと電話をした。
衣装は、真っ黒なストレッチベロアの小夜子さんお手製のドレス。
普通なら、スタイリストさんが用意するところだが、
小夜子さん自身がドレスを作り、アクセサリーまで準備したという。
撮影時間10分。
いつも死と隣り合わせに生きていたような小夜子さんだとカメラマンは言う。
この頃、自身で寿命がわかっていたのかもしれない。
今となっては本人しかわからないのかもしれない。
このタイトルは「かぐや姫」だそう。
月へ帰らなければならない時が来たのか。
これが最期の写真。
あまりにも美しい
わたしはその歳を越えてしまった。
永遠に憧れの存在、山口小夜子さん





