暑い夏の日。
友人を誘って、とある神社へ行った。
山の中にあるような場所だったので、電車を乗り継ぎ、本数の少ないバスを諦めて、タクシーで向かった。
一人でも行こうと思っていたが、こんなに時間がかかる場所なら友人と二人で良かった。
境内へ足を踏み入れると、清々しい空気感が広がっている。
私は幼少の頃より、神社にある手水舎の龍が好きだったので、それを見るのも楽しみにしていた。
龍の顔形がそれぞれ違うからだ。
その手水には龍などいなかった。
菊理姫(媛)が祀られているというこの神社に龍がいないなんて。
境内をぐるりと回って表参道を降りようとした右手に、もう一つの手水舎があった。
「あっ、龍、、、、」
と近づこうとした瞬間、私のカラダが凍りついてしまった。
龍を囲むようにして、この次元と異次元の境のように白い楕円のラインが視えた。
吸い込まれそうな、不思議な空間がそこにあった。
それを視た瞬間、急に怖くなり、震えが止まらなくなった。
「どうしたの?」
友人が不思議そうに聞いた。
「怖い、怖くて、カラダが動かない」
「大丈夫だって」
しばらく私はカラダを折り曲げた状態で震えていた。
5分くらいそうしていたのか?
やがて震えはおさまり、手水舎の方へ近づいて行った。
その龍は、龍というより狼のような獣に近い顔をしていた。
どこか抜け感もあった。
何故、それほど震えたのか、怖かったと思ったのか、今でもわからない。
いつか、それを知りたい。
※この画像は、その手水舎の龍ではありません。
