M氐が亡くなったと

M氏は、何年前だっただろうか思い出せないが、職場で一緒だった方だ。
背が高く、眼鏡をかけて、いつもきちんとした身なりの、しかも由緒ある家柄の方だった。
真面目な方だった。
でも、酒を飲むと真面目さが少し歪むことがあった

ストレスなんだなぁ~とその都度思った

私はそういう人を見ているとツッコミを入れたくなる性格だ

『ご飯でも食べに行かなきゃね』
と、M氏が声をかけてくれた。
すると、私ははしゃいで皆でゴチになります!と言うと
無口になった

それから一年が経ち
『ご飯ご馳走してくださいよ』
と言ってみた

他の女性と共に毎日のように変わる変わるに攻撃した

その甲斐あって、銀座アスターへ連れて行ってもらった

フルコースに紹興酒

満腹

皆にお土産に月餅まで用意してくれた。
『ご馳走さまでした』
M氏の後ろ姿に言った。
『うるさ~い』
女心はわからないと言うが、おじさん心もわからないのである

その数年後に定年退職された。
それから、私はM氏に元気でいるか度々、電話をした。
M氏は、独身だったし、趣味もなさ気で友達もいる様子もなかった

そんなことは、余計なお世話だとは思われるが、ゴチにもなったし、エネルギーを使わないでいる人には何か言いたくなってしまう、お節介な性分なのだ

M氏からすれば、迷惑なことだったかもしれないが

昨年秋に、チェコのヒーラー、イルカ・パヴェルカさんが名古屋に来た際、ロベルトさんと私の友人の4人でお茶をしたことがあった

2人は、日本のことがとても詳しくて剣道をされたり、ロベルトさんは裏千家もやられているほど

そんな話の最中にM氏のことを思い出した

彼らにM氏のことを話すと会ってみたいということになり、翌日電話したが留守だった。
それから数日後に電話をして本人に繋がったが、その頃にはイルカさんたちは関西へ移動していた。
結局、会うことはなかったのだ。
そして、私はその電話がM氏との最後になった

今年も例年通りにM氏からの年賀状は届いている

当たり前だが、来年からは届かないのだ


