ブログのタイトル「映画徒然草」なんですけど、「読み物徒然草」としてもいいかな・・・

 

車谷長吉著のこの短編、好きですね。

 

夫を失くした女性の一人称の短編で、宮本輝「幻の光」を読みながら思い出したんだけれども。

 

この2作品を較べるのは意味ないのかもしれないけど、宮本輝はきれいな作品になっている印象。

本作品は、少しドロドロしてる感じ。

 

車谷長吉は「赤目四十八瀧心中未遂」が大好きで、それ以外の本まだ読んだことなくて、この作品が入っている「忌中」という短編集を見つけて、今読書中。

 

身近な人が亡くなった時、自分の中に残るザリザリとした空虚な感情、自分はもっとその人のために何かできたんじゃないか、でもその人がいなくなってちょっと肩の荷が下りたんじゃないか、何かそういったモヤモヤとした苦しいようなホッとしたような、そんな言葉にできない一人の女の感情を語っている。

 

「幻の光」より、「飾磨」の方が、自分の感情にぴったりくる。

 

この車谷長吉の人間の嫌な部分を抉り出すところが好きなんだけれど、これってマゾ的なものなのかな???

 

というか、こっちの方が現実に沿っている気がする。

 

ヒトって、そんなにきれいなもんじゃないってこと。

ただ、それを直視するのは厭なんですよ。

それを自覚するのは、すごく苦しいこと。

でも、ヒトはその「苦しみ」を抱えて生きていくもの。

それを書いてくれたのが「飾磨」。