仕事の悩み | 脊髄腫瘍と暮らす生活

脊髄腫瘍と暮らす生活

2009年12月に頸髄髄内腫瘍の摘出手術を受けました。
手術前・入院・退院後の生活を書いています。

いつK病院から入院の打診が来ても良いように、実家に引越して、髪の毛も切り、各種手続きを済ませ、今週末には入院に必要な物の買い物に行こう、と心の中では手術に向けて着々と準備を進めています。

…のつもりでしたが、今日になって、私の直属の上司であるS部長に「入院の予定はいつなんだ?」と聞かれました。

…。

このあいだK病院からの入院を見送った時に

「入院の予定は当初12月か1月、ということでしたが、予定より早くなるかも知れません。そして、そのお知らせは入院の1週間程前にならないともらえないそうです。もしかしたら、11月中の可能性もあるかも知れません。次に連絡をもらったらお受けしたいと思います。」

って報告したのに。

「いつから」と聞かれても、私には答えられないのです。

S部長は続けました。
「Yさん、まだひとりで(仕事を)できないんだろう?」

10月から入ったパートのYさん。一生懸命だし、物覚えも良い方だと思います。でも、Yさんは私の仕事を覚える他に、他部署の手伝いにも行っていて、満足に引き継ぎができていないのです。

引き継ぐ予定の仕事の種類が多い。もともと4人の職員が持っていた仕事を私が抱えてしまったから。私も慣れるまでは時間内にこなせていた訳ではなくて、遅くまで残業したり休みの日に出てきたりしてどうにか過ごしてきたのです。病気がわかってからはS部長が一部引き受けてくれたのですが、まだやっぱり多い。

しかも、今月末までにYさんと私が一緒に仕事をできるのは4日くらいです。

11月中は入院できない、とK病院に連絡した方がいいのだろうか…?

弱気になって
「11月中は(入院は)無理ですかねぇ…?」
と呟いてしまいました。

「11月はちょっとなぁ…」S部長も小さい声で呟きました。



なんだか、入院に向けてテンションを上げてきたけど、一気にどん底の気分になってしまいました。

改めて、会社に迷惑をかけている、と実感してしまいました。

こんなことなら、退職してしまえば良かったのか?

そうすれば新しい職員が採用されたんじゃないか?

今からでも辞めた方がいいのか?

今辞めても迷惑の上塗りかな…

それに、会社の方から休職扱いにしてくれるって言ってくれたし…

こんなに何ヵ月も痛いのを我慢してきて、やっと手術できる機会が巡って来たのに、仕事の都合でこれ以上先延ばしにしていいのか?

今までは運良く症状が悪化せずに過ごせてきたけど、これからもそうとは限らない。いつ腫瘍が再出血して、麻痺が悪化するかもわからない。

それに、来月になったって、仕事の状況はあまり変わらない。

もともと、Yさんは勤務時間が1時間短くて、これからも他部署の手伝いに行きながら私の仕事も一人でやるなんて、物理的に無理なんだ。

私が入院して、本当に「無理なんだ」と会社が判断するまで、きっと対策は練られない。

私は、退院後、体調が良くなった時、会社の中に戻るべき場所が無くなってても仕方ないと思っています。だから、本当は新しい職員を採用した方が良いと思っています。


「チャンスがあれば入院したい。ただ、無責任なことはしたくない。」

そんな風に気持ちが固まりつつありました。でも、気分は晴れない。



仕事を終え、帰宅し、夕食後に両親に相談してみました。

父が「病院に聞いてみれば良いじゃないか。会社と板挟みになってるなら。」と言いました。

「でも、先の予定はわからない、って言われたよ」


「早く入院したい。でも…無責任だよね…」


「割り切るしかないだろう?」

父が私の欲しかった言葉を言ってくれました。割り切るしかないって、自分でも思ってたけど、それがひどく非常識な感覚なんじゃないかと不安だったのです。

「そうだよね…」


それから、お風呂に入りながら一人で落ち着いて考えてみた結果、

「やっぱり明日K病院に電話してみる。明日時点の状況を確認して、わかることをできるだけ会社に報告する。わからないことはやっぱりわからないし。」
と、お風呂上がりに両親に報告しました。


大雑把でも良いから、S部長にもう一度報告して、相談しよう。今度はメモに書いて、忘れられたり誤解されたりしないように。



この病気が発覚してからわかったことがあります。

病人は、その治療をする前の段階でいろいろな人に気を使ったり、使わせたりして、精神的な負担を負うということ。このブログの記事では省略していますが、いろいろありまして、ツラい時期もあったのです。

人それぞれ事情が違っても、病人が治療だけに専念するのは難しいことが多いのではないでしょうか…

周りで支えてくれている人達のお陰で、私は明るく過ごすことができています。
実家に戻ってからは、眠剤のお世話にならなくても眠れるようになりました。
心配なことは、ひとつひとつ解決していきたいと思います。