今回で9回目を迎えた
『尾上松也・歌舞伎自主公演 挑む』鑑賞させて頂きました。

松也さんによる
堂々たる口上の後は
ひとつめの演目
『番町皿屋敷・番町青山家の場』
ご存知の怪談話を元に
岡本綺堂の手により、
悲恋物語として書き下ろされた
新歌舞伎の名作。
なんとも激しく、
哀しくも美しい名演技に
切なさでいっぱいになりました。

次なる演目は
『乗合船 恵方萬歳・常磐津連中』
常磐津節の浄瑠璃にのせて繰り広げられる
歌舞伎舞踊。
江戸時代の庶民の姿や風俗が
明るく生き生きと描き出され、
華やかでとても楽しい演目でした。


この公演に特別出演されていた
大谷桂三さんの楽屋にもお邪魔させて頂きました。
松也さんの実の叔父様であり、
また、『初代・尾上松也』でもある桂三さん。
円熟の素晴らしい演技を観せて頂きました。

黒子姿の男の子、公春くんは、
『大谷龍生』として、
今年の『四月大歌舞伎』にて初舞台を踏まれた、
桂三さんのご子息。
楽屋では、
元気いっぱいの可愛らしい素顔を見せて頂き、
ほっこり。
これからも歌舞伎役者として
成長されていく姿を楽しみに、
応援させて頂きたいと思います。




素晴らしい公演の余韻を胸に、
夕食は上野の伊豆栄で、うなぎを。
冷酒のお供に頂いた鰻巻きも、
とっても美味しかったです。

余談ですが、この伊豆栄さん
60年前、わたしの母方の祖父母が
初めてのデートで訪れたお店だそう。
上野の美術館巡りのあと、
不忍池の周りを散歩。
蓮の花がとっても綺麗だったというから
今と同じ、夏だったのでしょうね。
そして伊豆栄でうなぎを頂いて、
その後鈴本演芸場で落語を…。
街の様子はすっかり変わっても
いまでも祖父母の思い出のコースを
そのまま辿ることも出来るのだな、と思ったら
なんだか感慨深いです。