ホームは 母の部屋は和室にベッド
   窓から 麗しき富士山  夕焼けが
  見える

 美しい景観


  しかし
    転倒 骨折させていなければ

   母は  天に召される迄
     私 と 二人三脚だった

  
  母は 私から何も聞かずに
     自らの運命を 悟り

   屋上に  行きましょ、と明るく
     誘っても  首を縦に振らず

   内心は  哀れ 虚しいと
     叫んでいる。


   ヘルシーさんと 二人で
     車椅子に 母を移乗させ

    私は プリン ヨーグルトを持ち

     エレベーターで
     ゆっくり  母に案内しながら

     屋上に 少し黙りながら
      私は母の手を握り


     心臓が破裂する思いで
     母の肩を 揉んだ

   屋上下の大ホールへ 入り
    一番 富士山 夕焼けの雅な

    場所に  車椅子を止め
    私も ソファに座り

     見える?  綺麗な夕焼け
       富士山よ

     母は 黙っては
      居たが


    テーブルに 置いたプリンを握り

     西陽を 顔に 受けながら
       大分 暫く

    素晴らしい  景色を眺め

     1言  綺麗ね

     私に プリンを食べなさいと
       手渡した


     私は 2つ有るのよ!と

      満面の笑みを 繕い

    美しい 母の横顔を
       涙で ピントは 合わない

     瞳で       ひたすら
        綺麗ね  本当に

      と  呟き

    母の気高い  愛に


      幾度も 有難う
       ごめんなさいを

    繰り返していた。