先日、世界的ヴァイオリニストに久しぶりにお会いしました。

80代だと思いますが、レッスン中の音楽に集中する様子が

あまりにも誠実で、その佇まいを見ているだけで涙が出そうになるほどです。

 

10代の学生の演奏を聴きながら、

視線を一切そらさず、真剣に、嬉しそうに

じっと音楽に耳を傾ける様子は、一点も揺るぎがない。

 

今の時代、携帯を見たり、

ひどい時には物を食べながらレッスンをしたり。

疲れた様子を見せたり、時にしゃべりすぎたり。

いろんなレッスンをする人がいますが。

 

本当に一流の演奏家ほど、5感全てを音楽だけに集中し、

レッスン中は姿勢を崩すことさえありません。

生徒の演奏を聴いていても、

その曲を舞台上で演奏している時と同じ状態で

聞いているのがわかるのです。

 

自然と、その場にいる人たちも姿勢を正し、

そっとその様子を見守る雰囲気になります。

場合によっては、まだ何も言っていないのに、

教授の前にいるだけで、演奏も音も変わることさえあります。

 

以心伝心というか。

一種の魔法のように。

 

これが本当の教育なのだな。と、いつも驚くのですが。

言葉を尽くして語るよりも、

その佇まいと集中力に圧倒されて、汚い音は出せなくなります。

(心から尊敬する偉い方の前に出て、汚い声で汚い言葉は言えませんよね)

 

先生がスッと楽器を構える様子は、神々しいほど。

そして、楽譜など見もせずに、

もっとこの音を強調してみたら?などと言いながら演奏し始めると

その場にいる誰もが息を飲み、一瞬で聞き入ってしまうのです。

 

同じ曲を演奏しているはずなのに、

どうしてこれほどまでに違うのだろうと。

1小節で誰もが魅せられてしまいます。

 

そして、場というのは、すべてを表すなと思うのは、

偉大な演奏家のレッスン室は、入っただけで空気が違います。

 

音楽院の一室で行われるレッスンも、

何十年も良い演奏が壁に染み込んでいるためか、

その場に入るだけで落ち着いて呼吸が落ち着き、

体中の気が整ってしまうほどです。

 

もちろん、これは世界トップの演奏家として

すでにプロとしても活動している学生レベルのレッスンの話で、

基礎から積み上げて、テクニックを中心に学ぶクラスというのは、

叱咤激励してくれるコーチというのも必要ですが。

 

国際コンクール決勝直前や、

コンサート直前の仕上げに必要な魔法のひと粉というのは、

こういう巨匠の演奏家のレッスンで仕上げに必要なアドバイスを頂くというのが

若い演奏家にとって、大きな糧となるのです。

 

 

***

 

 

 

 

写真は、横浜中華街のローズホテルのサロン・ド・テ。

ここの赤い靴のケーキがなくなっていてガッカリするm。

でも、他のケーキとウーロン茶を頂きました。

 

 

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