昨日は、デビッド・リンチの「ロスト・ハイウェイ」を観ました。
精神疾患を理解するうえで、観ると良いと思う作品です。
わたしの二人の子どもは、自己が曖昧です。特に娘は子どもの時、自己と他者の境界線が曖昧なので自分の言葉?他人の言葉かよくわからないとかで大変だったようです。こういう症状は統合失調症でもありますよね。だから、彼らと会話するときは、○○ちゃんはこう言っている、とか誰がどう話しているのか入れたほうがわかりやすいとか言いますね。「わたしはこう思う」はわかりにくいと思うんです。
自己の一貫性って当たり前と思う人がほとんどだと思いますが、精神疾患、神経症、自閉症ではそうでもないんですね。
このあたりのこと理解していないと接し方が上手くいかないです。
頭が混乱してしまいます。
病気の人の精神世界を知ろうとしないと関係性はよくなりません。
わたしは、娘にとってぬいぐるみで、世界と自分を繋ぐ存在と言ってくれます。これは、わたしが一生懸命娘の世界を理解しようとしたからです。
精神疾患、自閉症ではそういう存在が必要だと思います。
息子はときどき自己が曖昧になります。
脳科学の本を読むと、神経細胞が入れ替わらないのは自己の連続性がなくなるからと書かれています。
脳の神経細胞は他の部位と違いほとんど入れ替わらないんです。だから、一度病気でとんでもなく悪くなると回復に時間がかかります。でも全く神経細胞が増えないわけではないし、補うように他の部位が発達することもあるから訓練が大切です。
息子はPTSDのとき自己が曖昧だったし、わたしがマネキンに見えたし、バスが動いていることもわからず、街の風景は映画の中のようだったと話しています。
また、時間も過去、未来がわからなかったそうです。
わたしは、時間をイメージするとき、真っすぐな道で過去から未来へ向かっています。でも娘は違います、回っているそうです。ループしているんです。
どうして?と訊いたら
だって時計は回っているでしょ。
と答えました。
デビッド・リンチの映画も時間がループしていました。どこが始まりかわからないし、自己の連続性も失われ、現実と虚構がわからないんです。
混沌とした世界、まさに狂気です。怖いです。
オープニングとエンディングに流れていたデビット・ボウイの曲と歌詞もよかったです。
デビッド・ボウイの曲「アメリカンサイコ」やベルトルッチの映画でも使われていたけどいいねえ。好きです。
病気の当事者にはこの映画お薦めしません。頭が混乱すると思うから。
娘は「マルホランド・ドライブ」は観ているけどね。二つ観ると理解が深まるかも。
怖いけど不思議な世界を体験した気分になります。
決して踏み込んではいけない息子の地下の世界へ。