息子の心の底の地下室には2段階あって、一番下の入り口には赤い扉があるそうです。
2015年ぐらいのとき、凄く不調になることがありましたが、そのときは赤い扉の向こうの世界に行ったそうです。
そこに入ると、頭がおかしくなるみたいです。
そう言えば、そんなこと、あったかなあ?
最近、村上春樹さんを読んでいますが、魂の世界?あの世?現実と虚構の曖昧な世界へ行って描いているようなことが書かれていて、とても興味があります。
わたしは、思春期、青年期は、精神が常に不安定で混乱していて自分の行動を上手くコントロールできませんでした。思いつくまま衝動性に任せて生きていたので、振り返ると何故こんなことをしたのか原因がわからない行為を繰り返しました。そのために周囲を振り回していて傷ついた人もいたかもしれません。でもそのときのわたしにはそれしかできなかったんです。
でも子どもを産んでからわたしは、変わろうと努力しました。
その頃、河合隼雄先生の本がとても好きで、心が浄化されるような癒しがありました。凍っていた心が解けていくような感覚で救われたんです。
でも子どもが病気になり、ユング、フロイト、コフート、ラカンとか読みましたが、治療に役立てることが出来なくて脳科学に向かうようになりました。
オリバー・サックス、ラマチャンドラン、テンプル・グランディンの本で子どもの脳の特性に気がついて、試行錯誤して10年ほどかかりましたが、息子のPTSDはよくなりました。
臨床心理士のEMDRの治療は役に立ちましたがそれだけでは十分ではありませんでした。何度も心が折れそうになりました。
実際、こんなに辛い想いをするなら、死んだほうがましかなあと思って生きていたのですから。
わたしにとって死は日常にあるものでした。
薄い氷の上を歩くような危うい日常でした。
息子には不思議な力があり、彼の心の奥には赤い扉があります。
わたしは息子の精神と同化したのか恐ろしい幻視をみました。
最近、自分には何ができるのか、わたしに使命があるとしたら何か考えています。
娘はわたしのことを現実と自分の世界を繋ぐぬいぐるみと言います。
自分もそうだなあって思うんです。
村上春樹の作品には巫女的な存在の女性がいるそうです。
わたしもそうなれたらいいなあと思っています。
脳科学の本は、沢山読んだから、これからは村上春樹を読もうかなあと思っています。心にすっと入ってくるんです。
がんで亡くなる人の中には、お迎えを体験する方がいるそうです。
自分の母親が迎えに来たとか、そんなことを体験する人の死は穏やかだそうです。普通の人にも、現実とあの世の境界が曖昧になるときがあるのですね。