◎ 間質性肺炎/肺線維症とのつきあい方
神奈川県立循環器呼吸器病センター
小倉 高志 先生
 


あのう、今の質問を聞いていて思ったんですけど、間質性肺炎の病態の経過ということで、皆さんの病気病気で治療は違いますし、悩みも違うというところが非常に難しいところだなぁと思います。


ですので、こういう形でリハビリから栄養管理、薬の管理まで多職種が参加してくことが大事だということをお話ししていこうと思います。




うちの病院では「間質性肺炎センター」を作って専門性の高い治療ということで看護師さん、栄養士さん、リハビリの方、薬剤師さん、医者、それから地域連携室が地区の病院に紹介をしたりするところまで色んなチームを作ってやっております。



これは病棟で馬場先生、認定看護師のヤマグチさん、栄養士さんが週に一回(カンファレンスを行っている旨仰りたかったのだと思いますが、そういう言い回しは省かれました)色んな形で患者さんに関わっています。



先程リハビリでも出ましたが、ヨーロッパの学会では「Sitting is the new smoking.」と、“smoking”と動かないことは全然違いますが、その位“Sitting”というのは悪いという意味でのスライドが出てきました。


やはり「動く」ということですね。




うちの勉強会では看護師さんからリハビリの話…治療に関して患者さんたちはかなり質問を持っていらっしゃるんですよね、この看護師さんのほうではある時はパルスオキシメーター…ある程度息切れが出れば自分でパルスオキシメーターで自分でどれぐらい動いたらいいか、90%にならないように生活を、ということで認定看護師のワダさんからはお話しをしていただきました。


ワダさんからは、セルフマネジメントということで、「感情と症状をコントロールする」と。
なかなか難しいことではあるのですが、これをどうしていくか、


息苦しくなる4つの動作などについてワダさんはお話しをされました。

※補足
これは小倉先生の病院の中で行われた勉強会の内容についてのお話だと思われます。
その中で認定看護師のワダさんがパルスオキシメーターを使いながら、いかに患者さん自身が自分の病気を上手くコントロールして生活の質を維持するか?についての説明をなされたと、そういう流れだと思われます。



パニックコントロール…病気が進んできて、自分の呼吸のリズムが取れなくなった時どうするか?ということ。


呼気を意識して、自分にとって楽な、少し前かがみな姿勢を取る。


外国の方は少し太っておられる方が多いが痩せてくると悪くなるので、


間質性肺炎の患者さんに関しては痩せないように指導する。


病気になったばかりの頃、たぶんネットで検索するとすごく予後が悪いようなことが出てくるので、青い顔をしてやって来られる方が多いです。

そういう時、僕が話すのは非常に個人差が大きい病気であるということ。


以前の勉強会にも出した方、僕とは18年ほどのお付き合いでした、でしたというのはじつはお亡くなりになったのですけども、この患者さん(女性)は先程お話しした「痩せない」、体格の良い方だったので長生きされたのではないか?、それだけではないと思いますが、自分の生活を楽しんで、じつはゴルフだけではなくて釣りも好きで、そういう自分の趣味も楽しんで生きてた…、病気のことばかり考えて後ろ向きになるのではなく、前向きになった方が長生きするというデータが癌の方でもあると思うのですが、そういう方でいらっしゃった、ということもあったと思います。

とにかく、アドバイスを受けながら日常生活から変えていくことが非常に大事です。


※補足
前回の勉強会レポの中で私が
と書いた女性がこの方でした。
写真はポーズ違いですが…残念ながらお亡くなりになったのですね。。。
謹んでお悔やみ申し上げます。



患者会の設立について。

2016年10月からうちの病院では『患者会準備会』を立ち上げて、厚労省主催以外にも勉強会を作りました。

2018年5月に第2回患者会にて片山さんが会長になられました。


どんなことをしているのかというと、間質性肺炎のタイプ別に分かれておしゃべり会というものをしております。

例えば膠原病のグループ、特発性肺線維症のグループなどで、それぞれの患者さんが自己紹介とそれぞれに思っていることを話し合います。


9月22日、大阪の1週間前に第2回患者会が行われていて、この時に会則などを作りました。
40人の方が参加して29人の方が(入会を)申し込まれました。


緑(色の上着着用)がスタッフです。


スタッフが司会をしつつチューターのような役割で盛り上げながら話し合います。


患者さんが話されることには結構大きいことがあって、気管支鏡検査をラクに受ける呼吸法などは自分が教えてもらったりも。

雪国の方は、冬の間外に出られない代わりに酸素を吸いながら自宅でエアロバイク(家電量販店で~4万円ほどで購入可能)を漕いでトレーニングをしている…とか。


2016年の時はうちの病院に10年以上かかっておられる歌丸さんにサプライズゲストになっていただいたりも。
歌丸さんにはご自身の病気のことをOpenにしていただいて構わないと言って頂いていたので。



歌丸さんには太らせることが出来なくてうちの病院はダメなんじゃないか?なんてことも言われたりしましたけども、栄養管理は早め早めから、リハビリも痩せてきて息苦しくなってきてからではなかなか難しいです。

歌丸さんは「酸素をしたらもう仕事はしない」ということでしたけど、81歳になるまで、酸素を付けたことを応援して下さる方がだいぶいたとの事で、最期まで酸素を付けながら高座に上がっておられました。

やはり、その年齢で呼吸困難になりながらもお仕事をされている姿は人を打つものがあって、僕も非常に長いお付き合いの中でお教えを頂くことがありました。



(小倉先生のお子さんだそうです。)


子どもの成長と同じで、時間というものはとても大事である、と。


良い主治医の先生を見つけて長く付き合うということが間質性肺炎と付き合う基本であり、日常生活の中で急性増悪を患者さんがご自身でセルフマネジメントをするということも大事であるということです。

ご清聴ありがとうございました。



※ここで前回の呼吸リハについての補足説明がされました。

特発性肺線維症に関しては、短期的な効果は認められるものの、長期的な効果は非常に根拠に乏しいということで、今、小倉先生と長崎の高津先生を中心に全国で特発性肺線維症の患者さんに呼吸リハの効果があるのか?という臨床研究を1年間やっております。

皆様にも、もし興味があればご協力いただいて、日本からエビデンスを出してより信ぴょうに役立てたいと思っています。
よろしくお願いします。


とのことでした。



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小倉先生からは主に患者会設立への流れや活動内容、そして患者さん自身の病気との向き合い方についてでした。

私は…ただ受け身に徹してお医者さんの言われるままに漫然と治療をする…というのは少し違うかな?と思っています。

ご存知の通り、私は先生方とはあくまでも礼儀をわきまえた上でですがほぼ言いたい放題、話したい放題です。

でも少し前の時代では「先生至上主義」というか、お医者さんの言うことには絶対逆らってはいけない的な風潮が強かったし、残念なことに今も一部の先生方にはそういうパワーバランスを好んで持っておられる方もいらっしゃる…ようにお見受けするので、「セルフマネジメント」という患者さん自身が自らのために動くことのできる具体的な言葉が専門医の口から出たことについて良いことだと思いました。


それと。
先生方は同じ病院にいても必ずしも治療方針が同じとは限りません。

セカンドオピニオンがなかなか言い出しづらかったりする時は別の科にかかるチャンスをまんまセカンドオピニオンにしてしまうのもアリだと思います。

例えその先生が専門外だとしても、「先生の視点で教えて下さい」と具体的に悩みをぶつければ…上手くいけば仲間内で意見を聞いてきてくれるかも知れないし。

リハビリの先生にぶつけるも良し、薬剤師さんも大抵は薬イコール病状なので、病気にも詳しいです。

小倉先生の病院のようにチーム医療が確立されたところばかりではないと思うので、患者さん自らこっそり自分用のチームを作ってしまうのも…私はアリだと思っています。
実際私は私に係わってくれている先生方がそうだと思っています(*^^*)