私の大好きな増村保造監督の作品だ。

このところ増村作品を見直している。


私が中学のころ、たしか東京12チャンネルで毎週土曜日

邦画の放送があった。

その時初めて増村作品をみることになった。

感動的だったのが「千羽鶴」。

なぜか口紅がうっすらついた湯呑がぞっとするくらい

印象的だった。

そして「夫が見た」の作品だ。

とにかく若尾文子さんの美しいこと。

中学の頃の私にとってあの女性の妖しいは憧れだった。

結局、私にとっては個人的には妖しい美しい時代もなしに

今に至ったって・・・・悲しい。というか。


増村監督に出会えなかったが、東映の関本郁夫監督作品

に出合った。19歳の時。

「天使の欲望」これは衝撃だった。

結城しのぶさんもよかったが母親役の佐々木すみえさんが

よかった。あのけだるくだらしない母役いいなって。

お風呂場の姉妹のけんかもすごかったな。


しかし、なんといっても増村監督の吹き替えの使い方の

上手いこと。これは何回見てもワクワクする。

「夫が見た」は

若尾さんの入浴シーンから始まるが

湯船につかった若尾さんの正面の顔のアップ

湯船からたちあがらると胸など裸体が写る。

鏡をのぞく若尾さんの顔

背中ごしの裸体

風呂場のガラスばりのドア越しにみえるすこしぼやけた裸体


・・・・「卍」にしてもそうだけど、決して吹き替えにみえない。

うまいな・・・・・って思う。

その時々の作品の若尾さんの裸体が違うのが・・うふふだけど。


私も新人の頃は大場久美子さんの吹き替えをやったことが

あった。背格好がほぼ同じくらいだった。

テレビ番組だったけれど、湯浅憲明監督だった。

ロングのときはそのまま自由に走らす、演技をさす、

思いきった使い方をしたが、そうした時ほど吹き替えと感じ

ないのではないかと当時私が感じたことだ。

「3分の1吹き替えなんて、監督史上初めての経験でしたね」

と湯浅監督から言われたことがある。湯浅監督も大映の人

だった。枝川弘監督、上野○○監督もそうかな。

1979年頃こうした監督が子供番組を国際放映で撮っていた。


「夫が見た」のような

・・・・こうした映画は、もうつくられないのだろうか・・・。

知り合いのライターに「増村さんですか・・時代を感じさせる

監督の名前を言いますね」と言われた。

2011年。そうなのかな・・・。

スタッフでも監督の名前をしらない世代もいる。

そう考えると

これからどんな若手のスゴイ監督がでてくるのかな。

その現場をうろちょろしてみたい気もする。