『貴方を、愛しています。』


でも、私は結局最後まで、自分の気持ちを貴方に伝えることが出来なかった。




三度目のバレンタインデー。


今年もチョコレートを探しに行く。

初めて見つけた、七枚のメッセージチョコ。

1枚目はhappieness。

2枚目はwishness。

3枚目はthanks。

他は忘れてしまったけれど、

強烈な印象を受けた7枚目を見た瞬間、私はその場に凍りついた。


love。


たった一言。


とても伝えたくて、ずっと心に秘めてた想い。


私はこのチョコを買うことが出来なかった。




私は、覚悟もないし意気地なしで、気持ちすら奥様に負けてるんだわ。

じゃなきゃ、迷わずにこのチョコを買うことが出来たはずだもの。



そんなこと、気にする人じゃない。

私が送ったものなんて、お歳暮よりも価値のないもの。年賀状よりも形式的なもの。

そう思っているかもしれない。

あの人はそういうことに本当に無頓着だから。

そこが、愛しいのだけれど・・・・・。



もう、やめよう。


もう、本当に、終わりにしなきゃだめだ。


でも、どうやって忘れられる?


どうやってあの人への深い愛を沈めることができるんだろう。




結局、子どもが喜びそうな、動物の形のチョコを贈った。


『ご家族でどうぞ』


毎年恒例となったカードと共に。