「スクール。」フィクション


  桜が羽のように舞うあの季節。

わたしは忘れられない学校生活を送った――――。


校舎の前でわたしは、深呼吸をした。

胸に手をあてると、心臓のドッドッドという音を感じた。

何度深呼吸をしても、その心臓の音は収まらなかった。


今日からわたしは、中学1年生になる。

真新しい制服を着て、家から30分近くかけてこの学校に来た。

その間、わたしの心の中で期待と不安が渦をまいていた。

ほとんど前の小学校の人が来るってわかっていても、それでも

友達できるかなとかいろいろ考えた。


そしてわたしは、足を一歩踏み出し校舎の中に緊張した顔で

入っていった。


廊下で同学年の人や先輩とすれ違っていくだけで、心臓の音が

激しくなる。


わたしは教室に入って、自分の席に座ってあたりを見回した。

前の小学校の人は数人しかいなかった。

運悪く同じ小学校だった人はみんな男子。

同じ小学校だった女子は一人もいなかった。


この学校で友達をつくるしかないのか・・・・。


内気なわたしにとって、最悪なことだった。

思わず泣きそうになる。


そのときだった。


「ねぇ、どこの小学校から来たの?」

同じクラスの女子が、わたしに声をかけた。

ふわっとした笑顔がまぶしい、とても優しそうな子だった。

「え・・・っと、あの・・・みっ・・・美知小・・・・」

思わずどもってしまった。顔が林檎みたいに赤くなる。

わたしはその子の顔を見れずに、下を向いた。

「そっか!わたしはね、陽華小だよ。あ、わたしは木雫 友恵(きだ ともえ)!ともって言ってね。よろしくね♪」

木雫さんは、わたしに手を差し出した。

「わ・・・わたしは、羽真 希衣。よ・・・よろしくっ・・・」

わたしは木雫さんの手を握り返した。

ふっと木雫さんの顔を見ると、木雫さんはとても

嬉しそうに笑ってた。

わたしも少し微笑んだ。


「じゃあ入学式始まるから、全員体育館に行きなさい!」

新しいこのクラスの担任になった、井元先生は大声で

言った。

熱血な男の先生で、ちょっと暑苦しい。

この学校のこのクラスでわたしは新しいスタートきれるんだな、

嬉しさでいっぱいで、今朝のことなんて吹っ飛んでしまった。