虫の音は雑音か? | ハントウメイ

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<長文になっちゃいました....>

最近、「日本人の脳」という本を読みました。

やや古い本で初版は30年以上前のようだけど、
角田忠信さんという大学教授によって書かれた本です。
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角田教授は言語と脳の関係について
様々な研究を行っていて、
それに関する論文がこの本に集約されている。

本によると、
日本語を話す人(日本語ネイティブ)は、
動物の鳴き声や川のせせらぎのような自然の音も、
全て言語半球(左脳)で処理するのだそう。
だからそれらの音も単なる雑音として処理するのではなくて、
情緒とか風情として心に留めておくことが出来るんだって。

これに対して日本語以外の言語ネイティブの場合、
虫の音なんかは劣位半球(右脳)で処理するので、
雑音として捨てられてしまうそう。
だから私たちが言う"情緒"を
本当に理解することはできないのだということ。

私にとって、一番身近な異言語話者と言えば主人。
私(日本語ネイティブ)と
主人(英語ネイティブ)の物の感覚の違いが、
文化的、民族的背景やモラルの差異だけにあるのではない
ということがわかりとても興味深かったです。
言語は奥が深い。
コミュニケーションを上手に取る為には、
単純に文法を熟知して発音を矯正する以上に
理解しなければならない事がたくさんある。

今期取っている大学のクラス(経営学)では、
マネージメントを学ぶ一環としてpsychologyチックな
ことも勉強するんだけど、そこでも面白いことを学んだ。
多分大学で心理学を専攻した人は知っていそうな論。

Edward T. Hallという人類学者が
彼の幾つかの本の中で論じているものなんだけど、
Culture(文化)には、low-context culturesと、
high-context culturesという二つの区分けがあり、
これによってコミュニケーション方法が分類されるそう。

low-context culturesの典型例はアメリカ、
オーストラリア、ドイツ、スイスで、顕示的傾向(Explicit)を持つ。
high-context culturesの例は日本、
南アメリカ、インドで、こちらは暗示的傾向(Implicit)を持つらしい。

顕示的傾向=
個人主義が強い傾向にあり、習慣を重んじるよりも改革を好む文化。

暗示的傾向=
集団主義が強い傾向にあり、伝統を守る文化。

そしてそれぞれの文化は、それに相応した言語を持つそう。
顕示的傾向を持つ文化圏内の言語は論理的で、
はっきりと物を伝えられるような構造になっている。
対して暗示的傾向を持つ圏内は「ほのめかす」、
「行間を読む」とか「あ・うん」を理解することが出来るらしい。
この辺りを理解しないでコミュニケーションを取ろうとすると、
low-context文化は行間を読めずに「よくわからない人」と判断するかもしれないし、
high-context文化はズバリ物を言われて「失礼な人」と感じるかもしれない。

これも本当に実感しますね!
外資で会社員だった頃に始まり、
今は大学の授業中、またレポートを作成する時など。
会話だけに限らない。
例えば小論文の内容をまず日本語で考えてから英語に直すということをすると、
Proof readingしてもらっても言いたいことが伝わっていないと言われる。
自分でその出来上がった英文を読んでみても、
確かになんだかまどろっこしくて、読みにくく感じる。
でも最初から英語で書いていくと隙間なく、
無駄なく書けるというか、さっぱりと
読みやすい文章が出来上がります。

Low-context と high-contextについては
wikiに定義の概要があるので良かったら見てみてください。

そうそう、
角田教授の研究に関して、
じゃあバイリンガルやそれ以上の場合はどうなるのか ?
の部分も本に書いてあったので、
興味があったら読んで見て下さい…。


ちなみに、私は虫全般ダメなので、
もちろん、
虫の音で風情を感じる余裕はないんだけど…。