3年の産休、育休を経て、ようやく仕事に復帰しました。そして気づいたこと。

やっぱり仕事が好き!

産休明け初出勤の朝。オフィスの入っているビルの受付のフィンランド人のおばちゃん、リーサは、相変わらず元気そう。ギリシャ好きのリーサとは個人的にも仲良くしていて、産休中も連絡を取り合っている仲でした。このリーサ、外見こそ日本人が想像する「受付嬢」のイメージとはほど遠く、恰幅が良くて、金髪を赤に染めてみたり茶色にしてみたりと忙しい。でも日本人並みに機転が利き、きびきびと働く受付のプログラサン

リーサと再会を喜んでから「あー!やっと仕事に戻れるよ!すごく嬉しい爆笑」と言うのが、私の第一声。午後にまた会うと、リーサは「まだ朝と同じ気持ち?」と聞いてきました。「うん、やっぱり私は仕事が好きなの。子どもが可愛いのはもちろんなんだけど、3年の産休、育休は正直長すぎて、最後の1ヶ月はノイローゼに近かったかもしれない。」と告白。

「実はね、まわりには『保育園に預けた最初の日は、子どもも泣いてたけど、私自身も涙が止まらなかった』と言う人が多くてね…。私は子どもが泣くのを見ても、不思議に涙は出なくて、逆に保育園に預けてホッとしたんだ。

だって保育園の先生たちは育児のプロで、とても信頼できる人たちだってことは慣らし保育中にわかったし。2歳過ぎてからは子どもも私以外の人との時間が必要だと確信したし。何より、私自身、ようやく自分に戻れる気がしたの。

私はどっか何か欠けているのかもしれないね。そういうことを考えるのも苦しかったんだ。」
なんてことを正直に話すと。

リーサは「私ね、実は昔保育園の先生だったの。」と言ってきました。

「でも、4年で耐えきれなくなって辞めて、ホテルのビジネススクールに通って、ホテルに転職したの。10年勤務したけど、夜勤や早朝シフトがキツくてこの仕事に就いたんだけどね。私は保育園で働いてみて、子どもといるのは自分に向かないことがわかってね。だから、自分の子どもも欲しくなくて。主人は前妻との間に2人子どもがいるんだけど、私との子どもは望まないでほしいというお願いを聞いてもらって結婚したのよ。主人が理解してくれて、私はラッキーね。」と。

「marichatoがおかしいなんて、私は全く思わないわよ。私の親友は、生まれたばかりの子どもを連れて、カフェで私とコーヒー飲んでてね。おしゃべりに花が咲いて…で、子どものことすっかり忘れて、カフェに置いてきちゃったの。カフェを出てしばらく歩いて『あれ?子ども、どこだっけ?カフェに置いてきちゃったんじゃない?』って2人してようやく気づいて、慌ててカフェに戻ったの。赤ちゃんは寝てたから万事OKウインク

他の友だちも、フィンランドではみんなそんな感じかなぁ。みんな自分の子どものことは愛しているし大切よ。でも自分のことも大切でしょ。」

あの…こんな私(過去の記事はこちらから)ですが、さすがに自分の子どもを置き忘れてきちゃったことはありません爆笑 リーサの周りがそうなだけで、自分の子どもを置き忘れる人はなかなかいないと思うけど宇宙人くん

でも、自立心が強いと言われているフィンランド人、そして税金が高くて共稼ぎでないとまわっていかない、専業主婦という存在が稀有なフィンランドにおいて、子どもを預けて働くのは当たり前。フィンランド語で保育園はpäiväkoti、直訳すれば「昼間のおうち」。こんな名前からも、フィンランドにおける保育園の位置付けがわかると思います。

子どもたちの様子は、たまーに先生がwhatsappでケムシ組の保護者全員宛に送ってきてくれる。きちんと子ども全員の写真を送ってくれるのは、本当にありがたい(まだ他の子どもと遊ぶことができないこの年齢、ケムシ組の子どもはバラバラに遊んでいるから、先生も撮影大変だと思う…)。


保育園を終えた小熊を抱っこすると、先生の使っているお化粧の残り香がほんのり小熊のシャツから匂う。抱っこしてもらってたんだね、大切にしてもらえているね、と気持ちが温かくなる赤薔薇 子どもを保育園に預けに行く時には泣かない私なのに、こんな時には嬉しくて涙が出てくる。

和食や中華を食べたい私は、ギリシャ人の夫に料理は期待できない。だから仕事復帰しても調理担当は相変わらず自分。だから好きなことをする時間は減るけれど、仕事をするのが好き、和食や中華を食べるのが好き、だから仕事の時間も料理する時間も、実は全部自分の時間なんだよなぁ。

仕事に戻ってあらためて思う。子どもとだけの、あの3年間はとても不思議な異次元の時間だった。ようやく、自分に戻れたよ。

仕事に戻れた喜びで張り切っているうちに、3年のブランクを早く埋めようニコニコ 通勤途中に見える景色、今日も清々しいな。