フィンランドでの慣らし保育が、ようやく今週始まりました。8:30から行って、みんなで遊んで。11時からみんなでお昼ご飯を食べて、帰宅。

ちなみにフィンランドの昼ごはんは、社会人も11時です。ほとんどの会社のランチタイムも11時から20分か30分。私が働くオフィスビルにある食堂も、12時過ぎにはもう閑散としていて、2時には閉まるのです。これは昼が午後2時に始まる南欧と対極で、フィンランドで働き始めたギリシャ人の主人が、午後2時に昼ごはんを食べに行ったら社食が閉まっていたというのも、笑えない笑い話。

さて、保育園の小熊の年齢には2クラスあるのですが。なんと名前が「ノミ組」と「ケムシ組」。なぜ??小さいからノミなの?ケムシもイヤだー!日本の「ひよこ組」とかがなんとも愛らしく思い出されますヒヨコ

初登園日は、日本は猛暑らしいのに、ここ南フィンランドでは最高気温10度えーん

あぁ5月末でこんな格好をさせるなんて。


マヨルカ暮らしで冬装備はほとんどなかったから、友だちにもらったり事前に買いに走った、フィンランドの春装備。

私が離れていても1人黙々と遊んでいるケムシ組の小熊を見て、この調子で私が仕事に戻ってもハッピーに遊んでいてね、と祈る私。

南フィンランドの保育園は8月1日から始まるので(ラップランドなどは夏休みがもっと短く、その分冬休みが長いらしい)、今は日本でいうと学年末の時期。それでも、去年の8月から来ているという子が、ずっとお母さん恋しさに毎日何時間も泣き続けているのを見るとさすがに胸が痛みます。でも保育士さんが誰か必ずその子を抱っこしていて、抵抗しても抱きしめて背中をさすってあげている様子に、まぁなんとかなるのかな、と。

マヨルカの保育園では子どもが20分以上泣き続けていると、親に呼び出しがかかるので、1週間目は親は保育園の近くのカフェで待機が普通、と聞いていました。それをフィンランドの保育士さんに言うと「20分?それは短いわね。数時間なら考えるけど」笑い泣き 税金の高いこの国は、共稼ぎでないと社会がまわっていかないから、ちょっとやそっとで子どもを返していられないのです。

そんな両国の保育園事情を比較しながら、小熊の自立した遊び方に安堵しながら、気づけば昼。先生が話すフィンランド語がわからない小熊に「ご飯だよ。」と言い、席に座らせる。さすが去年の夏から来ている子どもたちは、きちんとお行儀よく座っています。


実はこの給食が、私が楽しみにしていたことの一つ。偏食で、ご飯(お米)、お味噌汁、大根の煮物しか食べない小熊も、周りの子の食べる様子を見て、偏食が治るのではないかという期待があるのです。

先生が給仕してくれたご飯を、「いただきます」はなく、銘々が食べ始める。小熊もさっそくジャガイモをひとくち。そして「これ、ご飯(お米)じゃない」と言うおにぎ フィンランドで一般的なNäkkileipäというライ麦の薄いクラッカーもひとくち食べて、「はちみつ、ほしいの。」と言うガーン 

(写真はお借りしています)


まぁね、これ大して美味しいものじゃない。大人の私は、健康的かなぁと思いながら食べられるけれど。そして大好きな牛乳も、フィンランドで一般的な乳脂肪ゼロのものが出され、うっかり半分飲んだものの、”Οχι"(ギリシャ語でNo)。ギリシャでも日本でも大抵乳脂肪の高い普通の牛乳をあげているから、子どもにも私たちが飲む牛乳をあげてきたのです。

あとはなだめすかそうが何しようが、口を開けずに食べることを拒否。

「インド人のお子さんなんかも、フィンランド料理に慣れるのは時間がかかるの。大丈夫、子どもは餓死する前にちゃんと食べるから。」と先生ガーン 

思い起こせば20数年前にスリランカにホームステイしていた時も、ステイ先の小さな子どもたちはカレーを食べていたのです。大人のカレーとは別よ、とホストマザーは言っていたけど、日本人の大人には十分に辛いシロモノだった。こんな小さな頃からカレーを食べているんだなぁと妙に感心したものでした。

そして最近、フィンランドのコーヒーについて、フィンランド在住歴の長い日本人と話していた時のことを思い出したのです。話していた場所は、南米の豆を自分たちでローストしているカフェ、私と主人の間では「ヘルシンキで唯一美味しいコーヒーが飲めるところ。」

コーヒーの消費量世界1を誇るフィンランドでは浅煎りのコーヒーが一般的で、家庭やカフェで1番飲まれているのがこちら。しかし、このコーヒーは深煎りが一般的な日本人にはなかなか合わない。(でも浅煎りだから1日にマグカップで数杯も飲めるのだ)



ほとんどの外国人が文句を言うこのコーヒー。フィンランド人と結婚されている、コーヒー好きのこの日本人の方に聞いてみると。

「フィンランド人のお母さんのお乳があのコーヒーの味になっているんだって。だからフィンランド人はみんな疑問もなく美味しく感じるんだって。」...もう、遺伝子レベルの問題ね。

給食にストライキを起こしている小熊を見て、お米が好きなのも、ジャガイモが苦手なのも、ライ麦クラッカーがイヤなのも、日本人の私から生まれてきて、和食をメインに食べてきたことに所以するのだなぁと思ったのでした。ライ麦クラッカーにはちみつがほしいというのも、はちみつ大好きなギリシャの血なのでしょう。脂肪分ゼロの牛乳がダメなのも、明らかに私たち夫婦の食卓にのぼらないからだ。

この日は、ジャガイモをひとくち食べただけ。


2日目のカレー風味のスープもひとくちも食べず(でも、インド系の子どもも残していたのを見逃さなかったよ爆笑

3日目は魚のすり身団子。こりゃむりかな、と思っていると、パクパク食べ始め、他のものは食べないのに、なんとすり身団子のお代わりをねだりに、先生のところに歩いて行った爆笑 家でよく白身魚のすり身団子を作っているために馴染みやすかったのか。それとも少し慣れてきたのか?いずれにしても、この様子だと餓死する寸前までストライキをすることはないかもしれない。

お母さん恋しさに泣くより、餓死寸前で泣く我が子を想像する方が悲しいのはなぜだろう。

ともあれ私しか、この子に和食を食べさせてあげられる人はこの国にいないんだ(大げさ)!そんな使命感を持った、慣らし保育1週間目でした。