歯医者さんが苦手です。虫歯を治してもらったり、親知らずを抜いてもらったりと散々ご恩があるのに、苦手なんて失礼とは承知ながら。

生まれて初めて歯医者さんにお世話になることになってしまった、marichato、9歳の春。

母に付き合って歯医者さんに行ったことがあったから場所はわかっていたために、1人で行って来なさいと言われて、近所の歯医者さんへ。機械音、消毒の匂いの中、少し待ってからようやく診察室へ。

歯医者さん: はい、口をあーんしてね。
Marichato: いやです。
歯医者さん: いやでもね、口を開けないと歯が治せないんだよ。さ、口を開けようか。
Marichato: いやです!
歯医者さん: いやって言っても…虫歯治すためにここに来たんだからね、口を開けようね。すぐ済むよ。
Marichato: いやです!!
…と何度か押し問答を繰り返し、とうとう
歯医者さん: 口開けないなら虫歯治せないよ!そんなに頑固なら帰りなさい!!
Marichato: わかりました。帰ります!
と言ってすたこらさっさと家に帰ってきた私。後日母に連れられてまた歯医者さんに行かなくてはならなくなったことは言うまでもありません。

こんなに歯医者さんがこわかった9歳から30年以上経ち、さすがに口を開けずに歯医者さんを後にすることはなくなりました。それでもやはり、歯医者さんはできれば行きたくない。

それなのに。

なぜこんなにしょっちゅう歯医者さんのお世話になっているのか。考えてみれば色々な国でお世話になっているのです。歯の治療は一時帰国の時に日本でする、と決めている在外邦人も多いようですが、私は住んでいるところでお医者さんも歯医者さんも見つけておきたいタイプで、日本を出てから約10年、日本の歯医者さんにはお世話になっていません。というわけで、私の歯医者体験をまとめてみました。

<シンガポール>
シンガポールでは日本から歯医者さんが派遣されている病院で治療をしてもらっていました。日本のパスポートが必要なのですが(日本の歯科医師免許では海外だと日本人しか治療できないのだそう)、安心して診てもらうことができました。

<フィンランド 大手の歯医者さん>
フィンランドでは大手の病院の歯医者さんへ。フィンランドでは私立の病院がチェーン店のように全国展開されているのです。公立という選択肢もありながら、なかなか予約が取れないことで知られているので、私立に行ってみることに。

さっそく麻酔を打ってもらう。私がフィンランド語を解さないと思ったのか、歯医者さんと歯科助手の女性2人で夏休みの予定の話で盛り上がっている…ちょっと、真剣にやってよねー、こっちはドキドキしてるんだから。

…しばらくして治療開始。あれ?痛い!麻酔効いてないよーガーン 私、薬や麻酔などすぐに効くタイプなんだけどなぁ?

「あら、場所が違ったかしら。もう一度打ちましょう。」

え。

そんなことあるんだ。まぁ、歯医者さんも人間だものねー。間違いもあるよねー。

…と、寛大だったのははじめの2回まで。

なんと麻酔が効くまでに7回も麻酔薬を打たれた!!ガーン

「あの…7回も打って大丈夫なんでしょうか?」という私に、
「この麻酔は11回までは大丈夫よウインク
と先生。麻酔が効いてようやく治療が終わり、€185の請求(約25,000円)。
「次回は神経を抜くから、今回の倍の時間がかかるわ。倍のお金を用意しておいてくださいね。」と受付のお姉さん。…え?時間請求制?の疑問を残しながら、この歯医者さんには2度とお世話になるまいと決意する。心の中でなにを思っていてもいいけど、やはり患者さんの前で夏休みの話をするのはいかがかと思うよプンプン

<ドイツ>
ヨーロッパに住んでいるともらえるEU圏で使える健康保険証がもらえます。フィンランドで診てもらった同じ歯をたまたま遊びに行ったドイツで診てもらったら、麻酔は一発で効き(当たり前?)、「神経は残ってるから抜かない方がいいね。残しておきますよ。」と。私立だったのにフィンランドの健康保険証で請求額たった€10(約1,400円)。そういえばフィンランドよりエストニアの歯医者さんの方が腕がいいから、とエストニアまで治療に行く知人もいましたが、私は当時彼(今の主人)がドイツに住んでいたこともあり、よくドイツで治療してもらっていました。上手だと思います。

<フィンランド 個人歯科医>
さて、知人の紹介で別のフィンランドの歯医者さんにもお世話になりました。歯を見てもらい、治療が始まると、

先生「あら、この歯はどこで治療した?この詰め物の材質はEUではフィンランドでしか使ってないのよ。」

えーっと…どの歯をどこで治療したなんて覚えていませんショボーン第一、今、大きく口を開けているからしゃべれないよー。

「あ、違うわ。フィンランドで使う材質とも違う。硬いわねー、この材質!日本ではこんな風なのを使っているのね。」

国によって詰め物の材質も違うのね、と学んだのでした。

もう一つ、この歯医者さんから学んだこと。

小さな虫歯はね、キシリトールガムを噛んでいたら治るわよ。私も主人も経験済みなの!(注・ご夫婦とも歯医者さん)」

初めて私がフィンランドという国を知ったのは、日本のキシリトールガムの宣伝で森を背景に「フィンランド人には虫歯がありません」みたいなフレーズのためだったと思います。びっくりしたけれど、フィンランド人にも虫歯はあるし、日本より少ないのはフッ素を塗る人が多いから。

でもキシリトールガムって本当に効くのかな。歯医者さんが言うなんてびっくりびっくり

<スペイン>
さて、こんなことをつらつらと書いているのは、マヨルカ島の歯医者さんの待合室。予約してきたのに、なかなか番が回ってこないよーチューこのドキドキの時間、苦手!

…診断の結果、神経を抜くレベルの虫歯2つ、小さな虫歯1つが見つかりましたえーん1時間近く待たせておいて「今日は時間がないからまた来週」とはいかに。今日は無料、でも全ての治療は高額になることがわかり、育休中で自分の収入がない私は治療の恐怖より金額の恐怖で泣きたくなった、marichato、43歳の春。いや、自分の収入でも泣きたいけどね。

先生は英語が通じたけど、助手の方は通じず、たどたどしいスペイン語と度胸と想像力で次回予約を済ませて歯医者さんを後に宇宙人くん語学も頑張らないとなぁ、と歯みがきの下手さとスペイン語の下手さにダブル自己嫌悪。

日頃から定期的にチェックしてもらって大きな虫歯を防ぐべきですね。日本、シンガポール、フィンランド、ドイツ、スペイン…歯医者さん体験、5か国を記録。なんの自慢にもなりません。