石井先生のご縁で


お世話になった


役者さんは


たくさんたくさん


いらっしゃいますが






なかでも


長きにわたり


お世話になったのが






香川京子さん






黒澤映画はじめ


映像の歴史には


かかせない


大女優さんで


いらっしゃいます





映像のお仕事がメイン


ではいらっしゃいますが


一時期は


特別に


大親友の


石井先生の作品にだけ


舞台に立たれた事が多々あり


そのご縁で


お目にかかることが


叶いました





その


凛とした


透き通るお声が


帝劇に響きわたるのが


本当に素敵で







静かな佇まいで


コツコツと


ご自分のなすべきことを


積み上げられ


私たちには


何かを


必要以上に


求めたりはなく


いつも優しく


ありがとう って


言ってくださる方







がさつな私で


本当に大丈夫なのか


いつも


申し訳なくて


香川さんのお側にいるときは


石井先生に怒られないよう


行儀良く


静かにしてなきゃ


と思ってはいるのですが


ついつい地が出て


バタバタしていると





真理さんって面白いですね



喜んで下さったり


それで


だんだん


家庭話 子供話


舞台のことなど


ぶっちゃけ話ができるようになって


距離が縮まって


更なるおつきあいに


繋がったのかも。。。






しかし


びっくりしたのは







普通なんです


普通より


普通かもしれないくらい


普通の感覚を持っていらっしゃる





お稽古場には


電車に乗って行かれるし


切符も


ご自分で買い


お昼は


サンドウィッチを


自らチョイス


嫌いなものは?


と問いかけながら


私たちのものまで


手早く選んで


あっという間に


お会計終了


そして


選んで下さった


センスが抜群!






荷物も


余程じゃない限り


ご自分で持たれる






サンドウィッチの


お供の飲み物は


ご持参の水筒に







金銭感覚も


主婦目線


普段使いのものに関して


ちょっと高いなというお店は


好まれない







でも


ここは


というときの


判断は鋭い







ご自身が


主婦であり


お母様でいらっしゃるので


芸能界を


全く匂わせない


空気感も


持っていらっしゃいます




帝劇の懐かしいエレベーター前











これは


これで舞台を最後にします



決意されて臨まれた


女たちの忠臣蔵の瑤泉院さま


お誕生日の月だったんですね







香川さんは


作品に参加されるばかりでなく


精力的に


映画の魅力を伝えたいと


全国を飛び回って


活動していらっしゃいます







これ以降も


映画のロケに


お声かけ戴いたり


映画祭やトークショーがあると


お伺いしたり







当時私が


どうしても


山岡師のお仕事や舞台などで


お手伝いが出来なかった際


サポートをお願いした


若い女優さん達と一緒に


香川さんを囲んでの


女子会と称して


何年かに一度


香川さんの笑顔に


会いにいきます













そして


京マチ子先生





グランプリ女優


であり


国内外の名作に


カメレオンのように


様々な役柄で


出演されている


名女優でいらっしゃいます







最初は


京先生の座組の末席に


加えていただき


花道から


先生のお姿を拝見していて







その次の舞台で


石井先生から


改めてご紹介いただき


お部屋の二番手に


加えていただきました







京先生は


普段はニコニコされていて


どんな方にも


分け隔てなく


接してくださる


香川さん同様


スターを感じさせない


和やかな


あたたかな


お人柄でいらっしゃいました






しかし


楽屋で


いったんお仕事モードになると


ほんとうに


厳しかった





私たちに


というより


ご自分自身に とっても





朝のストレッチでの


あの身体の柔らかさ


しなやかさ






ちょっとした


襟合わせや


鬘のあんばいなど


お支度のときは


細かく細かく


こだわっていらして


勉強になりました








お部屋に入った最初は


お化粧まわりや


お支度関連など


京先生がいらっしゃるときは


お側に近寄らせては


いただけず


一番手の方がやっていらっしゃるのを


傍で見ている


というスタイルでした






京マチ子家には


業界では


知る人ぞ知る


鬼の市川


と呼ばれる


名マネージャーさんがいらして


京先生の全てを


ご存知で


市川さんが


絶えず目を光らせて


お部屋の規律を


保っていらっしゃっていたんです





お部屋に入っても


市川さんの


お気に召さないと


次回は


ご縁が。。。


ということもあったそうで


良い意味で


緊張感のある


楽屋でした





その市川さんが


どういう訳か


そのあとの舞台で


私をと


ファーストポジションに


指名してくださり


そこから


ようやく


お支度のお手伝いや


先生の拘りを


直接お話をきかせていただく機会も


もてるようになりました








京先生は


ご自分のことは


きっちり


ご自分で


というタイプでいらっしゃるので


どちらかというと


私は


先生のお衣裳替えや


お部屋のもろもろ以外の時間は


市川さんのお世話や


お買い物などに


時間を費やすことが多かったかな






そうやって


時を重ねて


市川さんが


地方公演までは


ご同行が叶わなくなって





ある日


あんたにお嬢さんを任せる


頼んだよ


と宣言され


一大決心のもと


京先生と


地方公演に旅立ち


先生に


ひとつひとつご相談しながら


長い公演を乗り切って








その後


名古屋の公演先で


突然


荷物を全部捨てていきます


もう舞台はやらないことにした


あんた頼むな


と先生から言われ


泣く泣く


お荷物を片付けて






その公演を境に


第一線から


身を引かれ


まだまだ


美しくてしなやかでいらしたのに


本当に見事な引き際で


カッコいいな


と今でも思います










ここは


先生がお気に召して


何度か通われた


もんじゃ屋さん


いい笑顔です♪










これは


名古屋ではないのですが


最後の舞台でのお役


女たちの忠臣蔵の瑤泉院さま





奇しくも


香川さんと京先生


同じお役で


舞台を降りられました








そして


お二人とも


見届けさせていただいて


不思議な役回りをさせていただいたな



つくづく思います