KNOCK KNOCK
医者:はい、どーぞー!
患者:あ、あの~・・・
医者:はいはい、まずお名前と年齢を教えてくださいねー。
患者:メイシュンホウシ、6歳です。
医者:女の子だね。今日はどうしましたー?
患者:あ、あの、勝てないんです! 勝てないどころか入着さえできないんです!
別に遅くなったわけじゃないんです、今までと同じタイムが出るんですが、
レースになると全然ダメで!
医者:まぁまぁまぁ落着いて。じゃあねぇ、順番通りに聞いていこうかな。
6歳だったね、入厩時期とピークインはいつか覚えてる?
患者:入厩は5月4週で、ピークインは4歳6月です。
医者:普通か稍晩成か微妙なところだけど、稍晩成だねぇ。初勝利はいつ?
患者:4歳9月、2戦目です。
医者:ピークになってからね。その後はどんな感じ?
患者:はい、4歳中にあと2つ勝って、5歳春までに3つ勝ってOPに上がって、4月のOPでは
2着で負けて・・・
医者:それから?
患者:あとは6回OPに出て、全部・・・・ 着外です。
医者:えぇっ!? 1年以上もずっと!?
患者:う・・・゚・。(。/□\。)。・゚ウワーーーン!!!!
医者:いやいやいや、タイムがえーっと、1600で35.2、1800で50.3で着外ねぇ。
今は34秒台や49秒台じゃないとなぁ。入着していれば出るかもしれないのにねぇ。
あぁ、泣かないで! そうそう、適性はどうなのかな?
患者:砂はSSです!
医者:なるほど、距離は?
患者:助手の人に『1400~2800』って烙印を押されちゃいました・・・
でも好きなのは1600~2100ぐらいで、自信あるのは1600~1900です!
医者:そこらへんは君の所の厩舎と騎手の特性かもしれないね。君の適性距離は、やっぱり
1400~2800なんだろうねぇ。
患者:。゜゜(´O`)°゜。わ~ん
医者:あ、あ、そうだ! アビはどう? 持ってるでしょ?
患者:骨太とパーフェクトフォームです。あと併せ×と逃げ腰もつきましたが、すぐ消えました。
医者:体力系の一般個性『丈夫』だね。
患者:はい、だから、ウルトラタフがつけば勝てるよって言われて! 着外した後はレースも
お預けでずっと併せやったり休んだりで・・・でも、でも、ぐすん・・・
医者:あ~、あ、あ、ダメだったんだね。もし今からついたとしても、次のチャンスは7歳に
なっちゃうからね、元気でいられる保証はないよねぇ。それに多分つk・・
患者:う・・・ 他の仔達にはいっぱいいっぱいつけてあげたのに。上位個性の仔達には特に。
でも最近はつけられなくて、世代のギャップを感じているんですが・・・
医者:世代ギャップはありがちだけどね。なるほど、それで奉仕なんだね。
患者:違います、鋒矢です! お母さんは雁行で、みんな陣形の名前なんです。
医者:まぁそれはともかく、あ、お母さんはなかなか優秀なようだね。お父さんはセクレさんか。
患者:はい。
医者:パーフェクトフォームがあってSPもあるなら、ある程度まで追加効果も期待できるんだけどなぁ。
患者:スピードもSSあります!
医者:なるほど、逆に言うと目一杯なわけだ。う~ん・・・
厳しいことを言うようだけど、お母さんと同じ道を歩むことも考えてみたらどう?
患者:そ、それは、引退ってことですか!?
医者:君のような症状にはね、環境を変えることが一番なんだよ。
患者:で、でも、牧場にはもう妹のホウエンもいるし、お母さんもいるし、私なんてきっと・・・
医者:いやいやいや、6歳まで引張ったんだよ。きっと残してくれるんじゃないかな?
悪いことじゃないと思うよ、気が楽になるはずだから、ね。
患者:そんな・・・
医者:いや、君は今までよくがんばったよ。
患者:う・・・ はい・・・ ぐすん
医者:お母さんになって、子供の成長を見守るんだよ。君の子供がOPや重賞を勝つんだよ!
患者:ほ、ほんとに? 私からそんな子供ができますか?
医者:も、もちろんだとも!
患者:・・・もう引退しかないんですよね。でも、少し、吹っ切れました。
医者:うんうんうん、それがいいね。何度も言うけど環境を変える、それが一番だよ。気を楽にねっ!
患者:はい、ありがとうございました。
そうしてメイシュンホウシは今日、最後のOPで元気に着外します。
最後、楽しくがんばろう!