任天堂最強法務部が敗北!?登録商標「マリカー」の奪還失敗の結末 | 【追跡】マリカーvs任天堂 訴訟備忘録

【追跡】マリカーvs任天堂 訴訟備忘録

気になるマリカーと任天堂(マリオカート)の争いに関するまとめです。
背景の三船剛さんがかぶっているヘルメットの文字に他意はありません(笑)

公道カート企業「株式会社マリカー」は、2015年5月13日に「マリカー」の商標を出願し、

2016年6月24日に第5860284号として商標登録される。

その3ヶ月後の2016年9月26日に、任天堂がその商標登録「マリカー」(第5860284号)に対して、

登録の取り消しを求めて異議申立を行うが、特許庁から維持決定(任天堂の敗訴)となる。

 

任天堂最強法務部が敗訴したこのニュースはいろんな意味でびっくりした。

タイトルがタイトルだったし、訴訟を提起したとメディアで言われていた矢先だったからだ。
でも、そんなに早く判決出ちゃうわけもなく、実は別件。

任天堂は以前から「マリカー」という商標で争っていたが、それが敗訴したというのが本当のところ。
そして、任天堂は商標で負けてしまったが、それとは別で著作権法と不正競争防止法で

株式会社マリカーと争いをしていると言うことらしい。

 

個人的には、任天堂の「マリオカート」はやったことはあったけど、
「マリカー」と呼んだことはなかったし、呼ばれているのも知らなかった。

 

任天堂が出した異議申し立てには 「ポケモン」、「ドラクエ」、「モンハン」、

「パズドラ」、「スマブラ」 だって省略形として使われていると主張されていた。

そして、2ちゃんねるとかでも、もし「マリカー」がOKなら、
「ドラクエ」もOKになるじゃん!取り放題じゃん!ってな書き込みもされていた。

 

でも、ちゃんと調べると、列挙されている商標はちゃんと登録されていた。

登録4161357号「ポケモン」(1997年12月26日登録)

登録2465107号「ドラクエ」(1992年10月30日登録)

登録5172798号「モンハン」(2008年10月10日登録)

登録5627031号「パズドラ」(2013年11月01日登録)

登録4366560号「スマブラ」(2000年03月10日登録)

 

だから、省略形だから横取りできるという安易な考え方は間違っている。

「省略形だからとれた」んじゃなくて、「商標が出ていなかったからとれた」が正しい。

ちゃんと調べないと間違った議論に乗ってしまうことになるのでちゃんと調べないといけない。

 

でも、なんで最強法務部の任天堂は「マリオカート」は登録していて、

「マリカー」を登録していなかったんだろうって疑問が出てくる。

 

調べてみるとどうやら、任天堂は「マリオカート」シリーズのことを

公式には「マリカー」とは呼んでいなくて、ゲーム利用者の一部が

「マリカー」と略していたというのが状況のようだ。

(実際に異議申し立ての証拠も個人のブログなどであった。。。)


だからおそらく任天堂は、はじめのうちは「マリカー」を省略形だと思っていなくて、

今までずっと商標登録していなかった。

そしたら、株式会社マリカーが「マリカー」を商標登録した。
「マリオカート」の省略形として「マリカー」と呼んでいる人が多いと

後から気づいた任天堂は商標を奪おうと異議申し立てをしたけど、

却下されてしまった。

そんな経緯があったんじゃないかと思える。あくまで推測だけど。
 

却下されてしまうと任天堂としては不服の申し立てすらできないので、

逆に言うと、却下されてしまうほど門前払いだったんだろうなと。

 

弁護士ドットコムの記事でも「特許庁の決定は妥当」(岩永利彦弁護士)
との見解を示しているし、特許庁は普通の判断をしたんだろうと思う。

それにしても、この「マリカー」の商標で任天堂が敗訴した話を聞くと、

過去の任天堂のドンキーコング訴訟の再来のようにも思えてくる。

 

アメリカ大手映画会社のユニバーサルが、任天堂のゲーム「ドンキーコング」で、

映画「キングコング」のキャラクターを不法利用していると訴えた事件。

任天堂は「市場には他にもキングコングの未許諾商品がたくさんあるのに

ユニバーサルは許諾料を要求していない。その中で任天堂に言いがかりを

つけて来たのは単に任天堂の金目当てだ」と争い、法定での戦いの末、

任天堂はユニバーサルがキングコングの商標権を持っていないことを突きつけ

任天堂が全面勝利したというあの事件です。


今回は立場が逆のようですが・・・・。