不思議の世界へようこそラブラブ
今回も息子の介護施設の不思議な話
第2弾
そんなに怖くないです




  ​第50話 たたずむ老婆




介護施設で働いていた次男の話


次男は夜勤の仕事が多くて


夜一人で事務所にいる事が多かったそうです


夜は寝ている利用者さんが


多いのですが


たまに夜中、廊下を徘徊する方もおられるそうで


そういう方をお部屋に帰るように促すのですが、


ある日の深夜


事務所にいると


妙に視線を感じて


出入り口の方を見てみると


一人のおばあさんが佇んで


息子の事をじっと見ていたそうです


息子が気がついて


「どうしたの?」


と、声をかけたら


何も言わずただニコッと微笑むだけでおねがい


ずっと息子の方を見てるんだそうです


息子は、その方を部屋まで送り届けて


事務所に戻りました


それから数十分後、


またさっきのおばあちゃんが


引き戸のところに立ってじーっと


息子を見てるんです


それからまた部屋に連れて帰っても


何度も何度も


また繰り返しやってきては


息子の事をじっと見てるんだそうです


笑顔が可愛いおばあちゃんなので


息子も嫌いではなかったのですが、


何回も繰り返されたら


ちょっとだけしつこいなーと思ったらしいです


その日を境に


いつも毎晩


来るようになりましたが


認知症なんだし仕方ないと割り切って


じっとたたずむおばあちゃんのルーティンを


その後も受け入れていたそうです


するとそれから


何ヶ月かたって


そのおばあちゃんは突然亡くなったそうです





ですが


そのおばあちゃん亡き後も


実はずーっと


深夜おばあちゃんの視線を感じていたそうです


横目で誰かの気配を感じて


ふと見てもそこには誰もいない


そんな事がしばらく続いたそうです


雰囲気的にあのおばあちゃんらしく


息子に何か言いたい事があったのか、


それとも、ただ息子に会いたかっただけなのか


今となってはわかりませんが、


笑顔の素敵な優しそうなおばあちゃん


よっぽど息子の事が気に入ってくれていたのでしょうかニコニコ