高校生の斎藤くんはとあるコミケでコスプレをした女、里美にある人物のコスプレをして欲しいと頼む。家が近いことがわかり、里見の用意した衣装と台本に従いセックスをする代わりにお金を渡すという関係に。


里美は専業主婦であり、夫や姑に対するストレスで悩む。斎藤くんや斎藤くんの母親、彼女、親友もまた、それぞれに不幸な状況に置かれ悩んでいる。


第24回山本周五郎賞選評を要約すると、
どうしようもなさをそれぞれに抱えた登場人物たちを、作者は救うわけでも庇う訳でもなく、ただ認める。「性(せい/さが)」を受け入れ、それを「生」へと昇華する。どう生きるか、生きて何をするのか、何のために生きるのかという賢しさではなく、ただ生きて、ただここに在ることをまるごと肯定するという覚悟に圧倒された。


生きることに対する不安や諦め、疑問を感じた時、また読み返したい本だと感じました。