彼との出会いから付き合うまでに時間はかからなかった。



最初は試しに付き合ってみるという軽いものだった。



それが浅はかだったんだよね。



『付き合ってみなきゃホストの世界も分からない』



そう言った私は、そんなのは建前で寂しさを紛らわす為に彼を利用したかった。



ホストなら、そこまで入れ込む事はないだろうって。



全く逆だったんだよね。



寂しいと、ホストに嵌る。



現状に満たされないとホストに嵌る。



私は、目に見えて彼に溺れていった。




『愛してるよ。』



『お前だけだよ。』



『お前に出会えて俺の人生は変わった』




嘘でも嬉しい言葉を投げかけてくれる彼に私は溺れていった。




休みの日も、仕事が終わってからの時間も一緒に居てくれる彼に



私と一緒に居るせいで売り上げが落ちること。



私といる事で彼の価値が落ちること。




それが、怖かったんだ。




だから、私が埋めなきゃ。埋めなきゃってしてたら



私は堕ちる所まで堕ちて、彼のエースになってたんだ。




『彼の幸せが私の幸せ。』呪文のように自分に言い聞かせ




吐きそうになっても、泣きそうになっても、彼の傍に居たいんだ。




その代償が、私の自尊心を欠落させることになったとしても。